●完全復活いたしました!2019/04/01 05:09

●体調不良でご迷惑をおかけしましたが、もう大丈夫です。
JILVA-170をはじめ納品が遅れて、大変ご迷惑をおかけしております。 謹んでお詫び申し上げます。
年始から先日まで体調が悪化して3ヶ月近く作業が滞ってしまいました。 ときどき歩けなくなる持病の他に、眼病で左眼が大きく歪んで見え、パソコンに向かうと猛烈な吐き気がして(精神的な問題もあるようです)、すぐに寝込んでしまう繰り返しでした。 原因がフリッカーする古いモニターのせいだと判明し、32インチ4Kのモニターをに交換したら、嘘のように元気になりました。
お叱りや激励のメールも頂戴したのに、お返事ができずに無礼千万でした。 でも、もう大丈夫です。 メールはこれから順次お返事申し上げます。

現在は頑張って受注分の作業に邁進しております。今後は自社加工が必要な精密な部分以外は外注して、滞りなく生産するようにいたします。
また、今まで負担になっていたユニテック社(←クリック)のSWATの生産から手を引きました。 SWATも相変わらずのご支援をお願い申し上げます。
32インチ4kの大きなモニターを部屋に作りつけてもらいました。 眼の負担が激減しました。


●50cm赤道儀に装着したE-ZEUSⅡ
ブログは5ヶ月も更新できませんでした。 ブログ紙面を拝借したので、昨年の秋に西村製作所の50cm赤道儀に取付けたE-ZEUSⅡ(←クリック)をご紹介します。
群馬県は草津温泉に「バーデンメモリアル草津」という豪華なリゾートマンションがあり、 屋上には巨大な50cm赤道儀のドームが載っています。 マンションのオーナーの人たちで天文同好会を運営しています。 マンションは中古として売り出されることもあるので、興味のある方は不動産広告のサイトを調べてみてはいかがでしょうか?
11階建てのマンションの屋上にある50cm赤道儀のドーム。 地下には源泉かけ流しの温泉もあります。
(クリックすると画像が大きくなります。以下同)
ピラーの北側にE-ZEUSⅡとノートPCを置いています。 ※パノラマ合成がズレてすみません。

大型赤道儀へのE-ZEUSⅡのモーターの取付けは、赤道儀の構造によってはとても苦労します。 本機は写真のように、モーターからウォームネジへの減速/伝達ギヤが小型ウォームギヤの1:40と大きな減速比だったので、モーターを変えるだけでは速度が出ないため、改造が大変な赤道儀です。 過去の同型機の3例では、赤道儀を望遠鏡メーカーの工場に持ち帰って改造していました。 今回は現場で改造できるように工夫しました。
赤経のモーターは、通常とは逆の位置に取り付けることで、現場で取付作業ができました。 5相の
ハイパワーモーターを使って伝達の平ギヤは1:4です。 赤緯は1:10の減速機付きの5相モーターをカップリングでウォームネジに直結しています。 Pモーションが発生しやすい手法ですが、赤緯は赤経と異なり精度は問題にならないので、直結でもベルト伝達でも大丈夫です。

●E-ZEUSⅡは大型赤道儀にも適しています
E-ZEUSⅡを取付けると古い赤道儀も格安で最新型の自動導入に生まれ変わり、お客様に喜ばれています。 今回の50cm望遠鏡は岡山県は井原市星空公園にある元海上保安庁水路部の60cm望遠鏡(←クリック)や香川県はさぬき市の天体望遠博物館に京都大学大宇陀観測所から寄贈された口径60cm反射望遠鏡に次ぐ二番目の大きさになります。
E-ZEUSⅡには、天体で初期設定しなくても自動導入できる「地上マーカー」という機能があります。 前回の観測終了時の位置や天頂から、または真東/真南/真西の地平線から、これに加えて遠くの風景(鉄塔のてっぺんなど)の一点を記憶させて、そこから直に自動導入ができるため、 白昼の天体導入にも重宝します。 「地上マーカー」は高価なアブソリュート型(位置を記憶できる)エンコーダが不要の、ちょっとした発明です。
移動の速い彗星などの長焦点撮影のために、ギヤのバックラッシュ補正や10秒に1回自動導入を繰り返す「間欠導入」という機能もあり、公共的な大きな望遠鏡にも適しています。

