●JILVA-170ユーザー様の作品①2018/11/07 03:48

●大分天文協会の山本幸司様の作品をご紹介します
山本さんはポータブル赤道儀JILVA-170に、世界で一二を争うシャープさのツアイス製アポゾナー135mmを搭載して、素晴らしい作品を撮影されています。 後半に3倍に拡大したガーネット・スターも掲載したのでご覧ください。
●山本様からのお便り
JILVA-170、予想以上と言っては失礼ですが、私のスタイルにとてもあっていて今後星野撮影の主力機として使っていけそうです。 中望遠(200㎜)3分くらいまでの撮影には時間を取られたくない、軽く丈夫で簡単に精度よく・・・とても私の理想に合っています。 特にナンチャッテ正立極望(PDF説明書はこちらです)は想像以上に使いやすいですね!
ポタ赤はいろいろ使いましたが、いずれも軽量がゆえに撮影中・構図セット中などに微妙に機材が動くことを完全に防ぐことはできません。 ナンチャッテ正立極望では、いつでもその時点で再確認調整ができますのでとても安心で便利ですね!
追尾精度も十二分に満足で、多数枚でなければ条件良ければ400~600㎜を90秒くらいは行けそうです。 大型ギヤの威力のすごさを体験しています。 当初はステージに直接雲台をつけていましたが、望遠など重たくなるとステージ自体が動いたりするので、今は写真のようなスタイルでバランスをとっています。 お金ができたら赤緯体をつけたいと思ってます。
あっ、いつか聞こうと思ってたのですがカタログに「全品検査にてPモーション±4~5″以下を確認し測定写真付きで出荷します」とありましたが、測定写真は入っていませんでしたが、確か希望すれば頂けるんでしたっけ? 
素敵な機材に巡り合えてとても満足してます、ありがとうございました!!!

●星爺より
JILVA-170の納品は長いことお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。 体調が優れず作業がなかなかはかどりません。 お待たせしてしまっているお客様が大勢様いらっしゃいます。 順次生産しておりますので、大変申し訳ありませんが今少しお待ちくださいますようお願い申し上げます。 ※今回のブログ制作も自分ではできないので代打ちをお願いしています。
JILVA-170は試作品ということでお客様のご協力をいただき、個体ごとに新しい試みをして熟成に努め完成の域に達しました。 今後は お待たせばかりするのは大変ご迷惑なので、今月を目処に自前の加工を外注にして在庫ができてからご案内するようにいたします。 専用赤緯軸やフォーク赤緯軸、自動導入もリリースします。 価格は上がりますので試作品をご希望の場合は早めにお問合せください。

JILVA-170は個体ごとにPモーションテストをして合格品を出荷しています(天候が悪いとテストできないのも生産の遅れの原因です)。 最小星像を20μmと仮定するとPモーションが±5″角以下なら、計算上では400mm望遠レンズを長い時間ノータッチ追尾可能です。 当初はテスト写真を添付していたのですが「一番精度の良い個体が欲しい」とご希望のお客様が多かったのです。 それでは不公平になるので、合格の基準を30%ほど厳しく公称の精度よりもずっと良くして、テスト写真は添付しないことにしました。 追尾精度は心配ないので、どうかご理解ください。
しばしば±3″以下の高精度なのが出現するので「プレミアムとして高く売れば?」なんてアドバイスもいただきますが、それはマグレ当たりでウォームホイールがずっと大きくないと原理的に毎回高精度にはなりません。 なので不公平にならないように厳し目なテストをしています。

ポタ赤の追尾精度がいくら良くても、取付けたカメラが撮影中に動いてしまったら撮影失敗です。  ノータッチ追尾はブレのない丈夫な雲台などを使ってしっかし固定することがコツです。
なお、赤道儀はどんな機種でも、極軸を回して構図を変えた直後は「ギヤの噛み合いのアソビなどが馴染んでいない」ために追尾が不安定です。 なので構図を変えた場合は10分くらいほっておいて、安定してから露出を開始する必要があります。
JILVA-170やPanHead EQ(←クリック)には「スタンバイボタン」があります。 「赤道儀には絶対にあるべき機能」と好評です。 ボタンを押すと、日周運動の逆方向に高速回転→日周運動方向に高速回転→日周運動の回転になってギヤのアソビを解消します。 8秒ほどで完了するのでボタンを押して10秒後には追尾が安定します。 構図を変えたら最初の1枚めはスタンバイボタンを押してください。 その後の撮影はボタンを押す必要はありません(その後はもっと馴染むので押さないほうが良い)。

