●胎内星まつり は断念しました2017/07/25 04:55

●「胎内星まつり」 と 「アメリカ日食」は行けません
星爺はこの2周間ほど体調不良で歩くことができない状態でした。 また 片方の眼が良く見えなくなって細かい作業ができません。 前回のご報告より更に悪化して健康が大ピンチです。
JILVA-170をはじめ納品が遅れて多大なご迷惑をおかけしています。 謹んでお詫び申し上げます。

幸い回復傾向にあり、望遠鏡メーカーOBの人にも手伝っていただいて、8月の第一週までには、全てのJILVA-170は完納させます。 ユニテック社のSWAT-350も逐次納品します。
お客様からは「納品はいつでも良い健康が大切」とのメールや励ましのお電話をたくさん頂戴して、涙が出るほど嬉しく思いましたが、アメリカ日食やこの夏の新月にお使いの人も多いので、甘えるわけにも参りません。
そんなこともあり、7月28日から新潟県胎内市で行なわれる『胎内星まつり』の(株)輝星・SB工房の出展と、8月21日の『アメリカ日食』の遠征は断念いたしました。
お盆の頃までには必ずゾンビのように復活して、生産や新製品の開発に邁進いたします。


●日食観察について、星爺なりの見解です
皆既日食には7回しか遠征したことはありませんが、幸い すべて快青下で観察できました。 他のご見解もあろうかと存じますが、星爺なりの見解を掲載します。 年初に書き留めておいた原稿があったので、以下に素の原稿のママ掲載します(今は文面を打つのも片眼で苦労する状態です)。

●皆既の開始まで目隠しのお勧め
肉眼はとりあえずの暗順応には約5分。 完全な暗順応は30分かかると言われます。 暗い映画館などに入ったときに誰しも経験しますね。 星空を見るときはもちろんですね。
アメリカ日食の皆既継続時間は2分ちょっとです。 これでは眼が暗順応して外側の淡いコロナや周辺の惑星や明るい恒星が見え始める前に皆既が終了してしまいます。 そこで、皆既の開始まで「目隠しをすることをお勧めします。
 50年ほど前くらいまでは天文学者も皆既日食を観測することがあり、目隠しをして待機した思い出話をお聞きしたこともあります。

●皆既日食の写真は誰でも撮れて誰にも撮れない?

 太陽の近くの内部コロナは非常に明るく(満月よりも明るい)、外部コロナは薄暗い空に溶け込むほど淡いものです。 ISO感度100で絞りF8では、内部コロナはだいたい1/2000秒露出、外部コロナは2秒露出が適正で、全体像の適正露出はあり得ません。 つまり、どんな露出で撮影しても写真の雰囲気が変わるだけで失敗は皆無です。 言い方を変えると どんな露出で撮影しても失敗です。

●内部コロナ~外部コロナまで適正露出にする工夫
皆既日食の写真の逆版(ネガ)のような感じで外側に行くにしたがって淡くなるフィルターをカメラボディのフィルム直前に入れるのが、ニューカーク博士が1960年代に発明した「ニューカークフィルター」です。 内部~外部コロナまで適正露出で撮るには広いダイナミックレンジが必要なので、濃くて厚いガラス製のNDフィルターを光学旋盤で削って作りました。 アメリカ日食用に昭和機械製作所が同様なフィルターを開発中との情報もあります。
1980年2月16日のインドでの皆既日食では、塩田和生さんがダイナミックレンジの広い特殊な銀塩感材でニューカークフィルターを作って、素晴らしい写真を撮影されました。  星爺は製作法の原稿を編集した覚えがあります。 塩田さんは最近は画像処理で日本一(世界一?)の日食写真を撮り続けています。
1991年7月11日のハワイ---メキシコ皆既日食では、当時Sky&Telescope誌の編集者だったデニス・チコさんが、フィルム直前で風車のような形状の小さなプロペラを回して、ニューカークフィルターと同様な効果を狙いました。 星爺は現地で装置を見せていただいた覚えがあります。

画像処理が簡単に行えるようになった昨今、内部~外部コロナまで適正露出の写真を得るには、1/2000~2秒程度の露出で多数枚撮影して適正露出部を画像処理で合成します。 その上でコロナの流線を強調する様々なテクニックを用います。 かなり手間もかかるので、 いっそ「記念写真程度」の撮影に甘んじて、大自然のスペクタクルを眼視で楽しんだほうが得策とも言えますね。
※勇気をもって乱暴に適正露出を定めるなら、1/125秒内外が無難なところでしょうか?

1995年のタイでの皆既日食です。 口径8cm 焦点距離640mmの望遠鏡の直焦点撮影。 ラチチュードの広いISO100のカラーネガフィルムにて1/30秒で撮影し、プリント時に内部コロナを焼き込み外部コロナは覆い焼きをして、少しでも全体が適正露出に近くなるようにしています。 もちろん、それでも適正露出にはほど遠いです。 コロナはもっともっと外側まで広がっています。 左の縁に見えるピンクのプロミネンスは、露出オーバーのコロナに埋もれています。 (画像をクリックすると大きくなります)。

1994年の南米ボリビアでの皆既日食です。 口径80mm 焦点距離640mm望遠鏡。 1回シャッターを押すと8秒~1/2000秒を順番に撮影し続けるコシナの一眼レフ改造カメラボディ使用。 カラーネガフィルムの画像をスキャナーで読み取って、内部~外部コロナの適正露出部を重ね、全体的に適正露出の画像を得てから輪帯的なアンシャープマスキング処理を施して、コロナの流線を強調しています。 右側の写真は4秒露出で写った月面の地球照も上乗せしてあります。
コロナを望遠鏡で見ると、絹糸を放射状に流したような細い細い乳白色の流線が見事です。 上の写真のような粗い流線ではありません。 当時の技術背景と星爺の下手な画像処理では これが限度でした。
デジタルカメラは当時のフィルムよりも圧倒的にシャープに写るので、アメリカ日食では画像処理を工夫してもっともっと詳細なコロナの流線を現すことができると思います。 ただしカラーネガフィルムがオーバー側に5絞り程度の広いラチチュードがあるのに対し、デジカメのラチチュードはかなり狭いので、内部~外部コロナまで細かく多数枚を合成する必要があると思います。

左はタイでの皆既日食。 1/2000秒露出でプロミネンスを狙いました。 プロミネンスはもっと超望遠で拡大して撮影したいですね。 今夏は太陽活動が活発ではないので、大きなプロミネンスが見えるかどうかはわかりません。 星爺が『天文ガイド』誌でインストラクターをしているときは、プロミネンスアイピースを持参して、直前のプロミネンスの様子をツアー参加者に確認してもらいました。 右は皆既終了時のダイヤモンドリングです。

●連続オートブラケット装置
カメラによっては「オートブラケット」と称する、設定したシャッター速度の前後数枚を露出を変えて写す機能があります。 例えばキヤノンEOS6Dなら設定した露出の前後3枚ずつを任意の露出差で撮影できるので、適正露出のないコロナの1枚ごとに露出を変えた撮影に便利です。 本当は前述のコシナのカメラのように全速のシャッターを切り続けてくれると更に重宝なのですが…。
オートブラケットは1回しか撮影できないので、1回スイッチを押せば連続してオートブラケットで撮影し続ける装置を作りました。 SB工房での頒布を計画していたのですが体調不良で叶わないので、今回は遠征する身内のスタッフや関係者の皆さんが使用することになりました。

●溶接面用の色ガラスフィルター
部分日食を見るために濃い色の下敷きやフィルムを使うのはヤメましょう。  眼では減光しているように見えても危険な紫外線や赤外線がノーガードで透過している場合があります。  望遠鏡メーカーなどから供給されている「日食グラス」は多くが ミラーグラスで、短波長の紫外線から長波長の赤外線(熱線)までまんべんなくガードする安全なものと思われます。
星爺は以前から溶接作業用のお面に使う「色ガラス」を使っています。 これはドイツのDIN規格や日本のJIS規格に則った極めて安全な減光フィルターで、紫外線と赤外線もガードしています( 最も透過する色の緑色に見えます。 レイバンのサングラスと同じですね)。 大きさは50mm×100mm。 平面精度は不明ですが、以前に天文学者の先生が「小さくな円形に切って太陽観測用のアイピースに入れる」とおっしゃっていたので、たぶん撮影に用いても問題ないと思われます。
「溶接、遮光ガラス」などで検索してみてください。  色の濃さは薄いもの(ガス溶接用)から濃いもの(電気溶接用)まで数種類あり、肉眼で見るにはDIN規格なら最も濃い目の12番か13番が適すると思います(晴れ間に太陽を見て10番を校正しました。眼鏡のサングラスとの併用は10番が良いです)。 安価な物は1枚200円以下です。 偏光フィルターを2枚用いた調光式もあります。

●その他の情報
写真に撮るとダイヤモンドリングは皆既の始まりも終わりも似たように写りますが、皆既の始まりのは本当はダイヤモンドリングとは言わないらしいです。 皆既の終わりのダイヤモンドリングは、暗順応した眼にピカーッ! と強烈に輝いて見えて感激します。 皆既の始まりのは漫然と暗くなって、太陽の1部が未だ月に隠れていない…といった感じです。 これはこれでスーッと現れるコロナに感激しますが…。

皆既日食撮影の望遠鏡や望遠レンズは、焦点距離500mm~700mmくらいが適すると言われます。 画角的にはまったくその通りです。 しかし、コロナの流線の詳細を撮影するためには1000mm以上が有効です。 外部コロナは狙わないので、適正露出に悩まされることも少なくなります。

一般写真派の人は望遠レンズやズームレンズにテレコンを用いる人が多いです。 しかし、皆既日食は強烈な「逆光」の被写体なので、 レンズ枚数の多い光学系はゴーストが心配です。 とくにダイヤモンドリングはゴーストが出やすいです。 カメラレンズでは長めの露出は諦めて、1/60秒以上の手持ちで撮影するのも妙案です。 自ずと太陽の位置が安定しないので、ゴーストの出ない構図で撮影できることがあります。 満月ころの明るい月を撮影するとゴーストの傾向がわかることもあります。
※本気で撮るにはカメラレンズ(とくにズーム)は避けるべきと思いますが、どうでしょうかね?