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メールにトラブルがありました2018/10/04 17:11

金融機関からメールが来て うっかりクリックしたらPCの動きが遅くなり、ウイルス処理を強力にかけたら、8月下旬からメールの半分くらいが届かなくなっていたようです。 専門家に頼んで少しずつですが復旧させています。
この期間にメールを頂戴した皆様に不義理をしてしまいました。 恐れ入りますが返信が届かない皆様は、いま一度メールを送ってください。 どうもすみません。
星爺こと高槻幸弘 (株)輝星。

2018-胎内星まつり 参加できません2018/08/25 05:35

8月24日~26日は恒例の「胎内星まつり」です。 今回はSB工房/(株)輝星は参加できません。 この2週間ほど寝込んでおり作業などが停滞しています。 車も運転できません。
直前までどなたかの車に乗せていただいて、顔だけでも出してJILVA-170などのユーザー様とお話をしたかったのですが、面目ない状態で申し訳ありません。
取り急ぎ、ご報告申し上げます。

スキャパレリの見た火星はコレか?2018/07/21 07:27

●火星の大黄雲が晴れてきました! これは「大幸運」!
※この数日間で大黄雲はどんどん薄くなっているようです!
いつもご指導をいただいている土生祐介さんから、オーストラリアで撮影した火星の赤外線撮影の波長を変えたテスト画像をいただきました。 7月31の大接近に向けてご紹介します。
土生さんは元コニカミノルタで医療関係の画像処理を開発されていました。 40歳代で意気軒昂です。 昔は『天文ガイド』の執筆もお願いしたことがあります。 数学のスペシャリストでアマチュア天文家で画像処理の専門家ですから無敵です! コンプライアンスの問題ですぐには無理でしょうが、いずれは高度な数学を駆使して天文用画像処理ソフトを作っていただきたいと願っています。

大黄雲が発生して模様が見えなくなっていた火星面は、大黄雲がだいぶ晴れてきて日に日に模様が見えるようになってきました。 どうやら高い山や高地は黄雲の影響が薄いので、そこだけ黒っぽい模様がハッキリと見え、全体的には通常の火星面とは異なる複雑な模様に見えるようです。
と言っても眼視ではまだまだ見えにくいですが、赤外線で写すと雲が透けて模様がはっきり写ることがあります。 6枚のフィルターでテストした下のモノクロ画像を見ると、760nmのシャープカットフィルターがもっとも明瞭ですね。 これは普通の赤外線用SCフィルターとほぼ同じ特性です。
このカラー写真は星爺の責任で、 土生さんの760nmの写真をL(下のモノクロ写真)画像に使い、 以前に写した火星のカラー写真をLab分解してボカして、abの色画像を合成してカラー化したもの。 
画像にコントラストが欲しい場合は、明瞭に写ったモノクロ画像を元にしてLab合成、またはCMYKやLRGB合成をすると明瞭な感じになることがあります(多少インチキっぽいですが)。
フィルターは、フジのアセテートなら格安で短波長から赤外まで入手できます。  Celestronの火星用フィルターセットの中にある、青と赤外を通す干渉フィルター(カラーで写すと赤紫色になる)も高コントラスト化に良いフィルターだと思います。
赤外線のテスト写真。 左上がフィルター無し。 左下が760nm。
テスト画像は7月10日の22時40分にオーストラリアにて撮影。
望遠鏡:ARIES Instr.-Ukraine 178 mm F/8 Doublet Fluorite Apochromat  バローレンズ:テレビュー 2.5x パワーメイト  カメラ:ZWO ASI120MM-S
土生さんは口径18cmのアポクロマート屈折望遠鏡をオーストラリアで入手され、日本からでかけて観測しています。

