●JILVA-170の進捗2015/11/11 11:54

●たくさんのご注文をいただきました
輸出用の余剰パーツを使った特別価格のJILVA-170は驚くほど好評でした。多数のご注文に対して出荷がまったく追いつかず、大変ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
必需品の上下方位微動台座が付いて税込み98,000円が安価なのかもしれませんが、「大きなウォームホイールは正義!」 「ウォームホイールの大きさに比例して強度も精度も向上する」 という、実にシンプルなJILVA-170のコンセプトを理解していただいたからと思います。
余剰パーツはすぐに無くなって2回も増産しました。増産したモデルはユニテックのSWAT-350のターンテーブルに換装したさらに頑丈な設計です。年末に発表する 「国内仕様」 を鑑みた量産試作で、少し割増料金を頂戴しています。このモデルなら現在もご注文を受け付けています。

       お名前を貼って出荷を待つJILVA-170。個体ごとに実際の星でPモーションを
       測定して、毎日2台ほど仕上げて出荷しています。ご注文をくださったお客様に
       は完成をメールでご連絡の上、逐次出荷させていただいております。
       取説の一部です。クリックすると拡大されますので仕組みの概要をご覧ください。     
       ユーザー様のJILVA-170です。このくらい丈夫な三脚に搭載すると快適です。
       微動付の自作赤緯軸を取り付けて立派なドイツ式赤道儀にされて、星野写真
       だけでなく普通の赤道儀として太陽観測などにも使用されているようです。
       大きな画像をアップしましたので、クリックして拡大しシャープな星像と追尾精度
       の完璧なことを確認してください。とも座のM46とM47(NGC2242)です。
       JILVA-170に自由雲台一つで200mmF2.8望遠レンズを載せて4分露出しました。
       JILVA-170にはオートガイダーの端子もありますが、大きなウォームホイールで
       バランスの崩れにはことのほか強いので、「雲台一つをポンと付け」 てガイディ
       ングはしない、固定撮影並みのお手軽撮影も得意です。


●国内用のモデルは2種類作ることにしました
下左の写真は輸出仕様(Export Version)のJILVA-170です。右はターンテーブルをSWAT-350用に換装した国内仕様の試作モデル(モックアップなので電装品などは付いていません)です。
SWAT-350のターンテーブルは外見からはわかりにくいですが、大型の据え付け式赤道儀と同様のベアリングレイアウトで過剰品質なほど頑丈です。かなり重くなるのが欠点ですが実際に使用するととても快適で、赤緯軸や大きな望遠鏡を搭載する目的にはとくに適しています。
       右は国内仕様のJILVA-170のモックアップモデルにSWAT-350のターンテーブル
       を載せ、ベンチバーに雲台を取り付けてバランスを確認しているところ。

一方、ザックにポータブル赤道儀を詰めて遠征する天文ファン用に、輸出仕様をベースに徹底的に軽量化したモデルも年末の発表に向けて鋭意開発中です。現行JILVA-170の約半分の重量です。
  (1)国内仕様のJILVA-170--Japanese Version
  (2)軽量仕様のJILVA-170--Ultra Light
新製品は以上の2種類になります。
量産試作の最中なので、今のうちにご希望などをお寄せいただければ幸いです。
       Ultra Lightのパーツです。現行JILVA-170の本体円盤の厚さ23mmに対して13.2
       mmで、周囲に衝撃吸収のためのゴムリングが付き((赤いリングにするかも?)、
       外形は10mm小さくなります。極軸は同じですが薄型ベアリングを使います。
       市販のアルカスイス互換のキャッチャーは強度不足なので、「3点トラス締め」 の
       頑丈なアルカスイス互換キャッチャーを作り(写真は黒アルマイト無しの試作)、
       これを標準装備します。
       上下方位微動台座を取外し式の別売にすることで、低価格と現行JILVA-170の
       半分の重量を目指します。


※株式会社輝星の運営する「SB工房」はこちらです。

コメント

_ やまね ― 2015/11/12 21:59

いよいよ国内仕様JILVA-170のプレビューですね!