天体望遠鏡は単純なレンズなのでゴーストが出にくく、シャープで流線が鮮明に写るので、過去に見事な写真を撮った人達は、ほとんど天体望遠鏡を用いています。
カメラレンズと比較した欠点は、 焦点距離に反比例して像面の凹弯曲が強くなるので、小型の天体望遠鏡ほど周辺の外部コロナがピンボケになりやすいことです。 小型の望遠鏡はド真ん中でピントを合せないでやや端で合せたほうが良いです。 像面平坦化レンズ(フラットナー)を併用すべきかもしれませんがゴーストが心配です。
また、天体望遠鏡は望遠レンズのようなテレタイプの光学系ではないので、入射光が平行光線に近くなるため撮像素子上のゴミが写りやすいものです。 撮影前に撮像素子の清掃をしましょう。 カメラボディ内フィルターはゴミの写る元になるので避けたほうが無難です。

天体望遠鏡や望遠レンズは赤道儀に載せると快適ですが、500mm程度までの望遠で1/8秒露出以上なら日周運動で流れて写ることはありませんから、カメラ三脚に固定するだけも良いですね。
広角レンズによる固定カメラの連続撮影は赤道儀の追尾は無用です。 が、太陽の動いてゆく方向をシミュレートして構図を決めるためには、赤道儀に載せて回してみるとわかりやすいです。

皆既日食の観察には双眼鏡が必携です。 天体望遠鏡で100倍以上の倍率で見るのもお勧めです。 内部コロナがシューッと音を立てて吹き出している感じに見え、太陽に近いコロナは渦を巻くように乱れて見えることもあります。 大感激すること請け合いです。

皆既日食の前後は晴れれば当然カンカン照りなので、ノートパソコンの画面が非常に見にくくなります。 詳細なディスプレイほど見にくいです。 ディスプレイのまわりを囲ったり黒い布をかぶるなど、事前にいろいろ試してみてください。
当日はどこも快晴に恵まれることを期待しています。


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●最優秀作品、おめでとうございます!2017/07/04 05:51

●前回のブログでご紹介した山本 整さんが、
誠文堂新光社 月刊天文ガイド8月号「読者の天体写真」の応募作品 「スマホコリメート法による木星」で最優秀作品を獲得しました! 本当におめでとうございます!

大半の読者は「スマホで撮れたから入選したのだろう」と思われるかもしれません。 しかし「読者の天体写真」は、安価な機材で頑張ったからとか、初心者が努力したから入選とかは全くありません。 作品の出来のみを評価することが最もフェアな選考基準だからです(今でもそうだと思います)。 山本さんの作品は見事な木星画像が評価された堂々たる最優秀作品ですね!
編集部の慧眼と批評の先生の的確な解説に敬意を表します。

このところ星爺は体調が非常に悪いので(後述)、スマホコリメートについてはしばらく経ってからご説明をさせて頂く予定です。 嬉しいニュースなので取り急ぎご報告と簡単な説明をします。
月面や惑星の拡大撮影には様々な手法があります。 カメラでアイピースの中を撮影する「コリメート法」は、昔は「一眼レフカメラを持っていない初心者向けの撮影法」とされていましたが、決してそうではありません。 レンズ構成が多くなるので実際は最も難しい手法です。 スマホのカメラはかなり優秀ですが、レンズが小さいので短焦点のアイピースと組合せるには光軸調整に高度な技術が必要です。 独特の自動露出や動画転送は便利な反面制約も多く撮影には苦労が伴います。

入選作品は汎用のスマホ用アダプターを使っていますが、現在は星爺の作ったこのようなシンプルなアダプターを使っています。 ワンタッチで光軸が精密に合います。 スマホカメラが端に付いていてバランスが悪いので真鍮のバランスウエイトが付いています。 天頂プリズムを併用しています。
望遠鏡はタカハシTSA120型口径120mm 焦点距離900mmの屈折望遠鏡。 現在は様々なバーローレンズやアイピースを試して、さらに明瞭に写す工夫をしている最中です。

月面の静止画撮影は撮像素子の小さなスマホカメラでは、拡大率が低くて像が明るいため(35mm判の数倍)高速シャッターを切ることができ、シンチレーションの影響が少なくシャープに写ります。
もしかしたら、これからは月面の静止画撮影は「スマホに限る!」という新常識が生まれるかもしれませんね。(画像をクリックすると大きくなります)。

スマホで月面が良く写ると言っても惑星は条件が異なるので月面とは全く異なる手法を用います。惑星の場合は拡大率が大きく、シンチレーションで常にブルブル震えているため静止画ではダメ。 最優秀作品のように動画を撮影して数千枚のカットをウェーブレット処理します。 動画撮影はスマホカメラは制約が多くWEBカメラに比べずいぶん不利なので、これをどう解決するかが今後のテーマです。


●眼の健康にはお気をつけください
持病の影響なのか無理をしすぎたのかは不明ですが、片方の眼が突然大きく歪んで暗く見えるようになってしまいました。 この文面も片眼で打っています。 遠近感がないためか1時間も作業をすると吐き気と目眩でダウン。 何時間か寝てまた1時間作業…、を繰り返しています。 SB工房のお問合せのお返事も10日ほど滞っていて 申し訳ありません。
このまま見えなくなってしまうのか? という恐怖もありますが、JILVA-170などの生産が遅れているので、作業を優先して手術は順延してもらっています。
眼が悪くなったら星を楽しむどころではありません。 皆様も眼の健康にはお気をつけください。

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●スマホによる月面撮影2017/04/14 03:44

●最初に業務連絡です
JILVA-170の生産は順調でしたが、また持病の発作が頻発して納品が遅れ始めました。 お待たせしているお客様には本当に申し訳ありません。
ナンチャッテ正立極望をご注文いただいたリストのデータベースが不調のようです。 この2ヶ月以内にお問合せいただいた方で商品未着の場合はお知らせください。

●明るい月面ならスマホで撮れない理由はない!
このようなことを10年ほど言い続けているのですが、誰ぁ~れも信用してくれません(笑)。 が、縁あって山本 整さんがスマホ撮影をしていることを知り、いろいろ協力させていただいています。 山本さんは 私の息子達よりも若い自称初心者の天文ファンです。 年齢に関係ないお付き合いのできるのは趣味ならではの楽しみですね!
まずは作例をご覧ください。 山本 整さんの撮影で最終的な画像処理は星爺が行なっています。 好みで眩しい感じに仕上げています。
望遠鏡はタカハシTSA120型口径120mm 焦点距離900mmに1.6倍バーローを付けて焦点距離1440mm F12 ニコン5mmアイピースとギャラクシーS7スマホによるコリメート法です。
「スマホで撮ったなんてウソだ!」 と疑われるほど良く写っていると思いませんか?

こちらも山本 整さんの撮影。 下に月面撮影の第一人者であるユニッテック(株)の加曽利社長(ポタ赤SWATなどを販売)が偶然同じ日に 口径107mmアポクロマート屈折をポタ赤SWAT-350に搭載してキヤノン6Dで撮影された素晴らしくシャープな月面を掲げます。四角枠内を比べてみてください。

光学系はこのように組んでいます。 コリメート法ですがスマホのカメラレンズの焦点距離は5mmくらいなので、タンデムリレー系ではほとんど拡大していません。 下の写真はTSA120屈折をビクセンの赤道儀に載せたところ。 天頂プリズムを使用しています。 都内の光害の多い場所。

●コリメート法の要点
スマホカメラでの撮影は、必然的に「コリメート法」になります。 コリメート法は初心者向けとされていることから(?)、詳しく解説されたことがないようなので、この際に要点をまとめます。
コリメート法は、アイピースを「コリメーターレンズ」に代用するテレセントリックのタンデムリレーです。 望遠鏡の直焦点の像をアイピースとカメラレンズでリレーして撮像素子に投じるので、アイピースの焦点距離とカメラレンズの焦点距離の比率で、撮像素子上の像の大きさが決まります。

肉眼の代わりにカメラレンズで「アイピースをのぞく」のがコリメート法ですが、アイピースの主点(アイレリーフ)とカメラレンズの主点を正確に合せないと収差が発生します。 つまりアイピースとスマホカメラレンズの間隔がとても重要です。  上の図のようにカメラレンズを中心にしてレンズを傾けても、像が動かない位置が主点同士が正確に合った位置です(スネルの法則による)。
※このことに言及した書物は無いようで、間隔調整を能率的にできるアダプターも無いようです。

アイピースとカメラレンズの中心も正確に合せないと収差が発生します。 カメラレンズの大きさに反比例して中心合せがシビアになるので、レンズのとても小さなスマホカメラでは深刻な問題です。 作例の下の方で二線ボケが認められるのは、中心合せが不正確なためと思います。
※肉眼でのぞく場合は意識せずに中心や主点の合った快適に見える位置に眼がいきます。 が、眼視の経験から眼の代わりにカメラを使っても同じだ…と思っちゃうのが落とし穴ですよ!