ふたご座の足元を行くジャコビニ・チンナー彗星(21P) 2018年9月17日に撮影 ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 3200)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  59秒露出を10枚コンポジット (総露出40分)  大分市香りの森付近で撮影   ※クリックで画像拡大(以下同)
星雲・星団の銀座通りを通過して行く21彗星です。
すばるとカリフォルニア星雲  ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 1600)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  118秒露出を20枚コンポジット (総露出40分) 
大分市香りの森付近で撮影
付近の淡くもやもやした分子雲(レムナント)までも見事に描写されています。
ガーネット・スターとIC1396 ポータブル赤道儀JILVA-170にてノータッチ追尾  ニコンD810A(ISO 3200)  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2→F2.5に絞る  177秒露出を20枚コンポジット (総露出60分) 
大分市香りの森付近で撮影 
大きくて暗くて薄い難物の被写体をトータル60分露出で明瞭に描写しています。
山本さんが上のガーネット・スターを3倍に拡大トリミングしたもの。  Apo-Sonnar T* 2/135 ZF.2のシャープさがわかります。 400mm望遠相当の拡大になるので追尾精度も400mmに対応する必要があります。 これほどシャープなレンズが登場すると、ポータブル赤道儀の追尾精度もさらに磨きをかけないとなりませんね。
ポータブル赤道儀JILVA-170と、下左は世界屈指の追尾精度を誇る昭和機械製作所のSHOWA20E赤道儀用の大きな砲金製ウォームホイール。 下右はJILVA-170のジュラルミン製ウォームホイール。
据付式の大きな赤道儀の極軸主要部を切り取ったイメージで超高精度のポータブル赤道儀に仕立てるのがJILVA-170のコンセプトです。 ウォームホイールがジュラルミンなのは、筐体のアルミ合金の膨張係数と同じにして、気温が大きく変わってもギヤの噛み合いなどのコンディションを一定にするためです。 -30℃まで硬化しないグリースとあいまって、極寒地でもスムーズな回転と精度を維持します。

南半球のとある研究施設で越冬時に使うために(夏は白夜)作られたJILVA-170。 上下方位微動台座は南緯69度で使うための特注品。 三脚は弊社のBT38を用います。 版権の問題でなかなか作品をご紹介できませんが、400mm望遠レンズを快調にノータッチ追尾できるとのことで一安心です。

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●E-ZEUSⅡの彗星/小惑星データ2018/11/04 06:06

自動導入モータードライブE-ZEUSⅡを制御するプラネタリウムソフトで、ステラナビゲータ(←クリック)は彗星の軌道要素が定期的に更新されますが、SUPERSTAR_Vは手動でやらねばなりません。 製造元のSEEDBOXさんに説明を書いていただきました。

●彗星の全リストのデータ
ICQで公開されている軌道要素フォーマット(Ephemerides and Orbital Elements Format)です。 これをダウンロードしてSUPERSTAR_Vに入れます。
下記URLをクリックすると、全ての彗星の最新の軌道要素のテキストファイルが表示されるので、ダウンロードして指定のフォルダに入れてください。 テキストのファイルネームは何でもかまいません。
http://cfa-www.harvard.edu/iau/Ephemerides/Comets/Soft00Cmt.txt

●小惑星も同様です
MPCで公開されている軌道要素フォーマット(Export Format for Minor-Planet Orbits)です。
http://www.cfa.harvard.edu/iau/Ephemerides/Bright/2018/Soft00Bright.txt

このテキストファイルを入れておくフォルダはOSで異なりますが通常は、Cドライブの [ユーザー名のフォルダ]→[AppData]→[Roming]→[SeedsBox]→[SuperStar5P]→[comet]フォルダに入れます。 小惑星も同様で[mplanet] フォルダです。
WindowsXPはインストールしたドライブを[SuperStar5P]で検索して、その下の[comet]または[mplanet] に入れます。

●SUPERSTAR_Vの表示
SUPERSTAR_Vの左の天体選択メニューを【B】にして彗星か小惑星を選び、リストを選ぶと先ほど入れたファイルネームが表示されます。 ※デフォルトで有名な彗星/小惑星のファイルが入っています。
リストから選んだファイルにある彗星/小惑星が画面に表示されます。 全ての彗星/小惑が表示されると邪魔なので、目的の天体だけのリストも作って入れておくことをお勧めします。

