●南半球の極軸設置2018/07/07 02:34

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●南半球の極軸設置
弊社のナンチャッテ正立極望の説明書にある図の評判が良いので、夏休みを利用して南半球に遠征する人のためにご紹介します。 写真に文字を入れた下の図です。
極軸設置は極望のスケールパターンによって手順が異なります。 また、ナンチャッテ正立極望は単眼鏡を改造した正立像なので双眼鏡などの視界と比較しやすいですが、ふつうの倒立像の極望では、南半球では ちょっと苦労するかもしれません。

天の南極に近い南極星とも言われる、はちぶんぎ座σ星(σOct、5.45等星)を、極望の視界のスケールパターンに印された位置に導入します。 北半球で北極星を導入するのと同様です。 しかしσ星は肉眼でやっと見える暗い星なので、まずは星座早見盤などで大まかに確認後、双眼鏡やオペラグラスでσ星と近辺の星で形成される小さな台形の配列を見つけます。
南半球の極望の時角合せは仕組みによって異なりますが、ふつうは南十字とカノープス(αCar=りゅうこつ座)とアケルナル(αEri=エリダヌス座)の3つか、または2つの方向で時角を合せます。 そして、 はちぶんぎ座σ星を所定の位置に導入します。 台形の配列でさらに正確に時角を合せられるので、慣れれば北半球の北極星よりも むしろ正確な極軸設置ができます。

画像をクリックすると拡大します。 南十字の左下隣がコールサック(石炭袋と呼ばれる暗黒星雲)。 南十字の右の方の赤い星雲が前回の記事でオルゴール赤道儀で撮影したエータ・カリーナ星雲です。
ちなみに、極軸だけのポータブル赤道儀の中央に「雲台をポンと取付けただけ」の場合、北半球ではケフェウス座付近に向けにくい(死角になる)のですが、南半球では その死角が南十字やマゼラン雲付近になるので要注意です。

ナンチャッテ正立極望のスケールパターン。 時角の調整は極望全体を回す方式です。
北半球/南半球兼用で、北半球の星は○印で南半球の星は☆印で描いてあります。
北半球用の時角合せは、北斗とカシオペヤのWの方向を目視して合せる方式と、こぐま座β星(βUMi=コカブ)の方向で合せる方式の二種類。
南半球用は、南十字とカノープス(αCar)とアケルナル(αEri)の方向が描かれています。 南極星を導入したら、小さな台形の線つなぎの3つの星マークに各星が入るように極望を少し回して時角を合せ直すと、より正確になります。
空の良い観測地なら、大小マゼラン雲で時角調整する手もあるかもしれませんね。

ナンチャッテ正立極望のPDF説明書はこちらでダウンロードできます。 取説ではありますが、極軸設置の概要がおわかりになると思います。 製品紹介のサイトはこちらです。


●ユニテック社SWAT-300の展示品を特価でもう1台!
前回ご紹介した、特価品/ワケアリ品のSWAT-300やオルゴール赤道儀は即日完売になりましたが、ユニテック社のSWAT-300の展示品(塗装バージョン)が、また1台出ましたので、早い者勝ちの特価販売をいたします。  細かなスリ傷はありますが新品同様です。 オーバーホール済みです。 通常価格112,000を弊社製ベンチバー(←クリック 8,000円)を付けて、特価:85,000円(税別)でお願いします。

ユニテク社のSWAT-300
ユニテック社SWAT-300と右はSWAT-300にベンチバーを取り付けたところ。

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スキャパレリの見た火星はコレか?2018/07/21 07:27

●火星の大黄雲が晴れてきました! これは「大幸運」!
※この数日間で大黄雲はどんどん薄くなっているようです!
いつもご指導をいただいている土生祐介さんから、オーストラリアで撮影した火星の赤外線撮影の波長を変えたテスト画像をいただきました。 7月31の大接近に向けてご紹介します。
土生さんは元コニカミノルタで医療関係の画像処理を開発されていました。 40歳代で意気軒昂です。 昔は『天文ガイド』の執筆もお願いしたことがあります。 数学のスペシャリストでアマチュア天文家で画像処理の専門家ですから無敵です! コンプライアンスの問題ですぐには無理でしょうが、いずれは高度な数学を駆使して天文用画像処理ソフトを作っていただきたいと願っています。