アイピースをのぞいて肉眼でピントを合せると、健常眼では25~30cmの距離にピントが合います。 本来は無限のピントに合せてカメラレンズも無限にしないと収差が発生し、ピントの深度も浅くなります。 しかし、オートフォーカスを利用するなら、肉眼でピントを合せた方が便利かもしれません。

●スマホカメラで月面が良く写る理由

スマホカメラの撮像素子は非常に小さく、35mm判フルサイズカメラの1/6くらいしかありません。 そのため、画素も非常に小さくて基本性能が低く、きれいな写真を撮るには不利なのですが、カンカン照りの日中の風景ならばフルサイズに遜色のない描画をしますよね? スマホでも月面が良く写る理由はこれ 被写体がカンカン照りの風景なみの明るさなら、普通にきれいに写るのです。

フルサイズカメラで月面を強拡大すると、像が薄れてずいぶん暗くなってしまいます。 しかし、フルサイズと同じ構図なら、スマホカメラは1/6の拡大率になるので像の明るさは36倍にもなります。
上の図のように、今回の作例の装置ではタンデムリレーはほとんど等倍なので、撮像素子に投じられるのは1440mm F12の像です。 月は太陽からの距離が地球と同じなので、カンカン照りの日中の風景と同じ明るさです。 F12ならばISO感度100で1/125~1/250のシャッターを切ることができます!
35mm判フルサイズ換算では、焦点距離8640mm F12相当とスゴイことになっているわけですね。

●スマホカメラの問題点と可能性
スマホカメラの仕様/機能は千差万別で性能にも差があります。 今回は高性能なギャラクシーS7(上の写真)を使ったのも成功の鍵と思います。 
市販のスマホカメラのアダプターは初心者向けの汎用型です。 主点合せや中心合せがやリにくいので、スマホを正しく装着できるオリジナルのアダプターを製作する必要はあるでしょう。 
スマホカメラにはオートフォーカス、自動露出、ボカシ撮影、カメラ内部の画像処理など多くの便利機能が搭載されていますが、 これらの機能が便利なこともあれば不便なこともあるので、うまく使ったり使わなかったり、「カメラの機能を騙して使う」ような工夫も必要になります。

動画も撮影できるので、惑星撮影のウェーブレット処理もうまくゆく可能性があります。 惑星は月よりも暗い(大接近時の火星は反射率が高く月より明るい)ので像をもっと明るくするため、望遠鏡は口径20cm以上が望ましいかもしれません。 「口径は命!」 「大口径の分解能が肝心」と言われることが多いようですが、実はそうでもなくて「明るさが肝心」です。
結果的に口径が大きいと像が明るかったり、重くてブレにくいので良く写ることもあり得ます。

この装置の1.6倍バーローを外して元の焦点距離 900mm F7.5にしてアイピースを25mmに交換すると、タンデムリレーで約1:5 に縮小されて 7.5÷5=合成F1.5 と非常に明るくなります。 ただし、このスマホカメラのレンズはF1.7なので、うんと縮小しても光線がケラレてF1.7以上には明るくなりません。
このようなリレーレンズは、両方とも同じレンズの場合はタンデム(連結、二人乗りの意味)リレーと言われます。 本稿では片方のレンズが異なっても便宜的にタンデムリレーと称します。 縮小する場合は、縮小光学系とか縮小コリメートと言われることが多いです。
このようにすれば、明るい惑星状星雲や球状星団などなら、スマホカメラで案外写る可能性もあります。 そこそこの写真が撮れてしまったら痛快ですね!
↓下にこのような縮小コリメートの作例を掲げました。 スマホでなくコンデジのPanasonic LX-7の作例ですが、合成焦点 F1.4の威力がわかると思います。

いずれにしろ、スマホだから、初心者向けのコリメート法だから、と簡単に考えずに理論から導いた正しい使い方と装置を確立したいものです。 山本 整さんとタッグを組んでやってみます。
皆さんも、とりあえず明るい月面でスマホ撮影を試してみませんか?

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●●縮小光学系による星雲・星団(2017_04_18追記)●●
コメント欄に北杜の犬さまから縮小光学系の話題をいただきました。 今後のネタの予定でしたが、前倒しで作品を3点お目にかけます。 撮影は小惑星ハンターとしても名高い平澤正規さん。
いて座の散光星雲 M20 25cmF5.6反射にXW20mm+LX7でF1.4。 ノータッチガイド 露光時間は被写体に合わせて40秒~ 1分と短くてOK。 4枚ほどコンポジットしています。 以下はデータ同じ。
いて座の球状星団 M55 まばらで地味な球状星団ですが、たっぷり露光でハデに写っています。
おおぐま座の M109と周辺にたくさんある小さな銀河。 好条件だと19等の銀河が写ります。


星雲・星団にはスマホではなく、コンパクトデジタルカメラのPanasonic LX-7を使います。
10年ほど前から星爺が平澤さんや有志の皆さんと取組んでいる手法で 「縮小コリメート」 と称しています。 原理はスマホの解説と同様で、タンデムリレーの縮小率を1/4.25と大きくして、LX-7の 4.7mm F1.4 を生かせる明るさにしています。 撮像素子が小さくて、レンズが明るくてシャープで、マニュアル操作が豊富なカメラが適しますが、LX-7以外にはなかなか目的に叶ったカメラがありません。 いずれ詳しく発表しますが、今回はとりあえず作例写真と構想を練っていた頃の概念図をご披露します。
光学系が複雑になるので欠点も多く、これからも改良を続けねばなりません。 でも、F1.4の非常に明るい光学系は撮影失敗もなく、楽で楽でやめられません!  ふつうの長時間露出の直焦点撮影はバカバカしい?(笑) 平澤さんは短期間に500カットほどの作品を撮影されました。


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●スカイウオッチャーの超小型ポタ赤2017/03/12 07:47

◆前の記事の板垣公一さんの高橋FRC300望遠鏡は、海外の超新星捜索者などから多くの問合せをいただきましたが、長野県の別荘観測所に設置されることになりました。

◆JILVA-170はようやく順調に出荷を開始しています。完成が遅れに遅れて申し訳ありません。おまたせしている皆さんには、進捗のお知らせとパーツの確認のメールを逐次お送りしています。
1台ごとに実際の星でPモーションを測定するのは大変でした。公称±4~±5″の追尾精度は、実際はもっと厳しくしています。 結果の悪い個体は再調整またはウオームネジユニットを交換して再測定しますが、調子が悪いと一晩に1台も完成しないことがあります。
毎晩のように待機して何ヶ月もパジャマを着て寝たことがなく、持病の発作が頻発したこともあって、生まれて初めて「精神的な問題で体が動かない」経験をしました。今は落ち着いておりますが。

●素晴らしい設計のスカイウオッチャー超小型汎用ポタ赤
中国SYNTA社のスカイウオッチャーブランドの超小型ポーターブル赤道儀を入手したので概要をご紹介します。 名称は Skywatcher Star Adventurer Mini WiFi Astro Imaging Mount と言います。 日本ではケンコーさんからスカイメモTの商品名でデビューするのではないかと思います。
ポータブル赤道儀として使用する他に、むしろタイムラプスなどの「汎用回転架台」として完成の域に達した素晴らしい設計/仕様です。 SYNTA社とは社長をはじめとしたスタッフの方と10年ほど前にポタ赤の会議をしたことがあります。高い技術を投入した本機の登場に敬意を表します。中国の天体望遠鏡メーカーの事情は拙ブログのここをご覧ください。中国の技術をナメではいけませんよ!

●剛性が高いモノコック構造
Skywatcher Star Adventurer Mini …本体の大きさは75mm角ほどで赤い部分は鋳物で作ったスケルトンのモノコック構造。左右のグレーのプラスチックカバーを外すと中が見えます。 上下に極軸を支えるベアリングが入っていて、ターンテーブルはビクセン互換のアリ溝で安価なポタ赤と異なり粗動回転もします。
動力は超小型ギヤードDCモーター+に簡単なエンコーダのサーボ式で、最高速度は日周運動の50倍くらいのようです。 発振は水晶かどうかはわかりませんでした。 ウォームネジハウジングは精度の高そうなアルミの一体型。 伝達ギヤは立派なスパーギヤが使われています。
ちなみに、弊社の赤道儀はここでも販売されているPM型ステッピングモーターのギヤヘッドが1/72のタイプです。 ビクセンさんのポラリエやAP-1も同様です。
電源は右の写真の向こう側の単Ⅲ乾電池2本の他にUSB外部電源が使えます。 弊社のポタ赤が初めて採用した極望代わりの 「覗き穴」 は照星/照門式で、赤色LEDで穴の中をほんのり照明します。
極軸はφ35程度のパイプで上下端を薄型のベアリングで支え、極軸の中央がφ38(歯数は78?)ほどのウォームホイールになっています。 極軸パイプの中に極望も入れられる仕組みのようです。
各種の設定は本体で行なうのではなく、本体にWifiがありスマホから行ないます。 Wifiの回路は市販の汎用品のようです。ポータブル赤道儀として使うよりも、名称のように「汎用タイムラプス撮影架台」として設計されたようで、タイムラプスの機能は豊富でもちろんカメラのシャッターも制御できます。
写真は水平に取り付けたところです。ポタ赤として使用する場合は、右の写真に見える横のカメラネジで三脚と雲台に取り付けて、撮影地の緯度に合わせて傾けて極軸設置をします。

極軸を強固に支えるには極軸を長くしてベアリング間を離すか、極軸が短い場合は直径の充分大きなベアリングを用いる(高価になりますが弊社の生産するSWATJILVA-170はこれ)かになります。 本機のベアリングは6800系の薄いものですが、適度に大きなベアリングを適度に離したバランスの良い設計です。
特筆すべきは極軸とウォームホイールが一体であること。これにより極軸に対して偏芯の極めて少ないウォームホイールを歯切りできるでしょう。

