●火星に大黄雲が発生し始めたようです2018/06/14 16:20

大接近をひかえた火星に大黄雲(ダストストーム)が発生し始めたようです。 このまま広がり続けて行くと火星全体がオレンジ一色に覆われてしまうかもしれません。
火星の地球への大接近時、すなわち太陽にも近いときの火星に起こる「季節の風物詩」です。
望遠鏡を向けても火星の模様は、ほとんど何も見えなくなるかもしれません。 でも、隣の惑星に起こっている「大砂嵐」が見えるのです。 それがアマチュアの天体望遠鏡でもわかる。 たとえアキダリアの海が見えなくなっても、極冠が薄れてわからなくなっても、それはそれで大変なドラマじゃないですか!  惑星間を股にかけた「壮大なスペクタクル」ですね。

星爺は、1971年の火星大接近時の大規模な大黄雲を見ています。 最接近の頃は大学1年生でした。 理学部にあったツアイスの13cm屈折経緯台(丸太のような三脚!)で見た火星は、明るいだけでオレンジ色のノッペラボウでした。
それがトラウマになって「火星大接近」と聞いても「どうせ模様は見えなくなるんだろう」と、なかなか興味がわきません。 若人たちに興味を持ってもらうためにも、大黄雲は大規模になってほしくありません。

◆最近の健康状態
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足の方はなんとか普通に歩けるようになりましたが、左眼がガタガタに歪んで暗く見える症状は治りません。 しかし見え方に慣れてきたので、スマホで方眼グラフを見て眼の調子を確かめながら、SNSのコメント打ちでリハビリをしています(スマホは日本語変換が簡単なため)。
相変わらず頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 手伝いの人の応援で受注品を製作していますが、遅れに遅れて申し訳ありません。深くお詫び申し上げます。
本日からメールの閲覧と返信に復帰します。 このブログもなんとか自分で打ってみました。
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SUPERSTAR_Vによる6月14日02時の火星の位置(上の画像をクリックすると拡大されます)。
星空シミュレーションソフト SUPERSTAR_Vのサイトはこちら(http://www.sstar.jp/

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●眼視用長焦点で星野撮影2018/04/09 17:20

◆最初に最近の健康状態
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左眼は調子が悪くてメールなどの文字列を見ると嘔吐して、頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 順次返信いたしていますが、 深く お詫び申し上げます。
両足の激痛は弱まって歩けます。が、右肩が痛むようになって荷物を持てません。 とくに特注品の納品が滞っていて申し訳ありません。
このブログの記事は代打ちしてもらって作っています。 説明図が描けないので、文面だけでわかりにくいですがご勘弁ください。

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●デジタルカメラはFが暗くても大丈夫! なので眼視用を使う

フイルム時代は「低照度相反則不規」という大きな問題がありました。 一般写真の被写体の明るさが半分になれば露出を2倍かけて適正露出(当たり前!)という相反則が、星野のように暗い被写体の長時間露出では当てはまらないのす。 フィルムの相反則不規は数秒露出から始まって、露出をすればするほど顕著になります。 だんだん感度が減ってゆく感じですね。 F4よりも暗くなると1時間以上の露出をしても満足に写らなくなり、とても非生産的な撮影作業でした。
しかし、デジタルカメラには相反則不規は皆無で、撮影レンズのFがいくら暗くても、それに応じて露出時間を長くすればちゃんと写ります。 がんばって長い露出時間に挑戦する価値があります。

●口径の分解能やFの明るさは無関係、焦点距離で写りが決まる
極限等級や細部の描写力は焦点距離に依存するので、長い露出をすることさえいとわなければ、眼視用の長焦点望遠鏡は細部まで描写した見ごたえのある写真が得られます。
暗いFが多い眼視用望遠鏡は自ずと焦点距離に比べ口径が小さいです。 しかし、大口径や高性能な望遠鏡の余りある分解能は直焦の星野写真には必要ありません。 撮像素子がそこまで解像しないからです。 小口径であっても、眼視の高倍率ではシャープに見えない性能の良くない望遠鏡であっても充分使用できることも多いです。

以上の理屈や、眼視用を星野写真に転用する際の収差の問題などは、今回は体調が悪く代打ちのため図示できないので、とりあえずは作例をご覧ください。

●セレストロン製C14型口径35cm F10シュミットカセグレンの作例
おおぐま座のM101回展花火銀河(画像をクリックすると拡大されます--以下同)
中古で15万円で買った鏡筒に凹みありのボロボロのC14シュミット・カセに、自作4枚玉補正レンズを付けて口径35cm F7 焦点距離約2700mmで撮影。 十数年前の写真なのでデータは忘れましたが、冷却カメラはたぶんSBIG社のST8で3色分解撮影です。
今の高性能のカメラなら、この半分くらいの大きさの望遠鏡で同様な写真を撮れるはずです。

おおぐま座のM51子持ち銀河
子供の銀河の周囲の淡い部分も描写しています。 Fが暗くても相応の露出時間をかける(一般写真の絞りと露出時間の関係と同じ)ことで、淡い部分も星野写真用のFの明るい望遠鏡とまったく遜色なく写ります。
子供銀河の左上に渦巻銀河を真横から見た小さな銀河(NGC4565と似ている)があります。 星爺はこの銀河の写り具合を評価の基準にしています。 まったく写らないことも多いですが。