車のトランクに詰め込んで気軽に遠征できて、
望遠レンズでノータッチガイドしたり、
ときには、赤緯軸ユニットを付けて赤道儀に…
天候不順な現代の星見遠征にぴったり。
新しいJILVA-170をとても楽しみに待っています。

実は、ポータブル赤道儀を買いたいと思った
きっかけはスカイメモRの発売でしたが、
JILVA-170の存在・その性能やコンセプトを知って、
値段以上の魅力を感じて注文に至っています。

軽量仕様のアルカスイスマウントはとても頑丈そう
ですね。 オプションとして発売はされるでしょうか?
これを見て思ったのですが、国内仕様に付属する
ベンチバー自体がアルカスイスプレートであれば、
なにかと使い勝手が良いかもしれません。

また、今後登場するであろう赤緯軸ユニットも
どのようなものになるのか、気になっています。

JILVAシリーズの今後の展開を楽しみにしています!

余談ですが、軽量仕様JILVAの本体円盤が
黒アルマイト仕上げ&ヘアライン加工だったら、
レコード盤みたいで個性的かなと思いましたが、
性能&価格が最優先ということで、
聞き流してください。(笑)

_ 星爺 ― 2015/11/13 04:26

やまね様 コメントをありがとうございました。

以前のブログにも書いたように「ポータブル赤道儀」は星野写真撮影機ですから、通常の赤道儀よりもはるかに高性能でなければならないと思っています。ポータブルの名称が良くないのか(?)現状では間に合わせの簡易赤道儀ということになってしまっていますけどね。

ポータブル赤道儀を開発する場合、本体のウォームホイールがもっとも大切ですが、本来は土台となる三脚を最初に開発して、その次に組立勘合部すなわちアルカスイスキャッチャーなどを開発するのが筋だと考えています。でも、どうしても本体を優先して最初に作ってしまいます。

今回のブログでご紹介したアルカスイス互換キャッチャーは、実は2年も前に100個分のパーツが完成しています。見た目ではわかりませんが、しっかり3点トラス締めをするので一般写真用とは比較にならないほど頑丈に取り付けられます。もちろん単体で別売もする予定です。

JILVA-170-Ultra Light用のベンチバーは、アルカスイスプレートとコンパチにします。幅の広いベンチバーの下にアルカスイス互換のレールを装着する予定で、安価に供給するため「レール製作機」を自作しました。

赤緯軸は部分微動と全周微動の両方を開発しています。全周微動ができたら自動導入のE-ZEUSⅡをつなぐことも出来るハイブリッドモーターでマイクロステップ駆動のモデルも投入します。

それと…JILVA-300というのも準備しています。ウォームホイールは直径300mmです。10年前に試作したのが最初で、弊社の一連のポタ赤はJILVA-300からダウンサイジングしたものです。大きな円盤の外形がロボット掃除機のルンバにそっくりだったので、洒落でジルバ(JILVA-)の名称が生まれたのです(笑)

_ とっぱー ― 2015/11/13 13:54

JILVAの命名がお掃除ロボットのルンバに由来していたとは・・・
これからまだまだ進化するJILVAが楽しみです。JILVA-300+E-ZEUSⅡなんて凄そう。しかしウォームホイールが大きくなるとお値段の方も凄そうです(笑)

_ 星爺 ― 2015/11/13 14:05

とっぱー様 コメントをありがとうございました。

JILVA-170と同じ直径のウォームホイールとウォームネジを歯車メーカーに特注したら、おそらく30万円はすることと思います。
それほど高価でも、実態は 「たんなる減速ギヤ」 なので、天体の追尾に供せられる精度があるかどうかは大いに疑問です。
赤道儀用のウオームギヤは似て非なるものです。100均で売っている虫眼鏡と屈折望遠鏡の対物レンズが同じ精度に見えるのと同じ…と言ったら言い過ぎか?(笑)

弊社はウォームホイールを内製しているので安いのです。赤道儀への取り付け法はGDFW(グリースダンプド・フローティングウォームホイール)方式と呼んでいて、ちょっとした発明と思っております。
JILVA-170もかなり安価ですがJILVA-300は驚かれるほど安価になると思います。

_ やまね ― 2015/11/13 18:27

JILVA-300とは・・・ びっくりぽんです。(笑)

両軸モーターであれば、まさに現代版GN-170ですね。
GN-170はデザイン的に秀逸ですが、
JILVA-300も機能が昇華された美しさが宿りそう。
驚くような 性能&価格 に期待しております!