●彗星/小惑星の動きを追尾する
E-ZEUSⅡとSUPERSTAR_Vの組合せでは、彗星や小惑星(または月)の固有の動きを自動追尾することができます。 10秒に1回自動導入を繰り返します。 動きの速い天体の撮影に有効です。
自動導入画面の上の【導入】ボタンの下に【通常追尾】があるので、それを押すと選択した天体固有の追尾になり、再び押すと通常に戻ります。
当然ながら、ノータッチ追尾の優秀な赤道儀が必要で、 オートガイダーとの併用はできません。

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メールにトラブルがありました2018/10/04 17:11

金融機関からメールが来て うっかりクリックしたらPCの動きが遅くなり、ウイルス処理を強力にかけたら、8月下旬からメールの半分くらいが届かなくなっていたようです。 専門家に頼んで少しずつですが復旧させています。
この期間にメールを頂戴した皆様に不義理をしてしまいました。 恐れ入りますが返信が届かない皆様は、いま一度メールを送ってください。 どうもすみません。
星爺こと高槻幸弘 (株)輝星。

●大型用E-ZEUSⅡのご紹介2018/09/29 02:46

今回は自動導入モータードライブの「大型用E-ZEUSⅡ」をご紹介します
E-ZEUSⅡ(イーゼウスツー)は、あらゆる赤道儀に装着できる汎用の自動導入モータードライブ装置です。  ※自動導入にはパソコンが必要です。
20cmクラス以下の小型~中型赤道儀用のバッテリー駆動可能な汎用の標準型」と、大型赤道儀用に個々に適したモーターとドライバ回路を使うAC100V駆動の大型用」の二種類があります。 両者の違いはモーター関係だけなので、大型用E-ZEUSⅡは驚くほど安価になっています。
標準型E-ZEUSⅡ----20万円(取付けと赤道儀の整備は基本無料)
大型用E-ZEUSⅡ----25万円から(    〃    )

E-ZEUSⅡの特長は、
①パソコンをつながない場合は電源ONですぐに動く。
②ステップ飛びや乱れのない正確な追尾と自動導入。
③赤緯は導入完了時に「行き過ぎて戻る動作」で導入位置が正確。
④赤緯にオートガイド時のバックラッシュ補正を搭載。
⑤長焦点ガイドのために赤経・赤緯の低速を微調整可能。
⑥天体とみなせる「地上マーカー」にて日中でも初期設定可能。
⑦地上マーカーは子午線と東西の地平線にあり 任意の位置にも作れる。
⑧指定した時間で赤道儀の追尾を停止できる。
⑨彗星や小惑星などの高速移動天体を追尾できる。
⑩カメラのシャッターをON/OFFできる(別売機能)
※E-ZEUSⅡで自動導入する純正指定のプラネタリウムソフトは、無償添付のYocと12000円のSUPERSTAR_V(←クリック)です。
星翁様制作のASCOM Telescole Driver for E-ZEUS(←クリック)をインストールすると、ステラナビゲータ、ステラショット、TheSkyなども使えます。
SUPERSTAR_Vの自動導入画面。 観測開始時には天体(星など)を導入して、天球の座標を設定する同期(アライメント)が必要です。 E-ZEUSⅡは赤道儀用なので1点アライメントです。
画面の緑色の■印が天体と同じ扱いができる地上マーカーです。 高価な位置記憶式のアブソリュート型エンコーダを赤道儀に内蔵する必要がない、SUPERSTAR_Vの発明とも言えるアイデアです。 デフォルトの■マークの他に任意の位置(遠くの山の頂上など)にも生成できます。 地上マーカーを天体とみなして星の見えない日中でも同期ができます。 観測終了時に地上マーカーに向ければ、次回は同じ位置から同期なしで開始できます。