スマホの画面です。ポタ赤の他にタイムラプスの設定が豊富です。これらの設定をポタ赤本体に設けると、ディスプレイの装着などコストがかかり操作性も悪いですが、スマホなら簡単にできますね。
実は弊社の超小型ポタ赤のPanHead EQは、オーロラ撮影やタイムラプス用として、たくさんの特注品を承っています。カメラのシャッター制御も行なえます。 これを通常のPanHead EQに投入しようとしたら、若いスタッフに 「夜間に使うものなので可能な限りシンプルに!」 と大反対されました。 当然ですね。 しかし、スマホからの制御ならば見やすい画面の豊富なメニューにできるので、夏頃を目処に投入を考えようと思います。

スタッフが動かしてみた様子の動画を以下に掲げましたのでご覧ください。
https://youtu.be/e4ecJOceRj

●ポタ赤としての日周運動追尾精度はどうか?
ウォームホイールの直径から推測すると、超広角~広角レンズ専用と思われますが、こればかりは実際にピリオディックモーションを撮影しないとわかりません。 組立時の各精度の相殺や増長によって、追尾精度は加工精度より良くも悪くもなるので、個体ごとにバラツキもあるでしょう。
Skywatcher Star Adventurer Mini …が出回ったら、ぜひともPモーションの撮影をしてみてください。
↓Pモーションの撮影は下記を参考にしてください。
http://tentai.asablo.jp/blog/2016/04/06/8065995
http://unitec.cocolog-nifty.com/blog/cat23833278/index.html

星爺の同級生に中学生で全金属製の大きな赤道儀を自作した奴がいたくらいで、赤道儀そのものの製作は容易です。 しかし、追尾精度の命となるウォームネジ関連とウォームホイールは、通常の機械加工精度をはるかに超えた異次元の超高精度が必要です。
市販のウォームネジ/ホイールは「たんなる減速比を稼げるギヤ」であり、一日中ガンガン回す装置などに用いられ、ギヤに精度は求められません。 赤道儀用は一日一回転の超低速回転軸の上に高倍率の望遠鏡や望遠レンズを搭載して 「強拡大して見る」 のですから似て非なるモノなのです。

赤道儀のギヤに求められる異次元の超高精度を満足するには、日本の得意な いわゆる 「匠のワザ」 が不可欠です。 タカハシさんは日本屈指の匠の加工屋さんに依頼していると聞きました。 ビクセンさんは仕上がったウォームネジを1本ずつテストしています。 ものすごい「こだわり」ですね!
追尾精度が悪いとされている赤道儀でも、一般的な加工精度をずっと上回る精密な加工が施されているものです。 そうやっても高精度な追尾を実現するのは難しいです。
このことは精密加工の業者さんに話しても、どちら様にも理解してもらえませんね。 異次元の世界のことなので 「精密に作れば、なんたらモーションなど出るはずない!」 な~んて言われたり(笑)

下の図はカメラに一般的な直径70mm(半径35mm)ほどのウォームホイールを重ねたものです。良くできた機械加工の精度は2/100~3/100mm(20μm~30μm)くらいなので、ウォームホイールとウォームネジは20μmの完璧な加工であると仮定しましょう。 これにウォームホイールの半径と同じ35mm広角レンズを搭載すると星は加工精度と同じく20μmブレて写ります。20μmは撮像素子の3~4画素分になるので、35mm広角レンスの追尾がギリギリ可能な追尾精度になります。 Pモーションで表すと約±60″(±1′)になります。 広角レンズの追尾だって簡単ではないのです。
赤道儀用のウオームギヤに、どれだけ異次元の超高精度が必要か図でわかりますね? ちょっとでも手を抜くと、たちどころに超広角レンズも追尾できない精度に落ちてしまいます。
なお、すでにおわかりのように、追尾精度はウォームホイールの直径に比例して向上します。
例えばJILVA-170のウォームホイールは直径約162mmなので、±4″~5″の追尾精度を達成するウォームネジとウォームホイールの精度は約4μmになります。 下の写真は左から、
・SWAT-200の内部ユニット ウォームホイール直径85mm/歯数168枚 Pモーション±10″
・SWAT-350 ウォームホイール直径106mm/歯数210枚 Pモーション±7″
・JILVA-170ウルトラライト試作  ウォームホイール直径162mm・歯数288枚 Pモーション±4~5″
※駆動系はほぼ同じなので、ウォームホールの直径に正直に比例して追尾精度が向上します。

●赤道儀を入手したらPモーションを撮影してみよう
Pモーション(追尾精度)は赤道儀、とくに撮影用ポーターブル赤道儀の命です。 追尾不可能なレンズで撮影するのは無駄なので、赤道儀を入手したら まず最初にPモーションを測定しましょう。 タオルを買ったらまず洗濯する、中華鍋を買ったら高温で焼く、バイクを買ったらブレーキパッドを焼く、野球のグラブを買ったら保革油を塗る、と言うようにユーザーがPモーションを測定することが常識になれば良いと思います。

下の写真は日本では販売していない「輸出用のSWAT-300」の不良品のPモーションの写真です。 日本で販売しているユニテックのSWAT-300よりも小さなポタ赤なので、Pモーションは±10″程度で測定しないで出荷しています。 追尾が不調であることをお客様が気付いてPモーションを撮影され、±13.5″程度なことが判明して返品交換させていただきました。
Pモーションを正確に測定するには1000mm以上の超望遠レンズや望遠鏡を用いますが、撮影に使うレンズを追尾できる精度が有るか無いかをチェックするだけなら、そのレンズで撮影すればわかります。 超小型のポタ赤なら50mm標準レンズでも可能。 上の写真はお客様ご愛用の180mm望遠レンズで撮影しています。
極軸の方位を大雑把に1°~2°ズラして天の赤道付近を撮影します。極軸の上下もズレると星の軌跡が南北に流れず、写真のように斜めに流れてチェックが甘くなりますが、だいたいの精度と傾向は把握できます。南北に流れた星の軌跡が強拡大しても分からないほど直線なら完璧です。 しかし、実際の撮影では少し曲がりが見えても問題ありません。
180mmの望遠レンズを長時間露出するためには±10″程度の精度が必要です。
星像の直径を20μmとした場合のPモーションの許容範囲は下記のようになります。
・25mm広角レンズ-----±80″
・50mm標準レンズ-----±40″
・100mm望遠レンズ----±20″
・200mm望遠レンズ----±10″
・300mm望遠レンズ----±7″
・500mm望遠レンズ----±4″
※最新のカメラとレンズの場合は星がシャープに写るので、星像の直径は15μmと厳しく見積もるべきかもしれません。が、神経質になる必要はありません。
※500mm以上になると大気の揺らぎにより星像がボケるので、追尾精度は悪くて良いようになります。大気の屈折や機材の撓みによる流れが現れるのでオートガイダー使用すると安心です。

※株式会社輝星の運営する「SB工房」はこちらです。

●板垣公一さんがFRC-300を手放されます2017/01/28 17:29

●板垣公一さんがご愛用の準RCのFRC-300望遠鏡を手放されます。
超新星発見家として有名な板垣公一さんが、機種変更のため愛用のタカハシFRC-300型 30cm F7.8 焦点距離2348mm の準リッチー・クレチアン式反射望遠鏡を手放されます。
「有効に使ってくださる人にお譲りしたい」ということで、このブログでのご案内を頼まれました。
イメージサークルがφ90もあり像面が平坦で、本来は中判カメラでも隅々まで鋭い星像を結ぶ写真撮影用の光学系です。周辺光量も充分でFも比較的明るく、デジタル一眼レフや冷却CCD(CMOS)には、最適の星野撮影用望遠鏡と思います。

FRC-300鏡筒と光路図。 高橋製作所様のご厚意により写真と図を転載させていただいています。

FRC-300は、昔、天ガで「徹底的に良い望遠鏡を作ろう」と、機材頒布企画の一環としてタカハシ製作所と相談して完成した懐かしい望遠鏡です。
決して性能が不満で手放されるのではなく、板垣さんがご使用の冷却CCDカメラの画素が25μmと大きいため、特性の適したもっともっと長い焦点距離が必要になったため惜譲されます。ちなみに、もっと長い焦点距離の望遠鏡とは Celestron C14型シュミット・カセグレンのことです。
板垣スペシャルとも言えるこのFRC-300望遠鏡は、板垣さんの地元山形でタカハシの赤道儀に搭載して使われ始め、現在は北関東の観測所に設置されていて、山形からリモートコントロールしています。
写真の南側にある片持ちフォーク式赤道儀に搭載されたのがFRC-300で北側がC14です。
南側がFRC-300。北関東のスライディングルーフにあり、山形からリモートコントロールします。
観測所や望遠鏡の様子は複数のモニターカメラ(モノクロ)で確認。この画像はモニターカメラのもの。
下の写真は山形の制御センター。 観測所は日本各地にあり 6台のパソコンを使用されています。

90万円でお譲りするとのことで、お問合せは「SB工房」の「ご購入とお問合せ」からお願いします。
↓SB工房のホームページ(株式会社輝星)
http://www.ne.jp/asahi/sky/bird/index.html