りょうけん座のM106 右上はNGC4248で眼視光度12.59等 視直径 2.0′×0.9′
中央部の暗黒帯の分解が難しい被写体です。メインの銀河だけでなく、周辺の小さな銀河の写り具合を見るのも、眼視用長焦点の醍醐味です。

●眼視用30cmクラスのニュートン反射による作例
昔々、反射望遠鏡の定番だった口径が大きくF6~F7との暗めのニュートン反射は、長くて邪魔だと今ではあちこちで敬遠されているみたいです。 でも、光学系の精度が高く惑星の観測には最適。 星野写真の性能も露出さえかければ非常に素晴らしいです。

下の写真は、兵庫県は淡路島の「鳴門タクシー天文台」の台長 沼田浩孝さんが愛用する口径30cm F6ニュートン反射望遠鏡。 赤道儀はアスコ260型。 星野写真から月面惑星まで撮影されています。 ワンちゃんが飛び上がった瞬間を撮る飛行犬やドローンでも著名なプロの写真家さんです。
鳴門タクシー天文台は一般公開もされていますのでお問合せください。
https://www.narutotx.com/

オリオン座の馬の暗黒星雲
口径30㎝F6反射望遠鏡 カメラはAPS-CサイズのEOS Kiss X3改造機 ISO 3200 露出2分x30枚合成 鳴門タクシー天文台にて2年前に撮影したものを再処理。
小ぶりなAPS-Cサイズのためか、周辺までシャープで非常に解像度の高い馬の首です。 焦点距離1800mmの威力と言えます。

下の写真は、竹内 康さんの豪華な別荘の観測所です。 弊社の自動導入装置E-ZEUSⅡが装着されたミカゲ光器製210B赤道儀を中古で入手され、手を加えて実践に投入する準備中です。
鏡筒は口径30cm F6 です。 ニュートン反射は周辺のコマ収差がFの2乗に反比例して増え、焦点距離くらいの凹像面弯曲があります。  計算上は、30cm F6はフルサイズカメラの周辺で、許せる範囲のやや甘い星像になります。 そのため補正レンズは強いて使う必要はないでしょう。
焦点距離が長いとシーイングの影響が大きくなるので、少しの試写では判断しにくいですが、下のM1の写真で皆さんはどう思われますか?

おうし座のM1カニ星雲
テスト撮影なのでキヤノンEOS6Dを直焦に取付けてISO3200で30秒露出。 眼視用望遠鏡はふつうは斜鏡が小さいので、この望遠鏡も斜鏡の大きさ不足とマウントと思われる周辺減光が生じています。上の黒い影のケラレは跳ね上がったミラーの裏面。 明るい視界の中心が右側に寄っているのは、斜鏡を偏心取り付けしていないためと思われます。
このまま周辺のトリミングを前提にフルサイズのEOS6Dを使うか、ひと回り小さなAPS-Cにするか? もっと小さな冷却CMOSか? 大きな斜鏡に交換すべきか? テストでいろいろわかります。

※直焦の写真に必要な斜鏡の大きさを図で簡単に求めるには…。
底辺が主鏡直径で高さが焦点距離の二等辺三角形を描き、次に斜鏡の中心から焦点までの距離を実測して、その距離を高さにした相似三角形を描きます。 その三角形の底辺が 「視界の中心にのみ100%の光が来る」 斜鏡の大きさ(短径)です。 この短径に撮像素子の大きさ(画面の対角)を加えたのが周辺減光の無い斜鏡の大きさになります。
思いのほか大きな斜鏡が必要なので、多少の周辺減光には眼をつぶるべきと思います。

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●終活のイギリス式赤道儀--その後2018/02/21 06:27

◆最近の健康状態
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両足の激痛で歩けなくなることはなくなりました。 JILVA-170は、日本仕様の試作品の受注を再開して順次製作していますが、その他の特殊な機材が遅れて申し訳ありません。
 左眼は調子が悪いと かなり歪んで暗く見え、メールなどの文字列を見ると嘔吐して、頂戴したメールになかなか返信できず、大変失礼をしております。 深く お詫び申し上げます。
このブログは代打ちしてもらって作っています。
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笠原隆樹さんのリストアで蘇ったイギリス式赤道儀
前回ブログの笠原さんにもらわれていった、宇治天体精機スカイマックス赤道儀をベースに改造した「イギリス式赤道儀」は、なんと! 1ヵ月ちょっとで錆びて動かない部分やベアリングなどを直して実用されています。 笠原さんの技術(←クリック)に感服! 下の写真は撮影中の様子です。 バッテリーなど全て込みの重量250Kgを移動してお使いです。

鏡筒は口径30.5cm F4 ニュートン式の市販品ですが、笠原さんの改良/強化により全くの別物になっています。 自動導入システムは大きめな5相ステッピングモーターを用いた大型用E-ZEUSⅡ(←クリック)。 ワゴン車に積んで移動します。