●様々な大型赤道儀
大型赤道儀は手作りのため、「○○製の○○型」と称していても、内部は個体ごとに異なり全く違う仕組みの場合さえあります。 モーターさえ取付けられればOKなのですが、改造は平易な場合もあれば、どうやって改造しようか頭を抱えてしまうことも少なくありません。
研究者用の大型赤道儀は複雑な構造で 大改造が必要な場合が多いです。 部分微動の赤緯を全周微動に改造する場合は、大型赤道儀のメーカーさんの協力を得て行ないます。
天体望遠鏡博物館の60cmフォーク式赤道儀は、京都大学大宇陀観測所から移築されたもの。 赤経のウォームホイールは直径1メートル近い大きなもので、旧式のモーターを複数使って高速駆動させるため割り込みギヤがたくさんある複雑なものでした。 シンプルなギヤトレインに改造しました。
井原市星空公園は、海上保安庁の旧美星水路観測所を岡山県井原市が国から貸与を受け管理運営している施設です。 月に一度、美星天文台職員の方の指導で観望会を行なっています。
法月技研製の60cmドイツ式赤道儀は、軽自動車のデファレンシャルのような大型のギヤトレインだったので、E-ZEUS用モーターの取付けに苦労しました。

●取り付けが簡単な大型赤道儀も多い
大型赤道儀のE-ZEUSⅡ改造は、基本的に下見調査と取付けに出張します。 が、モーターまわりの写真撮影や寸法の情報をいただいて設計製作し、お客様が取付けられる赤道儀もあります。
ミカゲ光器やアスコ製の赤道儀は内部の空間に余裕がありギヤトレインも単純なので、ほぼ改造無しや簡単なパーツの製作で取付けられることが多いです。
ミカゲ光器350赤道儀の例。 モーターまわりを撮影したり分かる範囲で採寸していただいたり、モーターまわりを送っていただいたりして設計製作することも可能です。
ペンタックスのMS-5に付いているPM型ステッピングモーター。 MS-5には標準型E-ZEUSⅡが使えますが、据え付ける場合は大型用E-ZEUSⅡをお勧めしています。 MS-5は量産機なので内部構造はほぼ同じです。 ウオームネジユニットにモーターが直についた一体構造なので、その部分をを外してカバーと一緒に送っていただければ、すぐに取付けられるように改造して返送します。
上はウオームネジユニットのベアリングを交換して整備し、E-ZEUSⅡ用のステッピングモーターにオリジナルの1/13.5ギヤトレインを取付けたところ。 この状態で返送するので取付けはすぐにできます。 モーターが出っ張るのでカバーに角穴をあけて化粧蓋を取付けます。 赤道儀ごと送っていただければ、必要箇所は無償でオーバーホールするので、そのほうがお勧めです。

●E-ZEUSⅡとパソコンの配置
E-ZEUSⅡ本体はピラーや赤道儀本体に取り付けるのでも、別のケースに収めるのでもかまいません。 観測所内の配置を検討してください。
左はアスコ製の20cm屈折赤道儀で、 E-ZEUSⅡはケースに収めてノートPCと一緒に右奥のワゴンに乗せています。 右の写真は西村製作所の50cm赤道儀の北側にケースに収めたE-ZEUSⅡとノートパソコンを置いた例。

●E-ZEUSⅡは本体の他にパーツもご提供しています
E-ZEUSⅡは、SB工房への直接のご注文の他に、望遠鏡ショップ様でも扱っていただいています。
また、基板やマイコンなどのパーツもメーカー様個人様に関わらずご提供しています。 その場合は責任の所在ために、どこかにE-ZEUSⅡであることを明記していただきます。 しかし、明記されなかったり独自の製品ということになっていたり、回路に改造を施されて困ることがあります。 有効に活用してくださることがほとんどですが、完成品の末端価格(麻薬じゃないですけど…)が、本来のE-ZEUSⅡの何倍にもなっていることもあります。
E-ZEUSⅡのパーツのご利用は何とぞ安全で良心的な使い方を心がけてください。
とくにドームとの連動など難しい制御の場合は、実績のある業者さんをご紹介するので乱暴な改造はおやめくださるよう、この場でお願い申し上げます。

●下取りしたタカハシNJP赤道儀用E-ZEUSⅡ
大きな赤道儀に機種変更されたユーザー様からタカハシNJP赤道儀用のE-ZEUSⅡを下取りしたので、ご希望があればケースなどは新調して格安の13万円でお分けします。 NJP赤道儀でない場合は、別途モーター代金の実費(3万円くらい)をご負担ください。 ※即日売れてしまいました。