_ satelight57 ― 2015/11/24 23:14

往年の名機 三鷹GN-170の存在と使用を知る世代です。
まさに 現代版GN-170 =JILVA-170の登場で ようやく
海外遠征で気軽に望遠300mmF2.8が使えそうな感じですね。
 とくに ULtra Lighは海外遠征用として期待大です。
 そこで 3点。
 まず
 広角ならスカイメモで十分ですが、さすがに200mm以上だと
厳しいです。ドイツ式にしないと構図その他で苦労するので
簡単にドイツ式に変更できるようにしてほしいですね。アルカスイス型パンヘッドやレールは汎用性が高いのでこの路線を希望します。
 第2は 電源で苦労しないこと。
 5Vモバイルバッテリーで
 10時間以上駆動できること。ほかにもヒーターその他で電源が いりますし、12Vバッテリーは機内持ち込み禁止なので現地調達ですが それを必要としない仕上げにしてもらいたいです。
 第3は 明視野を暗視野極軸望遠鏡にステップアップ
 JILVA本体とは関係ないですが
いくら高精度でも極軸があってないとただの金属の塊ですので精度のよい極軸望遠鏡は必須でしょう。
 南半球で明視野では、まず初心者は無理です。

_ 星爺 ― 2015/11/25 02:37

satelight57 様 コメントをありがとうございました。

JILVA-170は公称のPモーションは4~5″ですが、実際は4″以下を合格としております。そのため調整に時間がかかり出荷が遅れてご迷惑をお掛けしています。申し訳ありません。
フィルム時代なら300mm望遠の追尾精度は±10″程度で合格でした。デジタル時代でも「鑑賞距離」で見るのなら、ひとまわり厳しい程度の±7″~±8″で合格なのですが、非常にシャープなレンズ(望遠鏡+レデューサーなど)で撮影して、しかもパソコン上で拡大して楽しむ場合は、どうしても±5″以下は必要になりますね。

JILVA-170は大きな望遠鏡も搭載できるようにターンテーブルを大型赤道儀と同じベアリングレイアウトにした「Japanese Version」とポータビリティを重視した「Ultra Light」の二本立てになります。
Japanese Versionは頑丈なドイツやフォークのユニットを用意して普通の赤道儀近くなるので、自動導入のE-ZEUSⅡ仕様もご用意します。
Ultra Lightにも当然ながら軽量のドイツやフォークのユニットを出します。斬新で驚くほどの低価格を目指しますので期待していただきたいと存じます。赤経・赤緯2軸オートガイダーにも対応します。アルカスイス互換のキャッチャーが流行っているのこれを採用しますが、一般撮影用はどれも不満なので3点トラス締めのアルカスイス互換キャッチャーを開発しました(もうすぐ単品販売のご案内もします)。

電源はDC-DCコンバータを内蔵しているのでDC4V~12Vが使えます。消費電力は180mAで単3形乾電池6本でも8時間以上は動くので電気の消費は心配ありません。

極望は、ホームページの方でもご紹介しているように(http://www.ne.jp/asahi/sky/bird/pheq.html)、中国の双眼鏡メーカーに頼んで暗視野照明のものを100本ほど作ったのですが、さすが中国でその後に100本追加注文したのに3年経っても納品されません。それで、正立の暗視野照明の極望を開発中です。

星爺は、ポータブル赤道儀が初心者向けの広角レンズ用の間に合わせ機材などとは全く思っておりません。星野写真には星野写真用の専用赤道儀が必要です。出来合いの赤道にカメラを搭載する手法の方が間に合わせの手段と考えています。

_ とっぱー ― 2015/11/25 13:04

オートガイダーを使わずに追尾精度を上げようとするとやはり極軸調整の精度が要求されますよね。最近(かなり前から?)の赤道儀には当たり前のように付いている極望ですが、星爺さんも「極望の調整について2」で紹介されているDPPAカーチス法がシンプルかつ正確な極軸調整法ではないかと思います。普通であれば、デジカメの画面に印を付けたりと手順が結構面倒ですが、その面倒な手順を支援してくれるソフトが登場し手軽に調整できるようになりました。私はポタ赤ではなく、普通(?)の赤道儀を使ってDPPAカーチス法による極軸調整をしていますが、極軸調整用の微動機構のあるJILVA-170なら快適に調整できるのではないでしょうか。
1922年に考案されたとするカーチス法。デジタルカメラ、PCの普及によってこれからの極軸調整法の標準になる?