●スキャパレリの見た火星はこれなのか?
薄くなった大黄雲を通した火星の写真を見ると、スキャパレリの火星のスケッチを思い出します。 彼の見た火星は同じように大接近時に大黄雲が晴れつつある状況だったのでしょうかね?
天文ファンには笑い話の逸話とされていますが、イタリアのミラノ天文台長で1877年の火星の大接近を口径22cmの屈折望遠鏡でスケッチしたスキャパレリは、火星の表面全体に「筋状の模様」を描き、その後の二度の大接近でも同様なスケッチ観測を得ました。
イタリア語の「筋」が英訳で「運河」になってしまい、それを受けてアメリカのハーバード大学出身で大富豪のローウェルは私財を投じてローウェル天文台を建設。 火星のスケッチを行ない運河を作った火星人の存在まで唱えました。 彼は実業家なので大宣伝してスポンサーが欲しかった?
しかし、今回の火星を見ると、スキャパレリやローウェルの観測は笑い話でもホラでもなく、晴れつつある大黄雲を通して、見た様の「」を正直に描いたのではないかとも思ってしまいます。

●カラー合成----油絵と線画の違い
上のカラー合成について少しお話します。 うんと簡単に乱暴に言えばRGB画像は色だけで絵を描く「油絵」で、Lab画像は黒白墨絵線画の「塗り絵」です。 輝度信号のL(黒白)でていねいな黒白の線画を描いて、そこにab二種類の色信号を塗ってカラーの絵にするという理屈です。
黒白線画の方が細かな描画が得意です。 子供の頃の塗り絵で経験するように、色はベタをしっかり塗るよりも粗くざっと塗った方が線画が生きて良い感じになります。 それと同じ理屈か? ab画像はボケていた方が疑似画像も発生しにくく、 かえって良い感じになります。
モノクロ(黒白線画)の撮像素子の方が高詳細/高感度ですから、大事な画像をLで写せば、abは極端に言えば色さえ出れば質はどうでも良いとも言えます。

惑星のL画像は人間の視感度に近くしたいならL画像はG(緑)で写すべきですが、コントラスト高く鮮明に写るなら全波長でも良く、紫外や赤外でも何でもモノクロ画像が明瞭ならば、専門家の観測でない鑑賞写真としてなら それをL画像にしてOKと思います。


◆最近の健康状態
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実は先週と今週の二回、また歩けなくなってしまいました。 左眼がガタガタに歪んで暗く見える症状も治りませんが、見え方に慣れてきたので眼が回って嘔吐することはなくなりました。 今回のブログは代打ちしてもらって作りました。
頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 深くお詫び申し上げます。 頑張って順番に返信させていただいています。

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 HOME-PAGE形式はプログラムを書く体力がないのでBLOG形式にして代打ちしてもらいます。 表現力はHOME-PAGEに劣りますが、製品情報を迅速にご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●南半球の極軸設置2018/07/07 02:34

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 迅速な製品情報、とくにお買い得品をたくさんご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●南半球の極軸設置
弊社のナンチャッテ正立極望の説明書にある図の評判が良いので、夏休みを利用して南半球に遠征する人のためにご紹介します。 写真に文字を入れた下の図です。
極軸設置は極望のスケールパターンによって手順が異なります。 また、ナンチャッテ正立極望は単眼鏡を改造した正立像なので双眼鏡などの視界と比較しやすいですが、ふつうの倒立像の極望では、南半球では ちょっと苦労するかもしれません。

天の南極に近い南極星とも言われる、はちぶんぎ座σ星(σOct、5.45等星)を、極望の視界のスケールパターンに印された位置に導入します。 北半球で北極星を導入するのと同様です。 しかしσ星は肉眼でやっと見える暗い星なので、まずは星座早見盤などで大まかに確認後、双眼鏡やオペラグラスでσ星と近辺の星で形成される小さな台形の配列を見つけます。
南半球の極望の時角合せは仕組みによって異なりますが、ふつうは南十字とカノープス(αCar=りゅうこつ座)とアケルナル(αEri=エリダヌス座)の3つか、または2つの方向で時角を合せます。 そして、 はちぶんぎ座σ星を所定の位置に導入します。 台形の配列でさらに正確に時角を合せられるので、慣れれば北半球の北極星よりも むしろ正確な極軸設置ができます。