※まだ体調が悪くてメールのお返事などが遅れている状態です。 申し訳ありません。 今回の記事は代打ちで作ってもらっています。

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2018-胎内星まつり 参加できません2018/08/25 05:35

8月24日~26日は恒例の「胎内星まつり」です。 今回はSB工房/(株)輝星は参加できません。 この2週間ほど寝込んでおり作業などが停滞しています。 車も運転できません。
直前までどなたかの車に乗せていただいて、顔だけでも出してJILVA-170などのユーザー様とお話をしたかったのですが、面目ない状態で申し訳ありません。
取り急ぎ、ご報告申し上げます。

スキャパレリの見た火星はコレか?2018/07/21 07:27

●火星の大黄雲が晴れてきました! これは「大幸運」!
※この数日間で大黄雲はどんどん薄くなっているようです!
いつもご指導をいただいている土生祐介さんから、オーストラリアで撮影した火星の赤外線撮影の波長を変えたテスト画像をいただきました。 7月31の大接近に向けてご紹介します。
土生さんは元コニカミノルタで医療関係の画像処理を開発されていました。 40歳代で意気軒昂です。 昔は『天文ガイド』の執筆もお願いしたことがあります。 数学のスペシャリストでアマチュア天文家で画像処理の専門家ですから無敵です! コンプライアンスの問題ですぐには無理でしょうが、いずれは高度な数学を駆使して天文用画像処理ソフトを作っていただきたいと願っています。

大黄雲が発生して模様が見えなくなっていた火星面は、大黄雲がだいぶ晴れてきて日に日に模様が見えるようになってきました。 どうやら高い山や高地は黄雲の影響が薄いので、そこだけ黒っぽい模様がハッキリと見え、全体的には通常の火星面とは異なる複雑な模様に見えるようです。
と言っても眼視ではまだまだ見えにくいですが、赤外線で写すと雲が透けて模様がはっきり写ることがあります。 6枚のフィルターでテストした下のモノクロ画像を見ると、760nmのシャープカットフィルターがもっとも明瞭ですね。 これは普通の赤外線用SCフィルターとほぼ同じ特性です。
このカラー写真は星爺の責任で、 土生さんの760nmの写真をL(下のモノクロ写真)画像に使い、 以前に写した火星のカラー写真をLab分解してボカして、abの色画像を合成してカラー化したもの。 
画像にコントラストが欲しい場合は、明瞭に写ったモノクロ画像を元にしてLab合成、またはCMYKやLRGB合成をすると明瞭な感じになることがあります(多少インチキっぽいですが)。
フィルターは、フジのアセテートなら格安で短波長から赤外まで入手できます。  Celestronの火星用フィルターセットの中にある、青と赤外を通す干渉フィルター(カラーで写すと赤紫色になる)も高コントラスト化に良いフィルターだと思います。
赤外線のテスト写真。 左上がフィルター無し。 左下が760nm。
テスト画像は7月10日の22時40分にオーストラリアにて撮影。
望遠鏡:ARIES Instr.-Ukraine 178 mm F/8 Doublet Fluorite Apochromat  バローレンズ:テレビュー 2.5x パワーメイト  カメラ:ZWO ASI120MM-S
土生さんは口径18cmのアポクロマート屈折望遠鏡をオーストラリアで入手され、日本からでかけて観測しています。

●スキャパレリの見た火星はこれなのか?
薄くなった大黄雲を通した火星の写真を見ると、スキャパレリの火星のスケッチを思い出します。 彼の見た火星は同じように大接近時に大黄雲が晴れつつある状況だったのでしょうかね?
天文ファンには笑い話の逸話とされていますが、イタリアのミラノ天文台長で1877年の火星の大接近を口径22cmの屈折望遠鏡でスケッチしたスキャパレリは、火星の表面全体に「筋状の模様」を描き、その後の二度の大接近でも同様なスケッチ観測を得ました。
イタリア語の「筋」が英訳で「運河」になってしまい、それを受けてアメリカのハーバード大学出身で大富豪のローウェルは私財を投じてローウェル天文台を建設。 火星のスケッチを行ない運河を作った火星人の存在まで唱えました。 彼は実業家なので大宣伝してスポンサーが欲しかった?
しかし、今回の火星を見ると、スキャパレリやローウェルの観測は笑い話でもホラでもなく、晴れつつある大黄雲を通して、見た様の「」を正直に描いたのではないかとも思ってしまいます。