_ Kahill ― 2015/12/18 09:09

ずいぶん遅れてコメントですが。
金属製鏡筒の極望が入荷しないのは、そんな事情だったのですね。
プラスチックの鏡筒に比べ輸送時等に気を遣わなくてもよさそうなので、期待していました。
いっそのことトイガン用のスコープを作っている日本メーカーが製造販売してくれると嬉しいのですが。
トイガン用とはいえ金属チューブで堅牢性、衝撃耐性のある製品が多く、中には実銃での使用に耐えるようなものまであります。
そんなメーカが極望を造ってくれれば、良いものを造ってくれそうです。
先の極望は3年も入荷しないとなると、期待は薄そうですね。
正立の暗視野照明の極望開発中とのことですので、こちらを待ちたいと思います。

_ 星爺 ― 2015/12/24 12:06

とっぱー様、Kahill様 コメントをありがとうございました。

多忙でコメントが遅れました。すみません。
極望について肝心なことは「○mmの望遠レンズを○分追尾するために必要な精度」を求めてから設計せねばならないことです。
ところが、天文の世界には(科学の趣味なのに)必要な精度を論じたり計算したりすることなく機材が作られてしまうことが多々あります。まったくもって不思議な現象と思います。
極望に必要な精度を求めるには座標変換の計算をしなくてはならず敷居が高いことは確かですが、ざっくりとデジカメの詳細画像では、100mm望遠を4分露出するのに必要な極軸設置精度は1°です。デジカメの短時間露出になってずいぶんラフになりました。
まぁ、他にも追尾ミスをする要因は多々あるので、それらが重なると極軸設置が悪いのやら赤道儀の追尾精度が悪いのやら、全体的に強度不足で動いているのやら、追尾失敗の原因が何がなんだかわからなくなるので、いろいろな見解が飛び交うのだと思います。
それと、ものすごい詳細な画素とものすごくシャープなレンズを組合せて、そのうえPC画面で強拡大する人もいるので、その場合はもう少し厳しく計算したほうが良いかもですね。

極軸設置の精度は「赤緯方向の星の流れ」で観察できます。それを応用して極軸の修正ができます。その修正法は最近はドリフト法などと呼ばれるようですね。ここで勘違いしてはならないのは、極軸設置は赤経方向の追尾速度にも同様に影響するということです(Pモーションで観察しにくいですが)。
また、天球は大気の屈折で正しい球体でなく歪んでいるので、星は天球の場所によって球面に沿わない動きをします。「大気差があるから…」などと言われますね。
なので、極軸をいくら正確に合せても(合せたつもりでも)、だいたい300mm望遠以上はどうしても近隣の星でのガイディング(オートガイドが良いですねぇ。そのうち発売しますので乞うご期待です)必要になります。極軸設置だけ頑張ってもしょーがないと言えます。
これらを総合的に考えて、極望の光学的芯出しの精度などを鑑みると、極望の精度は3~5′もあれば充分ということになります(と星爺は思っている)。良心的なメーカーさんは、出荷時にそれくらいの精度で合せてあるようです。なかには、未調整の極望が供給される場合もあるようですが。

_ 元中学生の天文ファン ― 2015/12/26 07:22

>極軸設置だけ頑張ってもしょーがない

仰るとおりだと思います。
「極軸設置誤差1度で100mm望遠4分露出可能」であれば、300mmで80秒となりますが、昨今のデジタルであればこれでも実用範囲ですね。
先日ベランダでJILVA-170を目分量極軸設置で300mm30秒で使用しましたが、まあ許せる範囲でした。

ちなみに、この計算の際にガイドずれ許容量は像面0.02mmを想定されているのでしょうか。
最近のデジタルでは微光星は2ピクセル角くらいになるので、0.005mmくらいの精度が欲しいですが、それでも極軸設置誤差は5'あれば十分だと思います。

最近流行?の電子極軸望遠鏡は、設置精度よりも設置の簡便さ、極望という「余計なもの」を赤道儀に抱え込まなくてよくなるメリットが大きい気がします。(SWATやJILVAの外付け極望はその点でススンでますね)

_ ムササビ ― 2015/12/27 13:08

先日、あるブログを拝見していたら、電子極軸望遠鏡の記事を見つけました。

新しい技術的な試みは楽しいですし、大いに様々なアイデアが生まれるのは歓迎したいと思います。

・・・が、『セッティング精度0.5分』のうたい文句には 違和感を感じてしまいました。

機械的な精度については私は専門家ではないのでよくわかりませんが、北極星自身も大気差で日本付近から見ても、1分程度浮きあがっているはずですよね。
それを北極星星を頼りに0.5分の精度でセッティング出来る・・・なんて、無理があるような気がします。
私は電子極軸望遠鏡そのものを否定するつもりはありませんが、過度な期待と、誇大な宣伝には違和感を感じます。