◆FRC-300とは?
RC(リッチー・クレチアン)式反射望遠鏡は、カセグレン式に広義で使われる名称です。 純粋なRCの光学設計、すなわち係数に応じた双曲面の主鏡/副鏡を使った純RCの他に、変形タイプもいろいろあり、変形タイプは「RC」とも「準RC」とも称されることがあります。 放物面主鏡と双曲面副鏡の純カセグレン式も「RC」と呼ばれることがあります。 観測目的や写真撮影の被写体によっては、生粋の純RCが必ずしも優れているわけではありません。
ちなみにタカハシBRC望遠鏡は口径20cmでF5と明るい純RCです。FRC-300は準RCで、フラットフィールド・リッチー・クレチアンの略号のFRCです。 以下の説明がされています。
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像面を完全に平坦化するフラットナーレンズに合わせて、主鏡/副鏡の非球面率を決定しています。このような準リッチークレチアンでは、純粋な(オリジナル)リッチークレチアンよりも非球面率が強く、より高度な設計となっています。したがって純リッチークレチアン+フラットナーレンズよりも中心球面収差、周辺のコマ、非点、像面湾曲全てに収差が小さくでき、FRC-300では、イメージサークルφ90mmの隅にまで10μm以下というBRC-250と同等の完璧な星像が得られます。また、合焦機構はBRCと同じ方式で確実に固定できる温度補正機構(±5°C)も内蔵しております。
オプションで冷却CCD用のF5.9となるレデューサーも用意しており、これも冷却CCD用としては十分な10~20μmの星像が得られます。
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◆主要データ
FRC式アストロカメラ
有効径=φ300mm
副鏡径=φ125mm
合成焦点距離=2348mm
合成口径比=1:7.8
イメージサークル=φ90mm
メタルバックフォーカス=106.2mm
鏡筒径=φ324mm
鏡筒全長=1030mm(筒先からヘリコイド面まで)
重量=約30kg
※レデューサーはありません。焦点距離を伸ばすオリジナルのエクステンダーは差し上げますとの由。
↓参考URL(高橋製作所)
http://www.takahashijapan.com/ct-products/products/FRC-300.html

●本年もよろしくお願い申し上げます2017/01/02 09:00


年末のオーストラリア遠征の直前に2人めの孫が生まれました。上の大マゼラン雲が2歳の長女、下の小マゼラン雲が次男のように見えました。祖父としての責任をひしひしと感じます。
キヤノンEOS KissX5 ISO1600 シグマ17mm~50mm F2.8~F4ズーム 17mm F4で撮影。
オルゴール赤道儀(←クリック)MusicBox EQⅡにて露出各2分を3枚コンポジット合成。
超広角~標準の星景写真はオルゴール赤道儀で充分です。電動のポータブル赤道儀やドイツ式赤道儀を使うのも面倒なので、星景写真にはもっぱらオルゴールを使っています。

●JILVA-170の出荷が遅れて大変申し訳ありません
JILVA-170やユニテック社のSWAT-300/350は、全品のPモーション・テストをして合格品だけ出荷しています。合格するのは全体の70%。念のために公称の精度よりも厳しく測定しています。
しかしながら、一晩に数台までのテストしかできず、昨年に引き続きこれほど悪天候になるとは予想していなかったため出荷が遅れに遅れて皆様にご迷惑をおかけしています。本当に申し訳ありません。最近は天候が良くなったので、逐次テストをして出荷をしております。ご注文をいただいたお客様には進捗を個別にメールでお知らせしています。今少しお待ち下さい。

JILVA-170BT38三脚(←クリック)の格安販売期間を延長します
今年はJILVA-170を常に在庫するようにいたします。3月までは今までどおりパーツの余ったバーゲン品や試作品の受注生産といたし、格安販売の期間を延長しますのでお問合せください。

【格安販売の価格】
・JILVA-170輸出用バーゲン品----90,800円(税別)
・JILVA-170日本仕様試作品-----108,000円(税別)
・BT38-1三脚(直脚)------------18,200円(税別)
・BT38-2三脚(2本つなぎ)--------21,000円(税別)
(株)輝星 (←クリック)のホームページの 「ご購入とお問合せ」 からお問合せください。

JILVA-170の日本仕様試作品とは、大きな望遠鏡を搭載されるユーザー様も多いことから、その対策として15kg程度の搭載まで耐える、SWAT-350(ユニテックでOEM)の頑丈なフローティングウォームホイール式のターンテーブルに換装したモデルです。
専用のBT38三脚は三脚の欠点である「開く」機構を省略し回してたたむようにしたため、小型軽量なのに驚くほどの強度があります。普通のドイツ式赤道儀を搭載されるお客様も多いです。
左がSWAT-350のターンテーブルに換装した「日本仕様試作品」、右が「輸出用バーゲン品」です。

BT38三脚に左はSWAT-350を搭載。右はふつうのドイツ式赤道儀を搭載(ユーザー様の例)

●ポータブル赤道儀(ポタ赤)のコンセプトはノーガイド撮影
ポタ赤の誕生と経緯は過去のブログ「ポータブル赤道儀という用語」に書かせていただきました。
星爺は12年前まで天文雑誌の編集を30年ほどやっていて、レンズテストの記事などで大量の星野写真を撮影していました。撮影失敗は許されないので、本来は据付用の30~50キロもある赤道儀に手を加えて高精度化したり、極軸のみにした架台を何台か運搬して使っていました。もちろん400mm望遠レンズ程度まではシャッターを切って「ほっぽりっぱなし」するノーガイド(ノータッチガイド)撮影です。書籍を執筆される著者の先生方も、大型の赤道儀にカメラを搭載してノーガイド撮影をしていました。

「エッ? 小型の赤道儀にカメラを搭載してガイド撮影するのではないの?」 と思う人もいるかもしれませんが、そのような撮影法は元々は天文雑誌の対象読者である小学校高学年から中学生用に考えられたもので、大量に撮影する仕事に使える手法ではありません。雪原に穴を掘ってその中でガイド撮影をしている表紙の写真が大ウケしましたが、天文少年に向けた夢のある演出ということですね。
しかし、大きく重い赤道儀の運搬は大変なので、同様な追尾精度を保ったまま運搬しやすいポータブル赤道儀に仕立てたのが大きめなJILVA-170で、φ162のウォームホイールを使っています。135mm望遠以下用にはデジタル一眼レフボディと同程度の大きさのPanHead EQをご用意しています。
追尾精度の命であるウオームギヤセットをギヤメーカーに依頼すると、JILVA-170と同じくらいの大きさは10万円以上かかります。それでも満足な精度のギヤはなかなか作れません。そこでウオームギヤは特殊な製法で自製して安価に高精度を達成しました。

今回ご紹介するユーザーの皆さんはノーガイドで撮影されています。もちろん弊社は世界で初めてポタ赤にオートガイダー端子を設けたくらいで、ほっぽりっぱなしノーガイドばかり推奨するものではありませんが、ノーガイドでもかなり使える追尾精度を有することはポタ赤の必須条件と考えています。

◆ぎょしゃ座中央の散光星雲 IC405とIC410◆ JILVA-170で撮影:加藤 利仁さん
ペンタックスSDUF天体望遠鏡(口径100mm  焦点距離400mm F4) キヤノンEOSKissX5カメラ(天体改造) ISO3200 露出4分と2分 ノーガイドで22枚撮影してコンポジト合成。

フィルム時代の中判カメラ用のこのレンズは、色収差が激しくて強調処理をすると明るい星の周囲にリングができます。
しかし微光星はずいぶんシャープなので正確な追尾がよくわかります。 ノーガイドでも400mm望遠が撮影できるのはとっても楽ですよね?
JILVA-170にビクセンGP赤道儀の赤緯軸を付けてお使いです。上の写真に搭載しているのは作例写真のペンタックスSDUF 天体望遠鏡ではなくカメラレンズの300mm F4 です。


◆オリオン座の馬の首暗黒星雲付近◆ JILVA-170で撮影:大野 浩之さん
BORG 77ED2 天体望遠鏡 0.7×レデューサ使用(口径77mm 焦点距離357mm F4.6) フジX-T1カメラ(ノーマル) ISO感度不明  ノーガイドで2分露出を4枚コンポジット合成。
望遠レンズよりもシャープな大きめのED天体望遠鏡をお使いです。全面に見られる赤いモヤモヤはカブリではなく淡い分子雲です。このカメラはノーマルでも赤いHα星雲がよく写るようです。
JILVA-170にベンチバーを取り付け、タカハシの赤緯軸パーツを取り付けてドイツ式にしています。


◆ケフェウス座のガーネット・スターとIC1396◆ PanHead EQ PH-1sで撮影:桐山 伸一さん
BORG 36ED 天体望遠鏡 1.1×フラットナー(口径36mm 焦点距離220mm F6.2) キヤノンEOSM3カメラ(天体改造) ISO3200 ノーガイドで露出6分を8枚コンポジット合成。
135mm望遠レンズをノーガイドできるというPanHead EQの公称値よりも長い焦点距離の望遠鏡での撮影ですが、比較的長い6分露出でも追尾エラーが見えないので、製作者としてはヒヤヒヤした後でホッとしています。この星雲は非常に淡いのでかなり難物ですが素晴らしい描写ですね。
PanHead EQ PH-1“s”は、軽量化に留意して単3形乾電池2本(またはUSB電源)で動くモデルです。アルカスイス互換プレートで大きな鏡筒を載せておられますが、ちょっと荷が重い感じもします。今後は左側に見える小型のオートガイダーを使ってさらに長焦点長時間露出を目指すそうです。
PanHead EQでもオートガイドさえすれば1000mmクラスの望遠鏡も使用可能なので、ご要望にお応えして頑丈なターンテーブルに換装したPanHead EQも計画しています。