●カラー合成----油絵と線画の違い
上のカラー合成について少しお話します。 うんと簡単に乱暴に言えばRGB画像は色だけで絵を描く「油絵」で、Lab画像は黒白墨絵線画の「塗り絵」です。 輝度信号のL(黒白)でていねいな黒白の線画を描いて、そこにab二種類の色信号を塗ってカラーの絵にするという理屈です。
黒白線画の方が細かな描画が得意です。 子供の頃の塗り絵で経験するように、色はベタをしっかり塗るよりも粗くざっと塗った方が線画が生きて良い感じになります。 それと同じ理屈か? ab画像はボケていた方が疑似画像も発生しにくく、 かえって良い感じになります。
モノクロ(黒白線画)の撮像素子の方が高詳細/高感度ですから、大事な画像をLで写せば、abは極端に言えば色さえ出れば質はどうでも良いとも言えます。

惑星のL画像は人間の視感度に近くしたいならL画像はG(緑)で写すべきですが、コントラスト高く鮮明に写るなら全波長でも良く、紫外や赤外でも何でもモノクロ画像が明瞭ならば、専門家の観測でない鑑賞写真としてなら それをL画像にしてOKと思います。


◆最近の健康状態
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実は先週と今週の二回、また歩けなくなってしまいました。 左眼がガタガタに歪んで暗く見える症状も治りませんが、見え方に慣れてきたので眼が回って嘔吐することはなくなりました。 今回のブログは代打ちしてもらって作りました。
頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 深くお詫び申し上げます。 頑張って順番に返信させていただいています。

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 HOME-PAGE形式はプログラムを書く体力がないのでBLOG形式にして代打ちしてもらいます。 表現力はHOME-PAGEに劣りますが、製品情報を迅速にご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●南半球の極軸設置2018/07/07 02:34

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 迅速な製品情報、とくにお買い得品をたくさんご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●南半球の極軸設置
弊社のナンチャッテ正立極望の説明書にある図の評判が良いので、夏休みを利用して南半球に遠征する人のためにご紹介します。 写真に文字を入れた下の図です。
極軸設置は極望のスケールパターンによって手順が異なります。 また、ナンチャッテ正立極望は単眼鏡を改造した正立像なので双眼鏡などの視界と比較しやすいですが、ふつうの倒立像の極望では、南半球では ちょっと苦労するかもしれません。

天の南極に近い南極星とも言われる、はちぶんぎ座σ星(σOct、5.45等星)を、極望の視界のスケールパターンに印された位置に導入します。 北半球で北極星を導入するのと同様です。 しかしσ星は肉眼でやっと見える暗い星なので、まずは星座早見盤などで大まかに確認後、双眼鏡やオペラグラスでσ星と近辺の星で形成される小さな台形の配列を見つけます。
南半球の極望の時角合せは仕組みによって異なりますが、ふつうは南十字とカノープス(αCar=りゅうこつ座)とアケルナル(αEri=エリダヌス座)の3つか、または2つの方向で時角を合せます。 そして、 はちぶんぎ座σ星を所定の位置に導入します。 台形の配列でさらに正確に時角を合せられるので、慣れれば北半球の北極星よりも むしろ正確な極軸設置ができます。

画像をクリックすると拡大します。 南十字の左下隣がコールサック(石炭袋と呼ばれる暗黒星雲)。 南十字の右の方の赤い星雲が前回の記事でオルゴール赤道儀で撮影したエータ・カリーナ星雲です。
ちなみに、極軸だけのポータブル赤道儀の中央に「雲台をポンと取付けただけ」の場合、北半球ではケフェウス座付近に向けにくい(死角になる)のですが、南半球では その死角が南十字やマゼラン雲付近になるので要注意です。

ナンチャッテ正立極望のスケールパターン。 時角の調整は極望全体を回す方式です。
北半球/南半球兼用で、北半球の星は○印で南半球の星は☆印で描いてあります。
北半球用の時角合せは、北斗とカシオペヤのWの方向を目視して合せる方式と、こぐま座β星(βUMi=コカブ)の方向で合せる方式の二種類。
南半球用は、南十字とカノープス(αCar)とアケルナル(αEri)の方向が描かれています。 南極星を導入したら、小さな台形の線つなぎの3つの星マークに各星が入るように極望を少し回して時角を合せ直すと、より正確になります。
空の良い観測地なら、大小マゼラン雲で時角調整する手もあるかもしれませんね。