●津村光則さんのイギリス式赤道儀
星爺がイギリス式を作ったのと同じ頃、『天文ガイド』誌の彗星コーナーでおなじみの津村光則(←クリック)さんも偶然同じような赤道儀を作られたのには、顔を見合わせて笑ってしまいました。
天体ドームに納められていて、鏡筒は宇治天体精機の35cmカセグレン望遠鏡です。
津村さんのイギリス式
ベースの赤道儀は同じくスカイマックス。 イギリス式の極軸は星爺のよりもずっと長くて、北端の軸受けはφ100の巨大なピローブロックベアリングです。
イギリス式は、このように南端と北端の軸受けの強度/精度の役割分担を同じくらいにする設計もあれば、南端の軸受けが主役で北端は小さかったり、さらに略して「支えられればOK」という感じの設計もあります。 極端に言えば南端でがんばれば北端は極軸の丸棒をVブロックで受けるだけでもOKです。 研究者用の大きなイギリス式赤道儀も、南端と北端の軸受けは様々な仕様があります。
津村さんの自動導入システムは、かなり昔に『天文ガイド』誌の自作記事でご紹介した、ビクセン製スカイセンサー2000PCのモーターの信号を利用して、別の大きなステッピングモーターを回す手法。
カセグレン望遠鏡は主鏡35cm F3.5、 副鏡:10cm 合成焦点距離5000mm F=14 (田阪鏡)。
彗星を観測するときは、冷却CCDカメラSTL11000M(3x3ビニングで使う)で、1フレーム60~180秒で撮影しておられます。

●高橋製作所のMeridianシリーズ
イギリス式の利点は圧倒的に頑丈なことと精度の高さです。  もう一つ見逃してはならない大きな利点が、望遠鏡が子午線を通過してしばらく経っても架台や脚にぶつからないことです。 昨今の星野写真では「超多数枚コンポジット」する手法が流行して、同じ被写体を一晩中撮影することが多くなりました。 その場合は、鏡筒をどこに向けても架台などとぶつからない赤道儀が便利です。
タカハシのMeridian(メリディアン=子午線)赤道儀は、同社の赤道儀の極軸を長くして、子午線から東西にかなり離れた方向でも下側を回っても、鏡筒がぶつからないようにしたもの。 星野撮影用に想像以上に快適な赤道儀です。 このように極軸が北側に長い赤道儀を「エルボータイプ」と呼ぶこともあります。 さすがにタカハシさんは対応が早いですね!
画像をクリックすると拡大されます。 左から、EM11、EM200、EM400のメリディアンタイプ。 これを見ていると、極軸を北側に継ぎ足してイギリス式にしたくなるのは星爺だけでしょうか?(笑)

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●終活のイギリス式赤道儀2018/02/06 05:27

●30年ほど様々な仕様で使い倒して、最後は「イギリス式赤道儀」に改造して星爺のベランダに置いてあった、宇治天体精機のスカイマックス赤道儀。 このたび、めでたくもらわれてゆき、 リストアが進んでいます。 星爺は、この先いつまで使えるかわからないので、いわゆる「終活」ですね(笑)

もらってくださったのはエイエフテック社長の笠原隆樹さん。 元三鷹光器のスタッフの笠原さんは、様々な天文機材に関わった豊富なご経験を活かし、エイエフテックで天文や光学関係のお仕事をされている非常に技術の高い人です。 弊社のPanhead EQやE-ZEUSⅡのヘビーユーザーです。

青く塗られてCelestron35cmシュミットカセグレンを仮に搭載してみたところ。 赤緯体の取り付け位置は鏡筒に応じて上下に動かせるようになっています。 北側の支柱は60kgもあるので軽量に作り直すのかと思ったら、なんとそのまま使って、しかも移動用赤道儀にされるそうです。 極軸の最北端には大きな雲台や経緯台を付けると星野写真用の特等席になります。
自動導入モータードライブE-ZEUSⅡ(←クリック)を取付けて、鏡筒は40cmくらいにされるそうです。
こちら(←クリック)やこちらの笠原さんのブログ「宙(そら)を見上げて」に、たくさん写真があります。

スカイマックス赤道儀は企画の段階で星爺の要望に応えてくれて、左の写真のように赤緯体を外して極軸だけの大型ポータブル赤道儀にもなる仕組みです。 イギリス式は赤緯体の嵌合部を利用してφ100のアルミパイプを延長しています。 右の写真は星爺のベランダにあった昨年の雪景色。

仕事で天体写真を撮っていた頃は失敗は許されないので、300~400mm望遠レンズをノータッチ追尾で30分以上の露出をするために、追尾精度の良い宇治天体精機スカイマックス、昭和機械製作所20E赤道儀、ミカゲ光器210赤道儀などをチューンナップして、大型の星野撮影用ポータブル赤道儀として使っていました。 これらの赤道儀と同等の大きなウォームホイールを採用し、同様に400mm近い望遠をノータッチ追尾できる、軽量/高精度のポタ赤に仕立てたのがJILVA-170です。