◆南十字とコールサック付近◆ PanHead EQ PH-1で撮影:村松 俊和さん
70mm F2.8 カメラレンズ 絞りF3.5 キヤノン6Dカメラ(天体改造SEO-SP4) ISO1600 ノーガイド露出3分を12枚コンポジット合成。
南半球に遠征して撮影した南十字星付近の星野です。光害のない夜空での撮影はとくにバックグランドが美しいですね。 虫の這った跡のように見える暗黒星雲の筋が見事です。

●2017年の生産計画
◆PanHead EQ ポータブル赤道儀 PanHead EQ (←クリック) PH-1は隠れた人気のある超小型のポータブル赤道儀です。雲台の感覚で使えるのでパンヘッド EQ(Equatoria)です。 ベテランの人のご購入が多く、上の写真のようにターンテーブルにアルカスイス互換クランプを搭載したモデルや、極軸を強化したモデルなど特注にお応えします。今年はそれらの特注品を標準品として機種を増やします。

◆JILVA-170ポータブル赤道儀 JILVA-170は、Pモーションテストの能率を向上させて、たくさん作り置きして常に在庫を持っておくようにします。

◆オーソドックスなドイツ式赤道儀 JILVA-170のウオームギヤの調子が良いので、同じパーツを使って圧倒的に強度を高めた普通のドイツ式赤道儀を発表する予定です。自動導入対応やそうでないシンプルなモデルも作ります。

◆オートガイダーセットと電子極望 もうすぐポータブル赤道儀に適したオートガイダーセットや電子極望のPoleMasterも取扱を開始します。

◆JILVA-300 ポータブル赤道儀 ウォームホイールφ300で歯数540歯のJILVA-300を発表する予定です。ウォームホイールの自社生産の研究はJILVA-300用で始めたのですが、やっとお披露目できます(下はテスト用の極軸)。

●汎用自動導入モータードライブE-ZEUSⅡ
年末はJILVA-170のPモーションテストで多忙だったため、ご自分で装着されるユーザー様に自動導入装置のE-ZEUSⅡ(←クリック)を何台か出荷しました。皆さんうまく装着されて快調に動いています。
左はタカハシJ型赤道儀に取付けた標準型寒冷地仕様のE-ZEUSⅡ。右は昭和機械製作所 SHOWA25E 赤道儀に取付けた標準型寒冷地仕様のE-ZEUSⅡ。

左は宇治天体精機スカイマックスに取付けたドライバが特別仕様のE-ZEUSⅡ。右は昭和機械製作所SHOWA20E 赤道儀に元々内蔵されていたドライバ回路を流用した標準型E-ZEUSⅡ。

左は宇治天体精機スカイマックスに取付けた標準型E-ZEUSⅡ。右はミカゲ光器の大きな360N型赤道儀に大型用E-ZEUSⅡを取付けるために整備をしているところ。

※株式会社輝星の運営する「SB工房」はこちらです。

JILVA-1702016/11/03 20:20

JILVA-170の出荷が遅れに遅れてお客様に御迷惑をおかけしております。謹んでお詫び申し上げます。
今はとんぼ返りのスケジュールで、オーストラリアに来ています。北半球のポタ赤の精度が南半球で同じかどうかのテストです。
ポータブル赤道儀のPモーションテストが悪天候で進まないのに後ろ髪を引かれる思いです。ACアダプターを忘れてノートPCの電池が心細いので、とりあえずの文面をブログに上げて加筆は帰国後に行います。メールの返信も遅れますが、ご容赦ください。

JILVA-170やユニテック社のSWAT-300/350は、全品のPモーション・テストをするため天候に影響されますが、昨年に引き続きこれほど悪天候になるとは予想しておりませんでした。関東の中でも弊社のある東京の多摩地区はとくに夜間は晴れないようです。
昨年は6月に本ブログを開設いたし、JILVA-170のPモーション・テストが順調に行なえたのは11月の「関東の馬鹿っ晴れ」の次期になってからでした。
今年は10月下旬の晴れ間に、Pモーションの撮影テストがかなりできました。昨年ほどお待たせはしないともいますので、納品は今少しお待ち下さい。ご注文を頂いた皆様方には、個別にメールをお送りさせていただきます。

               左が日本仕様、右が輸出仕様バーゲン品のJILVA-170
               バーゲン期間は今年いっぱいに延長します。

目の前にテスト待ちの個体がズラリと並んでいるのは精神的にも辛いです。これからは晴れの夜が多くなると思います。一晩に5台ほどテストできるので、晴れればテスト作業はすぐに終わり、
その後にターンテーブルや周辺パーツを取付けて仕上げとなります。
よろしくお願い申し上げます。

                       JILVA-170の説明

               
                        撮影法と応用例など

               左が上のぎょしゃ座中央付近を撮影したJILVA-170です。
               ビクセンSPD赤道儀の赤緯軸を搭載しています。
               右はセレストロンの小型シュミットカセグレンを搭載。これ
               にはエンコーダをつけてNEXUSにてスマホに向けた方向
               星図を表示させるため改造中です。


●赤道儀の追尾精度2016/04/06 00:17

●赤道儀の回転の仕組みと必要な精度
写真は20cm赤道儀用のウォームホイールとウォームネジ、それと極軸を支えるベアリングです。その下の図はピリオディックモーション(以下PM)の原因を示した図です(以前の記事の再掲載)。
このように赤道儀はウォームホイールを、ウォームネジ(ウォームはWarmでイモムシの意味)で1日約1回転の超低速かつ超高精度で日周運動で動いて行く星を追尾しているわけですね。

赤道儀に使用されるウォームホイールとウォームネジは、一般品の高速でガンガン回すための減速ギヤとは似て非なる物で、精度が一桁も優秀な専用品ということを念頭に置いてください。
30~40年前の 「赤道儀を購入する人の90%は星野写真撮影に使う」 と言われた時代。星野写真撮影に使える追尾精度がない赤道儀の量産メーカーは姿を消したように思います。それが理由で手を引いたメーカーばかりではないでしょうが、高精度のビクセンさんとタカハシさんだけ残ったのかな?
両社にギヤの精度や製作法をお聞きすると、それはもう通常の機械加工のレベルではなく、夢の様な匠の技や精密加工機械を結集して素晴らしい高精度を達成していることに驚きます。
ビクセンさんは独自の装置でウォームネジの偏芯をテストして合格品を極軸に使っています。それを星爺も真似してウォームネジを数百本作り偏芯テストをして、良い物だけを合格品として極軸に用いるようにしています。※不合格品はこれから作る赤緯軸や微動雲台などに用います。


●追尾精度=追尾の進み遅れの幅=ピリオディックモーション
赤道儀のモーターは通常は水晶発振で動くので、クォーツ時計のように正確に回転します。しかし、モーターだけ正確に回っていても、ギヤなどの精度不足で追尾速度は「速くなったり遅くなったり」を繰り返します。望遠鏡の視界の星(撮影中の星)が、ゆっくり西に動いて行ったら いったん止まった感じになって、今度は東に動いて行って再び西に動く振る舞いを繰り返すわけですね。
この周期的な動きをPM(Periodic Motion)と称し、 PE(Periodic Error)とか、たんに「追尾精度」とも言われます。PMのデータは東西(日周運動方向)の振れ幅の角度で±○″と示します。原理的にふつうはウォームネジ1回転の周期で、ほとんど同じPMの振る舞いが繰り返されます。
PMの振れ幅が星を撮影するレンズの 「最小星像±○″」 より大きいと、そのレンズを追尾できる精度は無いわけですから、PMは星野写真撮影に使う赤道儀のもっとも重要な性能です。

PMの原因には主に上の図と下記に示した4種類があります。各々がウォームネジ1回転の周期を持ち、これらが赤道儀に組み上げた際に全部重なってPMとなって現れます。
信じられないかもしれませんが、長い望遠レンズの星野写真撮影に使用できる追尾精度の赤道儀には、各々の原因になる加工精度に計算上は1/1000mm以下の、一般的な機械加工精度をはるかに超越したものすごい精度が必要です。

①ウォームネジのピッチ誤差(乱れ)によるヨロメキ運動
ウォームネジのピッチが乱れていると追尾速度の進み遅れが生じます。たとえば小型赤道儀の直径70mm程度で歯数144枚のウォームホイールでは、ウォームネジに1/100mmのヨロメキがあると1回転10分の周期で±30″程度のPMとなって現れます。50mm標準レンズの追尾許容誤差は±40″ほどなので追尾可能ですが、長い望遠レンズを追尾できる赤道儀のウォームネジは突拍子もない高精度なのです。

②ウォームネジ軸受けの精度によるスラスト方向のブレ
ウォームネジを支える軸受け部が図の左右にブレると、ネジのピッチ誤差と同様にPMとなって現れます。ピッチ誤差や軸受けの誤差は、慣らし運転(エージング)をしてもほとんど良くなりません。

③ウォームネジの芯出し誤差による1回転毎のトルク変動
これがもっとも強烈なPMの原因なことが多いです。非常に繊細なウォームネジに芯出し誤差(偏芯)が僅かでもあると、ウォームホイールへの押し付けは強くなったり弱くなったりを繰り返します。
強く押し付けられる部分では回転が渋くなるため、モーターは定速回転していてもウォームネジに達するまでのギヤヘッド他のたくさんのギヤの隙間などが縮んでトルクを吸収して回転が遅くなります。弱く押し付けられる部分にさしかかると吸収が反発して速くなって1回転毎のPMが生じます。
トルクの吸収と反発は主にギヤヘッド部で生じますが、モーターの取付部のたわみや伝達ギヤ部でも生じます。ベルト駆動は反対側のベルトとの張力差が大きなPMとなって現れます。