以前は天文雑誌に「テスト記事」が掲載され、私たち読者も良い勉強をさせてもらいましたが、最近は紹介記事ばかりで(ないよりは遥かに有難いですか)、あまり鵜呑みに出来ません。
最近では、本当に面白い情報はネット上にあり、天文雑誌には厳しい環境なのかもしれませんが・・・

ネット上の情報は早くて、面白いですが、
「ためしに作ってみた」程度の新製品が多く、トラブルも少なくないように聞いています。

天文雑誌が互いのレベルアップのための情報源になっていないのが残念です。


また、高槻さんのブログ等で、興味深い辛口のお話が聞けるのを楽しみにしています。

_ 星爺 ― 2015/12/27 18:20

元中学生の天文ファン様、ムササビ様 コメントをありがとうございました。

◆元中学生の天文ファン様、JILVA-170の調子はいかがですか?
300mm望遠のノータッチ追尾は達成できていることと思います。

弊社では追尾ズレの許容量は通常は像面で0.02mm(20μmミクロン)を基準に計算しています。フィルム時代は30μmでも厳しい基準でしたが、デジカメは詳細なので1.5倍ほど厳しい20μmとしています。
しかし、飛躍的に高性能化された本物のデジタル対応望遠レンズや望遠鏡に、ボカシ・フィルターを省いた詳細画素の高級なデジイチを使うと星像がものすごくシャープに写るため、おっしゃるとおり20μmでは精度不足になる可能性が出てきました。
もちろん旧式のさほどシャープでない望遠レンズを使用する場合は、今でもフィルム時代並みの30μmの許容量でも全然大丈夫ですけどね。そのため「○mm望遠をノータッチできた!」という情報は、使用機材やピント合せの腕前でずいぶん変わるので、そのまま鵜呑みにするわけにもゆきませんね。

たとえば300mm望遠レンズの追尾許容量はフィルム時代は±10″程度でした(天ガの記事ではそうしてました)。デジタルでは±7″程度です。
しかし、高性能なデジタル機材をピント合せなどの腕前の良い人が使うと、±5″でもギリギリとなる可能性があります。そのため300mmのノータッチを目指したJILVA-170は±4~5″のPモーションを標榜していて、実際の検査基準はもっと厳しくしています。お手元に届いてから1年以内は、壊したのでない限りは±5″より精度が悪くなったら、パーツの交換などをして±4″~±5″以下に再調整させていただきます。


◆ムササビ様、北極星は大気の影響で1.5′くらい浮き上がって見えます。なので極望で合せた天の北極は、やや上を向いてしまっているわけですね。しかし、本来は 「極軸をもっと上に向けた方が」 天空全体の追尾精度はもっと良好になります。大気差で歪んだ天球と完全球面の天球の動きを頭の中で描いてみれば、その理屈はすぐにわかると思います。極軸望遠鏡による設置はあくまでも目安に過ぎないので、極望の精度だけ追い込んでもしょーがないのです。

電子極軸望遠鏡というのが登場しているのですか? 撮像素子を利用した極望や、またはもっと口径の大きな極望を使えるなら、実際に見える北極星の位置を基準に周囲の微光星も使って、撮影する天空の星の動き合せた高精度な極軸設置が可能なはずです。彗星の固有の動きに似た追尾をさせることも可能なはずです。どうせなら、そこまで突き詰めないと、もったいないかもしれませんね。ドリフト法は結果的に撮影する天空の星の動きに合せているわけです。逆に言えばドリフト法で極望の芯出し調整はできません。

撮像素子が使えるなら、極軸望遠鏡の代わりにしないで、南の適当な天空に向けて星の配列をパターン認識させれば、簡単に極軸設置ができるのではありませんかね? そういう手法を長年研究しているアマチュアの人もおられますよ。
とにかく精度などの数字が独り歩きすることは天文趣味ではよくあることなので要注意だと思います。


◆◆12月26日にナンチャッテ正立極望のLED照明とJILVA-170 Ultra Lightのお問合せをくださったK様。メールが返信できません。たぶんメアドのミスと思います。再度ご連絡ください。

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