これは据付型でピラーの大きなタイプのスカイマックス赤道儀。 中古のE-ZEUSⅡ改造も数台やりました。 最近は出荷時にE-ZEUSⅡ仕様にしています。 追尾精度の素晴らしい赤道儀です。

こちらは笠原さんが整備を担当している、元国立天文台堂平観測所(現在は宿泊施設のある一般公開の堂平天文台になり埼玉県ときがわ町に移管)のニコン91cmイギリス式赤道儀(←クリック)。
イギリス式は頑丈で精度も高く、一時期(本機は1962年製)は研究者用の赤道儀としてたくさん作られました。  国立天文台岡山天体物理観測所にも口径188cmのイギリス式赤道儀(←クリック)があります。 英国グラブ・パーソンズ製で1960年の完成時には世界第7位の大口径でした。
アマチュア用の据付式赤道儀として、これからもっと普及してほしいと思います。  フトコロを大きくすれば、子午線を越えても鏡筒の東西を入れ替えずに済むのも利点。
古い赤道儀を有効利用して改造するのが得策ですが、そんなに大型の赤道儀の必要はないので、トータルコストもかなり安く上がります。

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●今年は健康に気をつけて頑張ります2018/01/24 01:32


●大マゼラン雲と斜め左に小さく見える赤いタランチュラ星雲。
最近は観賞用の写真を撮影していないので、一昨年のオーストラリア遠征時の作品です。 ポータブル赤道儀は弊社の JILVA-170より小型のユニテック社のSWAT-350を使用しています。
オリンパス100mm F2  ISO1600 EOS Kiss X5 絞りF4で6分露出×6枚コンポジット EOS Kiss DigitalX(天文改造)絞りF4で6分露出×5枚コンポジット EOS Kiss DigitalX にHα干渉フィルター(天文ガイド製半値幅20nm)絞りF2.8で7分露出×4枚コンポジットを処理後に合成
SWAT-350によるノータッチ追尾 撮影地:オーストラリア ゴールドコースト

◆最近の健康状態
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昨年の9月からブログを更新できませんでした。 その後はある程度小康状態を保っていたのですが、昨年末から1月22日まで、1ヶ月ほど寝込んでしまいました。  左眼は手術後に何回か眼球の直接注射をしています。 インターネットの閲覧はできますが、メールなどの文字列を見ると激しく嘔吐してしまい(精神的な問題もあるようです)、頂戴したメールに返信できず、各種製作も遅れて、たいへんご迷惑をおかけしています。 深くお詫び申し上げます。
今現在はかなり快調なので、メールのご返事や遅れている作業をこなすようにいたします。
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●ユニテック(株)社長、加曽利哲也さんの作例
ブログ更新の機会に加曽利さんの作例をお目にかけます。 ユニテック社のポータブル赤道儀SWATシリーズも弊社(株)輝星のSB工房が製作しています。 ポタ赤は補助的な簡易赤道儀として使われることが多いですが、「天体写真撮影機のポタ赤こそ高精度な追尾が必要」とのコンセプトで設計/製作し、どれくらいの望遠レンズまで手放しノータッチ追尾ができるかがポタ赤の命と肝に銘じています。
弊社のPanhead EQJILVA-170とSWATシリーズのウォームギヤまわりの基本構造は同じです。 なのでウォームホイールの直径に比例して追尾精度が向上しています。 例えばSWAT-350(ウォームホイール約φ110mm)は全品検査でPモーションは±7″前後のため、300mm望遠レンズの長時間ノータッチガイドが可能。 JILVA-170(ウォームホイール約φ170mm)はPモーション±4~5″で400mm望遠レンズのノータッチ追尾が可能です。 ほっておくだけのノータッチ追尾は“楽で楽で”やめられません!
左の写真はJILVA-170のウォームホイールで、その左の小さなウォームホイールはφ56mmのPanHead EQ用。 右の写真は左から、SWAT-200の内部ユニット、SWAT-350、試作品のJILVA-170軽量タイプ。

●M45プレアデス星団と周辺の分子雲 (画像をクリックすると拡大されます)
シグマ APO 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(SEO SP-4改造) ISO1600 2分露出×96枚 ハイライト部分に短時間露出を合成 Photoshopで画像処理 SWAT-350によるノータッチ追尾 撮影地:千葉県大多喜町

光害の少ない場所ほど淡い天体が見えるので、星野写真は星空の良さに応じて淡い被写体まで写った高品質の作品を撮影できます。 空が良ければ天体改造をしていないカメラでも、Hαの赤い星雲がそこそこ写ったりします。 日本の星空はどこに行っても光害だらけなので、星爺は最近20年くらいは国内で本気で星野撮影をしたことがありません。
しかし、デジタル時代の大きな利点は「多数枚コンポジットをすれば光害の中から画像処理で淡い天体をあぶり出せる」ことです。 空の悪さは関係なくなった! と言い切っちゃいましょうか!?
加曽利さんの撮影地は郊外ではありますが、星爺なら絶対に行かないほど光害の多い場所です。 それでも多数枚コンポジットで、非常に淡い分子雲まで捉えていることに注目してください。 極端に言えば、デジタル時代は大都会の真ん中でもコンポジットの枚数を圧倒的に増やせば、星野写真を撮影できるのです(画像処理はかなり難しくなりますが)。

