●JILVA-170ユーザー様の作品①2018/11/07 03:48

●大分天文協会の山本幸司様の作品をご紹介します
山本さんはポータブル赤道儀JILVA-170に、世界で一二を争うシャープさのツアイス製アポゾナー135mmを搭載して、素晴らしい作品を撮影されています。 後半に3倍に拡大したガーネット・スターも掲載したのでご覧ください。
●山本様からのお便り
JILVA-170、予想以上と言っては失礼ですが、私のスタイルにとてもあっていて今後星野撮影の主力機として使っていけそうです。 中望遠(200㎜)3分くらいまでの撮影には時間を取られたくない、軽く丈夫で簡単に精度よく・・・とても私の理想に合っています。 特にナンチャッテ正立極望(PDF説明書はこちらです)は想像以上に使いやすいですね!
ポタ赤はいろいろ使いましたが、いずれも軽量がゆえに撮影中・構図セット中などに微妙に機材が動くことを完全に防ぐことはできません。 ナンチャッテ正立極望では、いつでもその時点で再確認調整ができますのでとても安心で便利ですね!
追尾精度も十二分に満足で、多数枚でなければ条件良ければ400~600㎜を90秒くらいは行けそうです。 大型ギヤの威力のすごさを体験しています。 当初はステージに直接雲台をつけていましたが、望遠など重たくなるとステージ自体が動いたりするので、今は写真のようなスタイルでバランスをとっています。 お金ができたら赤緯体をつけたいと思ってます。
あっ、いつか聞こうと思ってたのですがカタログに「全品検査にてPモーション±4~5″以下を確認し測定写真付きで出荷します」とありましたが、測定写真は入っていませんでしたが、確か希望すれば頂けるんでしたっけ? 
素敵な機材に巡り合えてとても満足してます、ありがとうございました!!!

●星爺より
JILVA-170の納品は長いことお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。 体調が優れず作業がなかなかはかどりません。 お待たせしてしまっているお客様が大勢様いらっしゃいます。 順次生産しておりますので、大変申し訳ありませんが今少しお待ちくださいますようお願い申し上げます。 ※今回のブログ制作も自分ではできないので代打ちをお願いしています。
JILVA-170は試作品ということでお客様のご協力をいただき、個体ごとに新しい試みをして熟成に努め完成の域に達しました。 今後は お待たせばかりするのは大変ご迷惑なので、今月を目処に自前の加工を外注にして在庫ができてからご案内するようにいたします。 専用赤緯軸やフォーク赤緯軸、自動導入もリリースします。 価格は上がりますので試作品をご希望の場合は早めにお問合せください。

JILVA-170は個体ごとにPモーションテストをして合格品を出荷しています(天候が悪いとテストできないのも生産の遅れの原因です)。 最小星像を20μmと仮定するとPモーションが±5″角以下なら、計算上では400mm望遠レンズを長い時間ノータッチ追尾可能です。 当初はテスト写真を添付していたのですが「一番精度の良い個体が欲しい」とご希望のお客様が多かったのです。 それでは不公平になるので、合格の基準を30%ほど厳しく公称の精度よりもずっと良くして、テスト写真は添付しないことにしました。 追尾精度は心配ないので、どうかご理解ください。
しばしば±3″以下の高精度なのが出現するので「プレミアムとして高く売れば?」なんてアドバイスもいただきますが、それはマグレ当たりでウォームホイールがずっと大きくないと原理的に毎回高精度にはなりません。 なので不公平にならないように厳し目なテストをしています。

ポタ赤の追尾精度がいくら良くても、取付けたカメラが撮影中に動いてしまったら撮影失敗です。  ノータッチ追尾はブレのない丈夫な雲台などを使ってしっかし固定することがコツです。
なお、赤道儀はどんな機種でも、極軸を回して構図を変えた直後は「ギヤの噛み合いのアソビなどが馴染んでいない」ために追尾が不安定です。 なので構図を変えた場合は10分くらいほっておいて、安定してから露出を開始する必要があります。
JILVA-170やPanHead EQ(←クリック)には「スタンバイボタン」があります。 「赤道儀には絶対にあるべき機能」と好評です。 ボタンを押すと、日周運動の逆方向に高速回転→日周運動方向に高速回転→日周運動の回転になってギヤのアソビを解消します。 8秒ほどで完了するのでボタンを押して10秒後には追尾が安定します。 構図を変えたら最初の1枚めはスタンバイボタンを押してください。 その後の撮影はボタンを押す必要はありません(その後はもっと馴染むので押さないほうが良い)。

ふたご座の足元を行くジャコビニ・チンナー彗星(21P) 2018年9月17日に撮影 ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 3200)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  59秒露出を10枚コンポジット (総露出40分)  大分市香りの森付近で撮影   ※クリックで画像拡大(以下同)
星雲・星団の銀座通りを通過して行く21彗星です。
すばるとカリフォルニア星雲  ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 1600)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  118秒露出を20枚コンポジット (総露出40分) 
大分市香りの森付近で撮影
付近の淡くもやもやした分子雲(レムナント)までも見事に描写されています。
ガーネット・スターとIC1396 ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 3200)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  177秒露出を20枚コンポジット (総露出60分) 
大分市香りの森付近で撮影 
大きくて暗くて薄い難物の被写体をトータル60分露出で明瞭に描写しています。
山本さんが上のガーネット・スターを3倍に拡大トリミングしたもの。  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2のシャープさがわかります。 400mm望遠相当の拡大になるので追尾精度も400mmに対応する必要があります。 これほどシャープなレンズが登場すると、ポータブル赤道儀の追尾精度もさらに磨きをかけないとなりませんね。
ポータブル赤道儀JILVA-170と、下左は世界屈指の追尾精度を誇る昭和機械製作所のSHOWA20E赤道儀用の大きな砲金製ウォームホイール。 下右はJILVA-170のジュラルミン製ウォームホイール。
据付式の大きな赤道儀の極軸主要部を切り取ったイメージで超高精度のポータブル赤道儀に仕立てるのがJILVA-170のコンセプトです。 ウォームホイールがジュラルミンなのは、筐体のアルミ合金の膨張係数と同じにして、気温が大きく変わってもギヤの噛み合いなどのコンディションを一定にするためです。 -30℃まで硬化しないグリースとあいまって、極寒地でもスムーズな回転と精度を維持します。

南半球のとある研究施設で越冬時に使うために(夏は白夜)作られたJILVA-170。 上下方位微動台座は南緯69度で使うための特注品。 三脚は弊社のBT38を用います。 版権の問題でなかなか作品をご紹介できませんが、400mm望遠レンズを快調にノータッチ追尾できるとのことで一安心です。

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