画像をクリックすると拡大します。 南十字の左下隣がコールサック(石炭袋と呼ばれる暗黒星雲)。 南十字の右の方の赤い星雲が前回の記事でオルゴール赤道儀で撮影したエータ・カリーナ星雲です。
ちなみに、極軸だけのポータブル赤道儀の中央に「雲台をポンと取付けただけ」の場合、北半球ではケフェウス座付近に向けにくい(死角になる)のですが、南半球では その死角が南十字やマゼラン雲付近になるので要注意です。

ナンチャッテ正立極望のスケールパターン。 時角の調整は極望全体を回す方式です。
北半球/南半球兼用で、北半球の星は○印で南半球の星は☆印で描いてあります。
北半球用の時角合せは、北斗とカシオペヤのWの方向を目視して合せる方式と、こぐま座β星(βUMi=コカブ)の方向で合せる方式の二種類。
南半球用は、南十字とカノープス(αCar)とアケルナル(αEri)の方向が描かれています。 南極星を導入したら、小さな台形の線つなぎの3つの星マークに各星が入るように極望を少し回して時角を合せ直すと、より正確になります。
空の良い観測地なら、大小マゼラン雲で時角調整する手もあるかもしれませんね。

ナンチャッテ正立極望のPDF説明書はこちらでダウンロードできます。 取説ではありますが、極軸設置の概要がおわかりになると思います。 製品紹介のサイトはこちらです。


●ユニテック社SWAT-300の展示品を特価でもう1台!
前回ご紹介した、特価品/ワケアリ品のSWAT-300やオルゴール赤道儀は即日完売になりましたが、ユニテック社のSWAT-300の展示品(塗装バージョン)が、また1台出ましたので、早い者勝ちの特価販売をいたします。  細かなスリ傷はありますが新品同様です。 オーバーホール済みです。 通常価格112,000を弊社製ベンチバー(←クリック 8,000円)を付けて、特価:85,000円(税別)でお願いします。

ユニテク社のSWAT-300
ユニテック社SWAT-300と右はSWAT-300にベンチバーを取り付けたところ。

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●輸出用SWAT-300の出物が3台あります2018/06/26 09:02

●SB工房2018年の製品情報のブログを開設
2018年6月から「SB工房2018年の製品情報」(←クリック)を開設いたしました。 迅速な製品情報、とくにお買い得品をたくさんご案内して参りますので、どうぞよろしくお願いします。
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●輸出用だった最後のSWAT-300のお買い得品
今回はお買い得な輸出用SWAT-300です。 在庫が3台あり早い者勝ちです。
現行のSWAT-300は、ユニテック社に納品していますが、以前は名称が同じで仕様の異なる輸出用のモデルがありました。 機械加工は台湾のLONG PERNG社(米国製など超高級接眼部のOEM、高性能屈折望遠鏡のメーカー)で行ない高精度な仕上がりです。 LONG PERNG社の会長さんは星爺と同い年で孫の年齢も同じ、長男の結婚式にご祝儀をいただくなど懇意にさせて頂いています。
100台だけ作って最後の余剰部品で3台組めたので特価販売いたします。
現行SWAT-300がウォームホイール210歯に対し輸出用は200歯で 5%ほど追尾精度が劣ることになりますが大差はありません。 特長はガリレオ式の口径11mm 2.2倍極望を内蔵していることで、高精度な極軸設置の必要ない広角レンズ~標準レンズでの撮影には便利です。 もちろん通常の外付け極望、弊社のナンチャッテ正立極望も取付けられます。
特価70000円で。 極軸まわりのバランス調整に 必需品のベンチバーをサービスいたします。
詳しい製品情報は こちら にあります。


 上の赤いのがSWAT-300。中央右奥の穴が口径10mmのガリレオ式極望です。下の写真はサービス品のベンチバーで、 写真はユニテック社の国内用SWAT-300に取付けたところです。

●山根 悟さんの輸出用SWAT-300の作例
お客様より寄せられた作例をご覧ください。 撮影者の山根様には、口コミ情報で1年ほど前に輸出用SWAT-300をお買い上げいただきました。 ニコンの180mm望遠レンズで、ガイド鏡なしのノーガイドで楽しまれています。撮影条件は以下のとおりです。
・カメラ: Canon D80 (SEO-SP4) ・レンズ: Nikkor 180mm F2.8ED ・ ISO 3200 / F4 / 170秒露光で 20枚撮影してコンポジット合成。 輸出用SWAT-300にてノータッチガイド。
M31 アンドロメダ大銀河