●散開星団 M46とM47(NGC 2422)付近(画像をクリックすると拡大されます)
シグマ APO 300mm F2.8 絞り開放 キヤノン EOS 6D(SEO SP-4改造) ISO1600 2分露出×14枚 ハイライト部分に短時間露出を合成 Photoshop、FlatAideProで画像処理 SWAT-350によるノータッチ追尾 撮影地:千葉県大多喜町
散開星団が被写体なので、上のプレアデス星団と周辺の分子雲の写真とは逆に、淡い分子雲は描画しないようにバックを暗くした画像処理を施しています。
明るい星の色が出るように高輝度の星には短時間露出を合成、さらにFlatAideProという星野用の画像処理ソフトで輝星を大きくして味を出しています。 ノータッチ追尾の正確さにも注目してください。

●SWAT-350にドイツ式赤緯ユニットを介してBORG107FLを載せた加曽利さんのシステム。
135mm望遠くらいまでは自由雲台1個で搭載、200mm~300mm望遠レンズはアクセサリーの赤緯ユニットなどを介して搭載するのが一般的な使い方です。 300mm望遠くらいまではSWAT-350の優秀な追尾精度を活かしてノータッチ追尾。 500mm望遠やBORG107FLの場合は、バランスウエイトのあるドイツ式ユニットを使用。 M-GENで赤経のみオートガイドを行なっています。

●M31 アンドロメダ大星雲(画像をクリックすると拡大されます)
シグマ 500mm F4 Sports 絞り開放 キヤノン EOS 6D(HKIR改造) ISO1600 3分露出×39枚 ハイライト部分に短時間露出を合成して星の色を強調  Photoshopで画像処理 SWAT-350+M-GENによる赤経1軸オートガイド 撮影地:山梨県上野原市
アンドロメダ大星雲を強調するため、淡い分子雲は描画しないようにバックを暗くした画像処理を施しています。 コンポジットの枚数も少なめです。 最近の望遠レンズはなかなかシャープですね(このレンズは80万円ですが)。

●M42 オリオン大星雲と周辺の分子雲(画像をクリックすると拡大されます)
BORG 107FL+フラットナー1.08×+ HEUIB-IIフィルター 合成焦点距離 648mm/F6.1 キヤノン EOS 6D(SEO SP-4/HKIR改造) ISO1600 5分露出×16枚+3分露出×86枚コンポジット ハイライト部分に短時間露出を合成 Photoshopで画像処理 SWAT-350+M-GENによる赤経1軸オートガイド 撮影地:千葉県君津市/山梨県上野原市 
周辺をトリミングして拡大しています。 星爺の好みで淡い分子雲まで描画する画像処理を強めに施しています。 口径107mmの107FLは2枚玉のアポクロマートですが、紫色のg線のボケがずいぶん少ない設計のようです。 軽いので星野撮影には適していると思われます。

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●自動導入モータードライブE-ZEUSⅡの取説など2017/09/08 04:17

◆最近の健康状態
ご心配をおかけました体調の方は、両足は何とか回復して歩けるようになりました。 左眼は手術後は順調に回復しているらしく、歪んで見えることには変わりないですが、明るさが戻ってピントが合うようになりました。 まだ自動車の運転はできませんが、早々に復活できそうです。
JILVA-170とオルゴール赤道儀は元メーカーの方に応援していただいて順次仕上げています。
お問い合せメールの返信が遅れて申し訳ありません。 ようやく 片眼をつぶらなくてもメールが読めるようになりました。 大変失礼ながら まとめて返信させていただくようにします。

●自動導入装置 E-ZEUSⅡの取説などのPdfを下記からダウンロードできるようにしました

E-ZEUSⅡには小型赤道儀から25cmクラスの赤道儀に対応する「標準型」と、それ以上の大型の赤道儀に対応する「大型用」があります。 古くても程度の良い赤道儀は便利な自動導入で復活できます。

基本的に赤道儀をお送りいただくか、大型赤道儀は下見出張をして仕様をご相談してから、ギヤまわりなどを設計してモーターを取付けます。 取付けやすい赤道儀もあれば、取付けに苦労する赤道儀もありますが、今まで取付けられなかったことはありません。タカハシNJP赤道儀やペンタックスMS-5赤道儀、またミカゲやアスコの赤道儀の一部はお客様が取付けることが可能です。

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●アメリカで起こった皆既日食2017/08/27 18:55