④ウォームネジに付けたスパーギヤの偏芯による速度変動
ウォームネジに付けたスパーギヤが偏心していると、1回転毎にスパーギヤの直径がほんの少しですが大きくなったり小さくなったりを繰り返すので、やはりウォームネジ1回転毎のPMが生じます。
また、スパーギヤ以外のピニオンギヤなどが偏心していると、ウォームネジ1回転のPMとは別に そのギヤの周期のPMが生じます。ギヤ同士の噛合せがキツ過ぎるとトルク変動も発生します。

参考=※バックラッシュを嫌ってウォームネジの押し付けを強くする人がいますが、強くし過ぎるとPMを増長させてしまいます。極軸のウォームネジは優しく緩めに押し付けるべきです。
PMの原因はモーターからウォームネジ/ウォームホイールの摺動部間にあるので、ウォームホイールの大きさに比例してPMは少なくなり  「ウォームホイールの大きさは七難隠す!」 のです。

このようにPMは主に4種類の原因が重なるのですから、偶然に原因同士が相殺されるように赤道儀が組立てられれば、PMは各々の原因の加工精度よりずっと 良くなる場合があります。逆に原因が相乗されて悪くなってしまう場合もあります。なので、PMは設計段階やパーツの加工精度から類推することは難しく、どうしてもアタリ/ハズレが出てしまいます。赤道儀に組立ててからPMの測定をしてみないと追尾精度はわかりません。「追尾精度は赤道儀に聞いてくれ!」って感じですね。
時間をかけて組立てとPMテストを繰り返し、各々の原因をうまく相殺する組立てをすれば、かなり良い精度に追い込むことは可能です。メーカーさんはそれをやっているのかな??
※このようなことから、調子の良い赤道儀は調整やオーバーホールはしない方が無難です。

昔はあり得ないほどの高精度のPMを標榜するメーカーもありましたが、最近はカタログにPMを明記する大手量産メーカーはほとんどなくなりました。根拠の無いデータを出さないのは良心的と言えますが、PMを明記しないのは星野写真撮影の機材としては、いかがなものかとも思いますけどねぇ。

●PMを撮影してみよう!
星野写真を撮影する赤道儀のユーザーさんは、PMを撮影/測定してどれくらいのレンズをガイディング無しのノータッチで使用できるかを確認してみましょう! その結果、あまりにも追尾精度が悪かったらクレームの証拠写真にもなりますし、あり得ない高精度を喧伝するメーカーが出て来て初心者が翻弄されないようにするためにも、天文ファンはPMの測定を常識にするべきと思います。
今回は難しい話は一切省略します。 PMを撮影するレンズでそのまま追尾撮影をしたら、星がちゃんと点像に写るかどうかの簡単な確認だけしてみましょう。 PMの写真が撮れたらぜひ見せてください。ユーザーがPMの写真をたくさん発表すれば、赤道儀の精度向上に寄与すると思います。

上の図はPMの様子をグラフにしたものです。赤道儀の極軸をわざと東西のどちらかにズラして南の天の赤道付近の星空を10分程度露出をすると、星は赤緯方向(図の上下方向)に流れて、このグラフと同じような星の軌跡が写ります。下の上のPMの写真はそんな軌跡を描いていますね。
PMを撮影するレンズは、できるだけ望遠が望ましいです(弊社では1200mmで撮影しています)。 でも、今回は標準レンズでもズームレンズでも望遠鏡でも何でも構いませんので、とにかくPM撮影を体験してみましょう。光害も月明かりも関係ありません。北極星が見えなくてもなんとかなるでしょう。
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・露出時間が長いのでカメラの感度はISO100~ISO200にする。
・絞りは光害に応じてF5.6~F11くらいにする。
・極軸を東西のどちらかに2~3°ズラして赤道儀を設置する。
・星の動きの速い真南の天の赤道を付近を写す。地上高度なら55°くらいのところ。
・夏や冬の天の川の中なら、適当にどこを撮影しても星がたくさん写る。
・今の季節は真南に星が少ないので、他の場所の明るい星を写してもまぁOK。
 ですが、星の動きの速い赤道を離れると測定結果がどんどん甘くなります。
・露出時間は10分程度。光害で露出オーバーならもっと短くする。
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極軸の東西のズラシが大きすぎると、星は赤緯方向にうんと流れて写るので、適宜に調整してみてください。極軸の東西のズレに加えて上下のズレがあると、それが追尾速度に反映されて下の写真の様に星が正しく上下(赤緯方向)に流ず斜めに流れて写りますが、これもまぁOKとしましょう。
◆ウォームホイール歯数144枚の赤道儀はPM(ウォームネジ1回転)の1周期は約10分です。歯数が180枚なら8分、288枚なら5分、360枚なら4分。 1周期分以上の露出でPMを撮影したいです。

300mm望遠で写した普及品のドイツ式赤道儀のPモーション。10分露出で歯数144枚のウォームホイールなので、ちょうどウォームネジ1回転分が写っている。300mm望遠は追尾できない精度であることが一目瞭然。85mm程度ならガイディング無しのノータッチ撮影ができそう。PMは±35″程度。

300mm望遠で写したポタ赤 SWAT-200のPモーション。完全に直線ではなく少し乱れているので、200mm望遠ならば完璧にノータッチ撮影できそう。測定するとPMは±10″以下で公称値のとおり。

このようにPMを撮影してみると、所有する赤道儀の追尾精度の悪さにガッカリする人の方が多いと思います。 安価なポタ赤は標準レンズでもPMが写るほど精度の悪い場合もあると思います。
でもまぁ、上下の星の流れが完全に直線に写らなくても、星の軌跡の太さの2倍程度のPMなら明るい星は滲んで大きく写り、うんと暗い星は流れて淡くなって写らないので、案外使えてしまうものですよ。 もちろん北の方向を写す場合は、日周運動の動きが少ないのでPMの影響はだいぶ減ります。

実際の星野写真の撮影では、ISO1600ならば光害の少ない星空でF2.8で適正露出は1分くらいでF4では2分くらいです。したがって、露出中にうまい具合に上のPMのグラフの星の移動方向が反転する部分に当たれば、追尾精度の良くない赤道儀に望遠レンズを載せても星は点像に写ることがあります。短めの露出で何コマも撮影すると、流れたカットと流れないカットが得られます。なので、追尾の成功率が50%以上あるなら 「それで充分に実用になる!」 という考え方はアリですよね? 
ポータブル赤道儀と露出時間が短くて済む高感度なデジカメの登場で、星野写真はずいぶん気楽なものになりましたね。 感材にお金がかからないことも大きな利点です。

●最後に諸々の補足です
ウォームホイールは高精度なギヤに見えても、実際はそれほど精度は必要ありません。しかし、極軸を取付ける際にウォームホイールが偏心して、1日1回転の間にウォームネジに強く押し付けられる部分と弱く押し付けられる部分が生じ、強く押し付けられる部分でPMを増長することがあります。
そこで弊社では、ウォームホイールの母形を極軸に取付けて赤道儀のダミーに組み込み、実機さながらに極軸を回して歯切りとエージングをするので、ウォームホイールの偏芯はほぼゼロです。

前回の拙稿http://tentai.asablo.jp/blog/2016/03/27/8058123)の補足。
「追尾精度の良くない赤道儀にオートガイダーを常用するのもアリ」と書きましたが、赤道儀の追尾精度があまりにも悪いとオートガイダーが働きにくかったり、ガイド星を雲が通過したりするとガイド星を見失うなどのトラブルが出てしまいます。 やはり赤道儀は追尾精度が命です。

オートガイダーを使う場合は極軸設置もある程度は正確でないと、露出時間が長い場合はガイド星を中心に画面が回転して写ってしまいます。広角でも望遠でも回転角は同じなので厄介です。

三脚などの強度(これが見過ごされていることが多い)が完璧で、追尾精度が完璧で、極軸設置が完璧でも、大気差による天球の歪で長い望遠レンスの追尾が完璧にできるわけではありません。オートガイダーの適宜な投入は面倒ではありますが とても有効な手段です。
 
北極星は歳差で動くので極望のスケールパターンには、2000年、2010年、2015年などの北極星の導入位置のマークが印されていることが多いです。では、古い極望は2016年以降の北極星の位置マークが無いからダメかというと、過去の位置マークが直線的に印されている場合は、その延長上にだいたいの見当で歳差の分だけズラせば、実用上は問題ないと思うのですが、いかがでしょうか?
北極星以外の星も使うスケールパターンの場合も、プラネタリウムソフトの「視位置」で各星の位置を検証してスケールパターンに印すか、だいたいの見当でズラして使うことは充分可能と思います。

●極軸設置のアレコレ2016/03/27 06:22

●極軸設置の必要精度などをまとめます
PoleMaster という極望(極軸望遠鏡)の代わりをするレンズの付いたデジタルカメラが発売されました。パソコンが必要ですが便利な電子極望で、JILVA-170にお使いのユーザー様もおられます。ポータブル赤道儀への装着は簡単なので、ご希望があれば取付金具の製作を請け賜ります。
ふつうのドイツ式赤道儀には 赤緯軸のどこか、通常は極望の穴の上に取付けるようです。その場所に付ける極望(天頂プリズム付きの眼視用)は、1970年ころに高橋製作所から供給されたことがあります。当時高校生だった星爺より1歳年上の九州のYさんがタカハシさんに進言したアイデアです(Yさんはその後ニコンに就職され木曽観測所の105cmシュミットカメラなどを担当されました)。
星爺はまだ使っていませんが、PoleMaster はDPPA法(基礎的な手法はこちらを見てください)のような手法で極軸との平行を校正するので信頼性は高いようです。元々赤道儀に付いている極軸内蔵の極望の校正や据付式赤道儀の設置に使うのにも重宝すると思います。
 しかし、極望の信頼性が高ければ極軸設置が完璧になって、長い望遠レンズの長時間露出ができるわけではありません。 この機会に極望の基本を考えてみましょう。