M45 プレアデス星団

山根さんの輸出用SWAT-300のシステム。 三脚はビクセン。 極軸設置は三脚の伸縮。 ナンチャッテ正立極望(←クリック)。 ユニテックのダブル雲台ベース。 スリックのバル自由雲台。 オートガイダーはこの写真はつないでいますが、180mm望遠には不要なので使わなくなったそうです。

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●火星に大黄雲が発生し始めたようです2018/06/14 16:20

大接近をひかえた火星に大黄雲(ダストストーム)が発生し始めたようです。 このまま広がり続けて行くと火星全体がオレンジ一色に覆われてしまうかもしれません。
火星の地球への大接近時、すなわち太陽にも近いときの火星に起こる「季節の風物詩」です。
望遠鏡を向けても火星の模様は、ほとんど何も見えなくなるかもしれません。 でも、隣の惑星に起こっている「大砂嵐」が見えるのです。 それがアマチュアの天体望遠鏡でもわかる。 たとえアキダリアの海が見えなくなっても、極冠が薄れてわからなくなっても、それはそれで大変なドラマじゃないですか!  惑星間を股にかけた「壮大なスペクタクル」ですね。

星爺は、1971年の火星大接近時の大規模な大黄雲を見ています。 最接近の頃は大学1年生でした。 理学部にあったツアイスの13cm屈折経緯台(丸太のような三脚!)で見た火星は、明るいだけでオレンジ色のノッペラボウでした。
それがトラウマになって「火星大接近」と聞いても「どうせ模様は見えなくなるんだろう」と、なかなか興味がわきません。 若人たちに興味を持ってもらうためにも、大黄雲は大規模になってほしくありません。

◆最近の健康状態
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足の方はなんとか普通に歩けるようになりましたが、左眼がガタガタに歪んで暗く見える症状は治りません。 しかし見え方に慣れてきたので、スマホで方眼グラフを見て眼の調子を確かめながら、SNSのコメント打ちでリハビリをしています(スマホは日本語変換が簡単なため)。
相変わらず頂戴するメールになかなか返信できず大変失礼をしております。 手伝いの人の応援で受注品を製作していますが、遅れに遅れて申し訳ありません。深くお詫び申し上げます。
本日からメールの閲覧と返信に復帰します。 このブログもなんとか自分で打ってみました。
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SUPERSTAR_Vによる6月14日02時の火星の位置(上の画像をクリックすると拡大されます)。
星空シミュレーションソフト SUPERSTAR_Vのサイトはこちら(http://www.sstar.jp/

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●胎内星まつり は断念しました2017/07/25 04:55

●「胎内星まつり」 と 「アメリカ日食」は行けません
星爺はこの2周間ほど体調不良で歩くことができない状態でした。 また 片方の眼が良く見えなくなって細かい作業ができません。 前回のご報告より更に悪化して健康が大ピンチです。
JILVA-170をはじめ納品が遅れて多大なご迷惑をおかけしています。 謹んでお詫び申し上げます。

幸い回復傾向にあり、望遠鏡メーカーOBの人にも手伝っていただいて、8月の第一週までには、全てのJILVA-170は完納させます。 ユニテック社のSWAT-350も逐次納品します。
お客様からは「納品はいつでも良い健康が大切」とのメールや励ましのお電話をたくさん頂戴して、涙が出るほど嬉しく思いましたが、アメリカ日食やこの夏の新月にお使いの人も多いので、甘えるわけにも参りません。
そんなこともあり、7月28日から新潟県胎内市で行なわれる『胎内星まつり』の(株)輝星・SB工房の出展と、8月21日の『アメリカ日食』の遠征は断念いたしました。
お盆の頃までには必ずゾンビのように復活して、生産や新製品の開発に邁進いたします。