●焦点距離1296mmによるコロナの詳細画像(土生祐介さん)
8月21にアメリカで見られた皆既日食の写真をご紹介します。 星爺は体調不良で行けませんでしたが、弊社(株式会社 輝星)社友の土生祐介さんが見事な写真を撮影されました。 土生さんは弊社のポータブル赤道儀(PanHead EQ、SWAT-200/300/350、JILVA-170)の駆動回路とプログラムを開発していただいている人で、画像処理のプロフェッショナルです。
皆既日食の撮影にはフルサイズカメラに焦点距離500mm~700mmくらいが適すると言われます。 しかし、色彩のないコロナの細部の諧調を捉えるには、ずっと長い焦点距離で分解能を確保することが重要。  これは印刷でも同様(もっと表現しにくい)で、以前、雲の写真集を制作した際にも白い雲の諧調を確保するのに苦心した経験があります。
この写真はBORG107mm屈折+フラットナー+Canon2倍エクステンダーの焦点距離1296mm F12.1とかなり長くして撮影しています。 カメラはCanon EOS5DMKⅡ改良型で自作の自動制御装置を取付け、赤道儀はVixen SP赤道儀の極軸のみを改造して使用しています。
ISO800にて露出時間は1/2000, 1/1000, 1/500, 1/250, 1/125, 1/60, 1/30, 1/15, 1/8, 1/4秒の連続撮影、皆既前半の121コマの画像を合成して得られた写真です。
望遠鏡で観察した感じに写っている内部コロナの構造に注目してご覧ください。 黒い太陽に見え始めている地球照による月面の模様の処理は未だのようです。

◆最近の状況
先々週は、また両足の具合が悪くなり10日間ほど歩けなくなっていました。 眼が不調でこのブログも代打ちを頼んでいます。 お問い合せのメールの返信も滞って申し訳ありません。 先週は眼の手術をしました。 体のあちこちにガタがきて 「終活を急がねば」 と弱気にもなりましたが、気合を入れて奮起し、「孫娘の結婚式にTemptationsのMy Girlを歌うんだ!」と大きな目標を立てました。
JILVA-170は申し訳ありませんが未だ残り20台が未納です。 1日に2台づつ生産できていますのでもうすぐ完了になる予定です。 ユニテック社のSWAT-300/350は、このところの悪天候でPモーションテストが滞っており、何台かバックオーダーとなっています。
必ず復活して生産と新製品の開発に邁進しますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

●皆既日食の連続写真(牛丸幸平さん)
超広角レンズで5分毎に露出した皆既日食の様子。 地平線の夕焼けや空の暗さが実際の皆既日食の雰囲気を醸し出しています。
牛丸さんはウエスト彗星(C/1975 V1)の見事な写真を撮影された伝説の名手です。 岐阜県のご自宅のドームに弊社の自動挿入装置E-ZEUSⅡを装着したアスコの30cm赤道儀で活躍されています。

●フルサイズ換算400mmによる広がったコロナ樋口達治さん
フォーサーズのOLYMPUS OM-D E-M5 MarkⅡに200mm望遠レンズなので400mm相当の広い画角です。 コロナはこんなに周辺まで伸びています。 太陽活動極小期の変化に富み東西に部分的に伸びた独特のコロナをご覧ください。
このカメラにはカメラ内部にHDR(ハイダイナミックレンジ)処理を自動で行なう機能がありますが、今回はそれを使わず後でHDR処理をするための「HDRブラケット」の機能で多段階露出をしています。
樋口さんは皆既日食は初めてのご経験ですが、30年以上前に『天文ガイド』誌で素晴しい天体写真を発表された大ベテラン。 このたび弊社のJILVA-170もご注文いただきました。

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●胎内星まつり は断念しました2017/07/25 04:55

●「胎内星まつり」 と 「アメリカ日食」は行けません
星爺はこの2周間ほど体調不良で歩くことができない状態でした。 また 片方の眼が良く見えなくなって細かい作業ができません。 前回のご報告より更に悪化して健康が大ピンチです。
JILVA-170をはじめ納品が遅れて多大なご迷惑をおかけしています。 謹んでお詫び申し上げます。

幸い回復傾向にあり、望遠鏡メーカーOBの人にも手伝っていただいて、8月の第一週までには、全てのJILVA-170は完納させます。 ユニテック社のSWAT-350も逐次納品します。
お客様からは「納品はいつでも良い健康が大切」とのメールや励ましのお電話をたくさん頂戴して、涙が出るほど嬉しく思いましたが、アメリカ日食やこの夏の新月にお使いの人も多いので、甘えるわけにも参りません。
そんなこともあり、7月28日から新潟県胎内市で行なわれる『胎内星まつり』の(株)輝星・SB工房の出展と、8月21日の『アメリカ日食』の遠征は断念いたしました。
お盆の頃までには必ずゾンビのように復活して、生産や新製品の開発に邁進いたします。


●日食観察について、星爺なりの見解です
皆既日食には7回しか遠征したことはありませんが、幸い すべて快青下で観察できました。 他のご見解もあろうかと存じますが、星爺なりの見解を掲載します。 年初に書き留めておいた原稿があったので、以下に素の原稿のママ掲載します(今は文面を打つのも片眼で苦労する状態です)。

●皆既の開始まで目隠しのお勧め
肉眼はとりあえずの暗順応には約5分。 完全な暗順応は30分かかると言われます。 暗い映画館などに入ったときに誰しも経験しますね。 星空を見るときはもちろんですね。
アメリカ日食の皆既継続時間は2分ちょっとです。 これでは眼が暗順応して外側の淡いコロナや周辺の惑星や明るい恒星が見え始める前に皆既が終了してしまいます。 そこで、皆既の開始まで「目隠しをすることをお勧めします。
 50年ほど前くらいまでは天文学者も皆既日食を観測することがあり、目隠しをして待機した思い出話をお聞きしたこともあります。

●皆既日食の写真は誰でも撮れて誰にも撮れない?