ナンチャッテ正立極望のPDF説明書はこちらでダウンロードできます。 取説ではありますが、極軸設置の概要がおわかりになると思います。 製品紹介のサイトはこちらです。


●ユニテック社SWAT-300の展示品を特価でもう1台!
前回ご紹介した、特価品/ワケアリ品のSWAT-300やオルゴール赤道儀は即日完売になりましたが、ユニテック社のSWAT-300の展示品(塗装バージョン)が、また1台出ましたので、早い者勝ちの特価販売をいたします。  細かなスリ傷はありますが新品同様です。 オーバーホール済みです。 通常価格112,000を弊社製ベンチバー(←クリック 8,000円)を付けて、特価:85,000円(税別)でお願いします。

ユニテク社のSWAT-300
ユニテック社SWAT-300と右はSWAT-300にベンチバーを取り付けたところ。

お問合せご注文メールフォームはこちらです。
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●ワケアリ品:オルゴールとSWAT3002018/06/27 13:20

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2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 迅速な製品情報、とくにお買い得品をたくさんご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●ユニテック社SWAT-300の展示品を特価でご提供
前回は買い得な輸出用SWAT-300で、今回は、ユニテック社(←クリック)に納品しているSWAT-300の展示品の処分です。 1台しかありませんので早い者勝ちになります。
アルマイトではなく青色塗装バージョンです。 細かなスリ傷はありますが新品同様です。 オーバーホールし済みです。 通常価格112,000を弊社製ベンチバー(←クリック 8,000円)を付けて、
特価:85,000円(税別)でお願いします。
詳しくは本件の特設サイトこちら(←クリック)と、上記ユニテック社のサイトをご覧ください。 なお、SWAT-300はターンテーブルをモデルチェンジした新製品のSWAT-310になっています。
ユニテク社のSWAT-300
ユニテック社SWAT300と右はSWAT-300にベンチバーを取り付けたところ。

ベンチバーの図面。 弊社PanHead EQ(←クリック)に適す小型のベンチバーもあります。
今後はベンチバーをベースにして、ドイツ式やフォーク式赤緯ユニットなどをリリースして参ります。特注サイズのベンチバーも承ります。

なお、ベンチバー以上に必ず必要な「極軸望遠鏡」は、SWATのアクセサリーにもあります。 弊社では格安のナンチャッテ正立極望(←クリック)もご用意しています。 後述のオルゴール駆動のポータブル赤道儀MusicBox EQ Ⅱにも使用できます。


●オルゴール赤道儀MusicBox EQ Ⅱ のワケアリ品を特価でご提供
三脚に取り付ける円盤台座の取付け穴あけが1mm弱狂ったワケアリ品です。 一見しただけではワケアリはわかりません。 もちろん機能に支障はありません。
ワケアリ特価:15000円(税別)----2台あります。
オルゴール赤道儀MusicBox EQ Ⅱの弊社のサイトはこちら(←クリック)
オルゴール赤道儀MusicBox EQ Ⅱの取説が見られます(←クリック)

MusicBox EQ Ⅱの撮影風景。 カメラはキヤノン5DMKⅡ。 南半球でも使用できます。
特注の6分駆動オルゴールが「きらきら星」を奏でながらハイパワーで駆動します。

オーストラリアで撮影したエータ・カリーナ星雲(画像をクリックすると拡大します)
キヤノンEOSデジタルX(天文改造) ISO800 リケノン50mm F2→F4 露出5分 オルゴール赤道儀 で追尾 RAW画像1枚のコンポジット無し  PhotoshopCCにてR版のみアンシャープマスク処理。

正直言ってMusicBox EQ Ⅱがあると、100mm望遠レンズくらいまでは、電動のポータブル赤道儀、ましてやドイツ式赤道儀は使う気がしなくなります。 面倒くさいです(笑)
もちろん、数十枚以上撮影して多数枚コンポジットを行ない、意地でも淡い星雲をあぶり出したい場合は、電動の赤道儀で長時間撮影しますが、空の良い観測地で1コマの露出を多めにかければ、1枚撮りや数枚のコンポジットでかなり満足する写真が得られます。 星爺は最近は広角~標準レンズはオルゴール赤道儀ばかり使うようになってしまいました。 これは堕落かもしれませんね。

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