大黄雲が発生して模様が見えなくなっていた火星面は、大黄雲がだいぶ晴れてきて日に日に模様が見えるようになってきました。 どうやら高い山や高地は黄雲の影響が薄いので、そこだけ黒っぽい模様がハッキリと見え、全体的には通常の火星面とは異なる複雑な模様に見えるようです。
と言っても眼視ではまだまだ見えにくいですが、赤外線で写すと雲が透けて模様がはっきり写ることがあります。 6枚のフィルターでテストした下のモノクロ画像を見ると、760nmのシャープカットフィルターがもっとも明瞭ですね。 これは普通の赤外線用SCフィルターとほぼ同じ特性です。
このカラー写真は星爺の責任で、 土生さんの760nmの写真をL(下のモノクロ写真)画像に使い、 以前に写した火星のカラー写真をLab分解してボカして、abの色画像を合成してカラー化したもの。 
画像にコントラストが欲しい場合は、明瞭に写ったモノクロ画像を元にしてLab合成、またはCMYKやLRGB合成をすると明瞭な感じになることがあります(多少インチキっぽいですが)。
フィルターは、フジのアセテートなら格安で短波長から赤外まで入手できます。  Celestronの火星用フィルターセットの中にある、青と赤外を通す干渉フィルター(カラーで写すと赤紫色になる)も高コントラスト化に良いフィルターだと思います。
赤外線のテスト写真。 左上がフィルター無し。 左下が760nm。
テスト画像は7月10日の22時40分にオーストラリアにて撮影。
望遠鏡:ARIES Instr.-Ukraine 178 mm F/8 Doublet Fluorite Apochromat  バローレンズ:テレビュー 2.5x パワーメイト  カメラ:ZWO ASI120MM-S
土生さんは口径18cmのアポクロマート屈折望遠鏡をオーストラリアで入手され、日本からでかけて観測しています。

●スキャパレリの見た火星はこれなのか?
薄くなった大黄雲を通した火星の写真を見ると、スキャパレリの火星のスケッチを思い出します。 彼の見た火星は同じように大接近時に大黄雲が晴れつつある状況だったのでしょうかね?
天文ファンには笑い話の逸話とされていますが、イタリアのミラノ天文台長で1877年の火星の大接近を口径22cmの屈折望遠鏡でスケッチしたスキャパレリは、火星の表面全体に「筋状の模様」を描き、その後の二度の大接近でも同様なスケッチ観測を得ました。
イタリア語の「筋」が英訳で「運河」になってしまい、それを受けてアメリカのハーバード大学出身で大富豪のローウェルは私財を投じてローウェル天文台を建設。 火星のスケッチを行ない運河を作った火星人の存在まで唱えました。 彼は実業家なので大宣伝してスポンサーが欲しかった?
しかし、今回の火星を見ると、スキャパレリやローウェルの観測は笑い話でもホラでもなく、晴れつつある大黄雲を通して、見た様の「」を正直に描いたのではないかとも思ってしまいます。

●カラー合成----油絵と線画の違い
上のカラー合成について少しお話します。 うんと簡単に乱暴に言えばRGB画像は色だけで絵を描く「油絵」で、Lab画像は黒白墨絵線画の「塗り絵」です。 輝度信号のL(黒白)でていねいな黒白の線画を描いて、そこにab二種類の色信号を塗ってカラーの絵にするという理屈です。
黒白線画の方が細かな描画が得意です。 子供の頃の塗り絵で経験するように、色はベタをしっかり塗るよりも粗くざっと塗った方が線画が生きて良い感じになります。 それと同じ理屈か? ab画像はボケていた方が疑似画像も発生しにくく、 かえって良い感じになります。
モノクロ(黒白線画)の撮像素子の方が高詳細/高感度ですから、大事な画像をLで写せば、abは極端に言えば色さえ出れば質はどうでも良いとも言えます。

惑星のL画像は人間の視感度に近くしたいならL画像はG(緑)で写すべきですが、コントラスト高く鮮明に写るなら全波長でも良く、紫外や赤外でも何でもモノクロ画像が明瞭ならば、専門家の観測でない鑑賞写真としてなら それをL画像にしてOKと思います。


◆最近の健康状態
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実は先週と今週の二回、また歩けなくなってしまいました。 左眼がガタガタに歪んで暗く見える症状も治りませんが、見え方に慣れてきたので眼が回って嘔吐することはなくなりました。 今回のブログは代打ちしてもらって作りました。
頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 深くお詫び申し上げます。 頑張って順番に返信させていただいています。

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 HOME-PAGE形式はプログラムを書く体力がないのでBLOG形式にして代打ちしてもらいます。 表現力はHOME-PAGEに劣りますが、製品情報を迅速にご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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