 太陽の近くの内部コロナは非常に明るく(満月よりも明るい)、外部コロナは薄暗い空に溶け込むほど淡いものです。 ISO感度100で絞りF8では、太陽にごく近い内部コロナはだいたい1/2000秒露出、外部コロナは2秒露出が適正で、全体像の適正露出はあり得ません。 つまり、どんな露出で撮影しても写真の雰囲気が変わるだけで失敗は皆無です。 言い方を変えると どんな露出で撮影しても失敗です。

●内部コロナ~外部コロナまで適正露出にする工夫
皆既日食の写真の逆版(ネガ)のような感じで外側に行くにしたがって淡くなるフィルターをカメラボディのフィルム直前に入れるのが、ニューカーク博士が1960年代に発明した「ニューカークフィルター」です。 内部~外部コロナまで適正露出で撮るには広いダイナミックレンジが必要なので、濃くて厚いガラス製のNDフィルターを光学旋盤で削って作りました。 アメリカ日食用に昭和機械製作所が同様なフィルターを開発中との情報もあります。
1980年2月16日のインドでの皆既日食では、塩田和生さんがダイナミックレンジの広い特殊な銀塩感材でニューカークフィルターを作って、素晴らしい写真を撮影されました。  星爺は製作法の原稿を編集した覚えがあります。 塩田さんは最近は画像処理で日本一(世界一?)の日食写真を撮り続けています。
1991年7月11日のハワイ---メキシコ皆既日食では、当時Sky&Telescope誌の編集者だったデニス・チコさんが、フィルム直前で風車のような形状の小さなプロペラを回して、ニューカークフィルターと同様な効果を狙いました。 星爺は現地で装置を見せていただいた覚えがあります。

画像処理が簡単に行えるようになった昨今、内部~外部コロナまで適正露出の写真を得るには、1/2000~2秒程度の露出で多数枚撮影して適正露出部を画像処理で合成します。 その上でコロナの流線を強調する様々なテクニックを用います。 かなり手間もかかるので、 いっそ「記念写真程度」の撮影に甘んじて、大自然のスペクタクルを眼視で楽しんだほうが得策とも言えますね。
※勇気をもって乱暴に適正露出を定めるなら、1/125秒内外が無難なところでしょうか?

1995年のタイでの皆既日食です。 口径8cm 焦点距離640mmの望遠鏡の直焦点撮影。 ラチチュードの広いISO100のカラーネガフィルムにて1/30秒で撮影し、プリント時に内部コロナを焼き込み外部コロナは覆い焼きをして、少しでも全体が適正露出に近くなるようにしています。 もちろん、それでも適正露出にはほど遠いです。 コロナはもっともっと外側まで広がっています。 左の縁に見えるピンクのプロミネンスは、露出オーバーのコロナに埋もれています。 (画像をクリックすると大きくなります)。

1994年の南米ボリビアでの皆既日食です。 口径80mm 焦点距離640mm望遠鏡。 1回シャッターを押すと8秒~1/2000秒を順番に撮影し続けるコシナの一眼レフ改造カメラボディ使用。 カラーネガフィルムの画像をスキャナーで読み取って、内部~外部コロナの適正露出部を重ね、全体的に適正露出の画像を得てから輪帯的なアンシャープマスキング処理を施して、コロナの流線を強調しています。 右側の写真は4秒露出で写った月面の地球照も上乗せしてあります。
コロナを望遠鏡で見ると、絹糸を放射状に流したような細い細い乳白色の流線が見事です。 上の写真のような粗い流線ではありません。 当時の技術背景と星爺の下手な画像処理では これが限度でした。
デジタルカメラは当時のフィルムよりも圧倒的にシャープに写るので、アメリカ日食では画像処理を工夫してもっともっと詳細なコロナの流線を現すことができると思います。 ただしカラーネガフィルムがオーバー側に5絞り程度の広いラチチュードがあるのに対し、デジカメのラチチュードはかなり狭いので、内部~外部コロナまで細かく多数枚を合成する必要があると思います。

左はタイでの皆既日食。 1/2000秒露出でプロミネンスを狙いました。 プロミネンスはもっと超望遠で拡大して撮影したいですね。 今夏は太陽活動が活発ではないので、大きなプロミネンスが見えるかどうかはわかりません。 星爺が『天文ガイド』誌でインストラクターをしているときは、プロミネンスアイピースを持参して、直前のプロミネンスの様子をツアー参加者に確認してもらいました。 右は皆既終了時のダイヤモンドリングです。

●連続オートブラケット装置
カメラによっては「オートブラケット」と称する、設定したシャッター速度の前後数枚を露出を変えて写す機能があります。 例えばキヤノンEOS6Dなら設定した露出の前後3枚ずつを任意の露出差で撮影できるので、適正露出のないコロナの1枚ごとに露出を変えた撮影に便利です。 本当は前述のコシナのカメラのように全速のシャッターを切り続けてくれると更に重宝なのですが…。
オートブラケットは1回しか撮影できないので、1回スイッチを押せば連続してオートブラケットで撮影し続ける装置を作りました。 SB工房での頒布を計画していたのですが体調不良で叶わないので、今回は遠征する身内のスタッフや関係者の皆さんが使用することになりました。

