●画像生成AIで---天体写真趣味は目出度くオワコン?2026/09/23 13:42

画像生成AIで---天体写真趣味はオワコン?
ChatGPTやGemini 3が普及して、天体写真のAI画像処理を多くの人達が経験したので、時期が来たと見て星爺の私見を述べます。
結論を先に申し上げると 「生きているうちは天体写真の趣味は廃れないだろう」 と思っていたのが、画像生成AIが普及したらこの趣味は終焉してしまいそう。 少なくとも撮影や画像処理の腕前を競う(星景などの芸術作品は別) コンテストの世界はなくなるでしょう。
AI(Artificial Intelligenc/人工知能)と言っても様々なので一言で表現するのはアブナイと思います。 最初にどのような種類のAIがあるかを独断と偏見で大まかに ①②③ に分けます。

① AIに画像処理をやってもらう
ここでは画像生成AIと称す。 もっとも警戒せねばならないアブナイ方法。
読み込んだ画像に適切な画像処理を施すのではなく 「AIが学習し記憶した画像を見繕って貼る」 のでコラージュに近い。 自分で撮影した画像を元に画像処理をさせても、その上に遠慮なく他の画像を貼り付けてしまう。 プロンプトで他の画像を貼らないように強く指定しても解消されない。 ①は切り貼りやお絵描であり画像処理とは言えないので禁止する必要がある。

② AIに画像処理の手法を質問する
質問の仕方によってはかなり参考になる良い答えが返って来る。 有効に活用できそう。
基本的には AIが学習した周知済みの多数派のあるいは平均的な手法を整理して応えてくれるのであり、画期的/新しい試みは行なわれない。

③ 画像処理ソフトのBXT等の AI機能
詳細はブラックボックスだが、基本はデコンボリューション(逆畳み込み積分)なので科学的な手法。 科学的でない部分もあるが許せる範囲と(星爺は)思う。 自分で撮影した画像を読ませ AIで適切な処理を施すので、 ③のAIは ①のAIとは完全に別物で同列に扱ってはならない。 どんどん利用するべき。

上記 ② ③ はせいぜい利用するのが便法でしょう。 ①はAIを動かすための命令書(プロンプト)で充分慎重な指示を与えても 「貼付け行為」 を行なってしまうようです。
「①で良いのだ / ①の AI こそ最新技術だ」 と思ってしまう初心者は多いと思います。 ベテランでもプロンプトで弱い画像処理を指定すればOKと思う人、結果を疑っていても誘惑に負けて使ってしまう人も居るでしょう。 天体写真ファンの30%は ①を容認しているように感じられます(だいたいの勘ですが)。
ここでは、星野写真に限定して ①の作例を掲げで皆様のご意見をお聞きしたいです。
なお、惑星観測者の間では AIは全面的に禁止、一般写真のフォトコンテストでも AI(や凝った画像処理も)は禁止が多いようです。

●M82銀河の細部を画像処理で明瞭にする
日本を代表する天体写真の名手 橋本裕二さんから25cm反射で撮影したM82銀河の写真を提供していただきました。 名手の画像にはJPGで圧縮されてもハイライトやシャドーの見えない部分に多くの 「潜像」 があるので、画像処理を施してあぶり出すことができます。
一番上が橋本さんの無理のない忠実な画像処理、中央が星爺がインチキ寸前の強烈な画像処理をしてHαの赤色星雲を強調。 一番下がGemini 3に画像処理をさせた結果で、他の画像を貼らないことと控えめな処理を行うようにプロンプトを書いても、ハッブル宇宙望遠鏡の写真を貼ったと思われるド派手な結果になってしまいました。 これは貼り付けであって画像処理ではない。

●潜像にデータの無いM42の画像をプロンプトを変えて処理
下左は10cmED望遠鏡で撮った ①の処理を行なう前のM42オリオン大星雲。 ハイライトはわざとサチらせシャドーは焼き込んで 「潜像のほとんど無い」 画像処理をしても良くなるはずのない画像を作ってのテストです。
右にゆくにしたがって他の画像を貼らないよう、派手な処理禁止とプロンプトで強く指定。 指定が弱いと(左からに番目)他の画像を臆面もなく貼り付けられちゃいますね。 一番右は処理がかなり弱くて 「もっともらしく」 見えますが、貼っていることには変わりない---要するに ①は画像生成AIであり、 AI学習で得た他の画像を貼るための処理のように思います。 なので絶対に禁止すべき。

●百武彗星の頭や尾を明瞭に出せるか?
20世紀最大の彗星と言われた「百武彗星」を自作25cm F2.2シュミットでとらえた思い出の写真を ①で処理してみました。 印画紙プリントを複写した画像なので見えている以上の潜像は無い---すなわち上のM42の作例と同じような元画像です。
他に似たような大きさの画像が転がっていないからか? プロンプトによって様々に変化しました。 もちろん、どの結果もまともとは言えません。

●モノクロ詳細 L画像のカラー化は一応できる
10年以上前にオーストラリアで100mm望遠で撮った 「大マゼラン雲」です。 ヘタクソですがまぁまぁ自然な感じの写り具合と思います。
右側のモノクロ画像をL画像にあてがって ①の AI で色を付けるように命令してみました。
カラー画像には RGBレイヤー配列分解のインスタントな撮影の他に 「L-RGB」 や 「Lab」 があります。 画像を形成するモノクロ輝度信号(L画像)は詳細に撮影し、カラー信号は粗く簡単に撮って色付けに使う手法で、 星爺が昔からやっている好きな手法です。 モノクロ画像が手元に無かったので、大マゼラン雲の写真からL画像を作って代用し 「AI がうまい具合に色を付けてくれるか?」 やってみました。 プロンプトの違いで3枚掲げます。
一番左には無いはずの星雲が出現。 プロンプト次第でそこそこの色にはなるようですが使い物にはなりそうにありません。

①の画像生成AI以外は趣味の道具として大いに利用すべきでしょう。 便利になることはステータスが下がることではない、複雑な画像処理を行なった過去は自慢できるものでもない。 初心者も熟達者も同じ土俵に立てるなら天文普及には好ましいと思います。 
ただし、 ①を無意識に使ってしまったり内緒で使うようになると、科学写真でも記録写真でもないコラージュが氾濫してしまう。 そうなれば天体写真コンテストなどは成り立たなくなるでしょう。 しかしながら趣味としては、むしろ目出度い気楽で楽しい方向性が見えたのかもしれません。 (完)

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