●撮影レンズと露出に応じた極軸設置の精度
こうした計算は複雑な座標変換を行なって検討しますが、ここでは簡単な図でザックリと説明します。
下の図のように南の星を追尾する場合に注目すると、極軸の方位(東西)の設置ミスは追尾速度と赤緯のズレに影響を与えます。そのため星野写真を撮ると赤緯方向に流れて写ってしまうのです。追尾速度のズレはPモーションがあるので観察しにくいですが、赤緯のズレはガイド鏡の眼視でも撮影でも星を見て観察できます。その星のズレを見て、方位の極軸設置を修正(上下の修正は東北か西北の星を見る)する手法はドリフト法とも呼ばれます(説明は別の機会に)。

図のように極軸設置の東西のズレによる赤緯方向の星の流れ(ズレ)は6時間後に最大になります。
ということは(あくまでも簡略図によるザックリですが)、露出時間が1時間なら赤緯方向の流れは極軸設置ズレの1/6です。正確に計算して念のために もっと厳しく見積もると、1分露出の場合は極軸設置ズレの1/200ほど赤緯方向に流れて写ると考えてください(ぜひ暗記しましょう!)。
たとえば50mmレンズの追尾誤差の許容が±40″とすると、4分露出なら最悪のケースを想定してかなり厳しく見ても極軸設置は1°ズレていてもまったく問題はありません。
JILVA-170に300mm望遠を搭載する場合でも、極軸設置は10′の精度で大丈夫です。

どうも天文ファンは基礎的な計算をしないで機材に凝る傾向がありますね。星爺が編集者時代に計算の記事は嫌われるというので、ちゃんとした記事を怠ったことが原因かもしれませんね。
このように、広角~標準レンズならば極軸設置に高価な極望は無用で、極望代わりの素通しの覗き穴で済むほどラフなものです。200mmくらいの望遠レンズまでなら、15′(月の直径の半分)くらいズレていても無問題なんですよね。それでも追尾に失敗することがあれば、赤道儀の追尾精度がとても悪かったり、撮影中に三脚やカメラがジワッ~と動いてしまうのが原因なことが多いです。
教訓! 撮影失敗を極軸設置のせいにするのは戒めましょう!

●大気の屈折による影響がある
極望や極軸設置の精度とは別の問題になります。
地上から見上げる天球は下の図のように大気による光の屈折で歪んでいます。地平に近づくほど星の光が通過する大気が厚くなるので星は浮き上がって見えます。日の出や日没の太陽は上下が縮んで楕円に見えますよね? それほど大気の屈折は大きいので赤道儀の回転のとおりに星は動きません。長焦点の望遠レンズによる長時間露出では、追尾エラーになって流れて写ってしまいます。
大気の影響は想像以上で、天頂付近以外はかなりの高度でも追尾速度と赤緯方向のズレの両方に影響を与え、全天のどの場所でも長焦点(広角は無問題)を正確に追尾することは不可能です。

下に西空に沈む星の動きと赤道儀の動きの図を示します(星が昇る東側でも同じです)。 これでおわかりのように、低空になるほど星は浮き上がるので極軸を上に向ける必要が生じます。
極軸設置の目安にする北極星も大気の影響で 1.5′くらい浮き上がって見えています。なので、極軸は北極星の見える方向よりも下げなければならないか?…というと、そうではなくて天頂付近はそのままか下げる必要はあり得ますが、全天のあちこちの方向の平均なら逆に 1′弱ほど極軸を上げた方が追尾が正確になります。もちろん、この程度の小さな数値は各誤差に吸収されるので明確には実感できません。しかし、東西の低空の場合はけっこう思い切って上げる必要があります。
            大気の屈折によるに星の軌跡は、うんと誇張して描いてあります

このように大気による屈折で天球が歪んでいることから、正確な極軸設置をしたつもりでも赤道儀の追尾が完璧に高精度でも、長い望遠レンズの場合は追尾はうまく行きません。だいたい500mm以上の長い焦点距離での長時間露出は念のためにガイディングが必要になります。

大気の影響を補正して少しでも正確な追尾をするためには、全天の平均値を鑑みて追尾速度をやや遅くして極軸もやや上げる必要があるわけです。 JILVA-170SWATPanHead EQなどのポタ赤は、キングさんが提唱した「キングスレート」と呼ばれる恒星時の日周運動よりも 0.003%遅い追尾速度を採用しています。 もっと低空の撮影のための、さらに遅い速度設定や極軸の上下の最適化を縦横無尽に行なうのは面倒なので無視していますが…(笑) ていうか、各部の精度はそれなりのバランスで作らないと、一部分だけが無用の過剰品質になってしまいます。

「ボクの極軸設置は正確なので赤緯は全然流れないよ」とか「1000mmや2000mmの望遠鏡でもノータッチで長時間露出の撮影ができるよ」 と言う人はいますが、それは偶然の成せる結果やシーイングの乱れなどで星像がボケて流れが認めにくいからでしょう。 極望で正確な極軸設置を行なって正確に駆動をしたら、天頂付近以外はむしろ赤緯方向(赤経方向も少し)に流れるのが正しいのです。
当然ながら、ドリフト法で極望の光軸を正確に校正することはできません。

●撮影レンズや露出時間によって様々な極軸設置が考えられる
以上のことを鑑みると、星野撮影用赤道儀の極望や機材全体の必要精度のバランスが見えてきます。 極望だけ頑張ってもしょーがないし、いっそ機材の精度は追求しないでノータッチのほっぽりっぱなしで撮影するのはヤメて、広角レンズでもオートガイダーを常用する選択肢だってアリですよ。その反面オートガイダーは面倒なので、とことん各部の精度を追求した機材をノータッチで使用する真逆の選択肢もアリですよね(星爺はコレが好き! 固定撮影並みの気楽さでないと使う気はしません)。

広角~標準レンズによる撮影なら、極望代わりの素通し覗き穴でも充分だし、極軸の方位は方位磁石で上下は分度器などで能率的に行なうことも可能です。 長焦点の場合は電子極望が正確で良いという結論や、ふつうの極望が総合的に最適との結論もあり得ますね(星爺は極望が好き!)。
覗き穴については、JILVA-170のユーザーさんでもある Kojiro さんが、ポラリエを例にして正しくわかりやすい解説をしておられるので、ぜひこちらをご覧ください。
※覗き穴に丸パイプ(ストロー等)を挿して精度アップを試みる人がいますが、そういうものではなくて離れて覗くことがコツであることも、Kojiro さんのブログを見るとわかりますよ!

これは世に出ることのなかったポタ赤 PanHead EQ の最初期型です。フライス加工の精密な筐体で、横に分度器を下げ、方位磁石(コンパス)を置くスリットもあります。方位磁石は取付けたままだとポタ赤やカメラなどの磁力や鉄部で狂うので、周囲に指針を狂わせる鉄骨などのない場所で、赤道儀から50cm以上離して指針を確認し、指針の動きを見て校正しながら赤道儀に近づけ そっと置かないとダメです。
極望は目安のための口径1cm 2.2倍のガリレオ式(スケールパターン無し)を内蔵しました。
こうした極軸設置法を実用に即して改良してゆくのもポタ赤の正常進化と思います。

●3月23日。今晩は半影月食だそうですね2016/03/23 08:04

●半影月食は確認できるでしょうか?
「半影月食は月食とは言わない」 と書いてある書物を何十年か前に読んだ覚えがあります。星爺もそうだろうなぁ…と思います。 なので今晩は半影月食を見るつもりはありません。
図のように半影月食は地球の濃い影(本影)の周囲の 「半影」 と呼ばれる淡い影の部分を月が通過します。が、この部分の影はずいぶん淡いです。月の光度をきちんと測定すれば暗くなっていることが判明すると思います。しかし、肉眼では 「ふつうの満月」とまったく変わらず煌々と輝いて見えるだけです。
満月の端っこが少しでも本影の濃い影に入れば、その部分が少し暗いことはわかりますが、今晩の半影月食は本影からかなり遠い場所を通過します。
           今回は本影からかなり離れたところを満月が通過する半影月食です
       いつの月食だったか忘れましたが、本影に1/4ほど入った皆既月食の写真です

●星爺は大恥をかいた経験があります
50年ほど前の中学生のとき、理科の先生と一緒に 「半影月食を見る会」 を開催したことがあります。その時は本影を少しだけかすったので、意識して見れば確かに満月の端が少しだけ暗く見えたのですが、参加した人達から 「何も起こらないじゃないか!」  「どうなっているんですか?」 と非難轟々で、まったく穴があったら入りたい恥ずかしい思いをしました。 以来、半影月食は月食とは思いません。

天文関連のサイトを見ると、多くは 「半影月食は気が付かないかもしれない」 と但し書きがあります。しかし、せっかくの天文イベントだから(?)でしょうか、けっこう見栄えのする天文現象であるかのような記述も見受けられます。そうした記事を孫引きして情報が一人歩きを始めると、夕方のTVニュースなどで「半影月食を楽しみましょう」 などと放送されかねませんね。 TV中継があったりして(笑)
もちろん若人の人達は、半影月食はほとんど変化無し!と 確認することは大いに意義があります。
半影月食は一人静かに 「満月が半影を通過しているんだなぁ」 と宇宙の動きに思いをはせながら、いつもと変わらない満月を見物するのが良いと思いますよぉ。