●溶接面用の色ガラスフィルター
部分日食を見るために濃い色の下敷きやフィルムを使うのはヤメましょう。  眼では減光しているように見えても危険な紫外線や赤外線がノーガードで透過している場合があります。  望遠鏡メーカーなどから供給されている「日食グラス」は多くが ミラーグラスで、短波長の紫外線から長波長の赤外線(熱線)までまんべんなくガードする安全なものと思われます。
星爺は以前から溶接作業用のお面に使う「色ガラス」を使っています。 これはドイツのDIN規格や日本のJIS規格に則った極めて安全な減光フィルターで、紫外線と赤外線もガードしています( 最も透過する色の緑色に見えます。 レイバンのサングラスと同じですね)。 大きさは50mm×100mm。 平面精度は不明ですが、以前に天文学者の先生が「小さくな円形に切って太陽観測用のアイピースに入れる」とおっしゃっていたので、たぶん撮影に用いても問題ないと思われます。
「溶接、遮光ガラス」などで検索してみてください。  色の濃さは薄いもの(ガス溶接用)から濃いもの(電気溶接用)まで数種類あり、肉眼で見るにはDIN規格なら最も濃い目の12番か13番が適すると思います(晴れ間に太陽を見て10番を校正しました。眼鏡のサングラスとの併用は10番が良いです)。 安価な物は1枚200円以下です。 偏光フィルターを2枚用いた調光式もあります。

●その他の情報
写真に撮るとダイヤモンドリングは皆既の始まりも終わりも似たように写りますが、皆既の始まりのは本当はダイヤモンドリングとは言わないらしいです。 皆既の終わりのダイヤモンドリングは、暗順応した眼にピカーッ! と強烈に輝いて見えて感激します。 皆既の始まりのは漫然と暗くなって、太陽の1部が未だ月に隠れていない…といった感じです。 これはこれでスーッと現れるコロナに感激しますが…。

皆既日食撮影の望遠鏡や望遠レンズは、焦点距離500mm~700mmくらいが適すると言われます。 画角的にはまったくその通りです。 しかし、コロナの流線の詳細を撮影するためには1000mm以上が有効です。 外部コロナは狙わないので、適正露出に悩まされることも少なくなります。

一般写真派の人は望遠レンズやズームレンズにテレコンを用いる人が多いです。 しかし、皆既日食は強烈な「逆光」の被写体なので、 レンズ枚数の多い光学系はゴーストが心配です。 とくにダイヤモンドリングはゴーストが出やすいです。 カメラレンズでは長めの露出は諦めて、1/60秒以上の手持ちで撮影するのも妙案です。 自ずと太陽の位置が安定しないので、ゴーストの出ない構図で撮影できることがあります。 満月ころの明るい月を撮影するとゴーストの傾向がわかることもあります。
※本気で撮るにはカメラレンズ(とくにズーム)は避けるべきと思いますが、どうでしょうかね?

天体望遠鏡は単純なレンズなのでゴーストが出にくく、シャープで流線が鮮明に写るので、過去に見事な写真を撮った人達は、ほとんど天体望遠鏡を用いています。
カメラレンズと比較した欠点は、 焦点距離に反比例して像面の凹弯曲が強くなるので、小型の天体望遠鏡ほど周辺の外部コロナがピンボケになりやすいことです。 小型の望遠鏡はド真ん中でピントを合せないでやや端で合せたほうが良いです。 像面平坦化レンズ(フラットナー)を併用すべきかもしれませんがゴーストが心配です。
また、天体望遠鏡は望遠レンズのようなテレタイプの光学系ではないので、入射光が平行光線に近くなるため撮像素子上のゴミが写りやすいものです。 撮影前に撮像素子の清掃をしましょう。 カメラボディ内フィルターはゴミの写る元になるので避けたほうが無難です。

天体望遠鏡や望遠レンズは赤道儀に載せると快適ですが、500mm程度までの望遠で1/8秒露出以上なら日周運動で流れて写ることはありませんから、カメラ三脚に固定するだけも良いですね。
広角レンズによる固定カメラの連続撮影は赤道儀の追尾は無用です。 が、太陽の動いてゆく方向をシミュレートして構図を決めるためには、赤道儀に載せて回してみるとわかりやすいです。

皆既日食の観察には双眼鏡が必携です。 天体望遠鏡で100倍以上の倍率で見るのもお勧めです。 内部コロナがシューッと音を立てて吹き出している感じに見え、太陽に近いコロナは渦を巻くように乱れて見えることもあります。 大感激すること請け合いです。

皆既日食の前後は晴れれば当然カンカン照りなので、ノートパソコンの画面が非常に見にくくなります。 詳細なディスプレイほど見にくいです。 ディスプレイのまわりを囲ったり黒い布をかぶるなど、事前にいろいろ試してみてください。
当日はどこも快晴に恵まれることを期待しています。


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