●日食観察について、星爺なりの見解です
皆既日食には7回しか遠征したことはありませんが、幸い すべて快青下で観察できました。 他のご見解もあろうかと存じますが、星爺なりの見解を掲載します。 年初に書き留めておいた原稿があったので、以下に素の原稿のママ掲載します(今は文面を打つのも片眼で苦労する状態です)。

●皆既の開始まで目隠しのお勧め
肉眼はとりあえずの暗順応には約5分。 完全な暗順応は30分かかると言われます。 暗い映画館などに入ったときに誰しも経験しますね。 星空を見るときはもちろんですね。
アメリカ日食の皆既継続時間は2分ちょっとです。 これでは眼が暗順応して外側の淡いコロナや周辺の惑星や明るい恒星が見え始める前に皆既が終了してしまいます。 そこで、皆既の開始まで「目隠しをすることをお勧めします。
 50年ほど前くらいまでは天文学者も皆既日食を観測することがあり、目隠しをして待機した思い出話をお聞きしたこともあります。

●皆既日食の写真は誰でも撮れて誰にも撮れない?

 太陽の近くの内部コロナは非常に明るく(満月よりも明るい)、外部コロナは薄暗い空に溶け込むほど淡いものです。 ISO感度100で絞りF8では、太陽にごく近い内部コロナはだいたい1/2000秒露出、外部コロナは2秒露出が適正で、全体像の適正露出はあり得ません。 つまり、どんな露出で撮影しても写真の雰囲気が変わるだけで失敗は皆無です。 言い方を変えると どんな露出で撮影しても失敗です。

●内部コロナ~外部コロナまで適正露出にする工夫
皆既日食の写真の逆版(ネガ)のような感じで外側に行くにしたがって淡くなるフィルターをカメラボディのフィルム直前に入れるのが、ニューカーク博士が1960年代に発明した「ニューカークフィルター」です。 内部~外部コロナまで適正露出で撮るには広いダイナミックレンジが必要なので、濃くて厚いガラス製のNDフィルターを光学旋盤で削って作りました。 アメリカ日食用に昭和機械製作所が同様なフィルターを開発中との情報もあります。
1980年2月16日のインドでの皆既日食では、塩田和生さんがダイナミックレンジの広い特殊な銀塩感材でニューカークフィルターを作って、素晴らしい写真を撮影されました。  星爺は製作法の原稿を編集した覚えがあります。 塩田さんは最近は画像処理で日本一(世界一?)の日食写真を撮り続けています。
1991年7月11日のハワイ---メキシコ皆既日食では、当時Sky&Telescope誌の編集者だったデニス・チコさんが、フィルム直前で風車のような形状の小さなプロペラを回して、ニューカークフィルターと同様な効果を狙いました。 星爺は現地で装置を見せていただいた覚えがあります。

画像処理が簡単に行えるようになった昨今、内部~外部コロナまで適正露出の写真を得るには、1/2000~2秒程度の露出で多数枚撮影して適正露出部を画像処理で合成します。 その上でコロナの流線を強調する様々なテクニックを用います。 かなり手間もかかるので、 いっそ「記念写真程度」の撮影に甘んじて、大自然のスペクタクルを眼視で楽しんだほうが得策とも言えますね。
※勇気をもって乱暴に適正露出を定めるなら、1/125秒内外が無難なところでしょうか?

1995年のタイでの皆既日食です。 口径8cm 焦点距離640mmの望遠鏡の直焦点撮影。 ラチチュードの広いISO100のカラーネガフィルムにて1/30秒で撮影し、プリント時に内部コロナを焼き込み外部コロナは覆い焼きをして、少しでも全体が適正露出に近くなるようにしています。 もちろん、それでも適正露出にはほど遠いです。 コロナはもっともっと外側まで広がっています。 左の縁に見えるピンクのプロミネンスは、露出オーバーのコロナに埋もれています。 (画像をクリックすると大きくなります)。

1994年の南米ボリビアでの皆既日食です。 口径80mm 焦点距離640mm望遠鏡。 1回シャッターを押すと8秒~1/2000秒を順番に撮影し続けるコシナの一眼レフ改造カメラボディ使用。 カラーネガフィルムの画像をスキャナーで読み取って、内部~外部コロナの適正露出部を重ね、全体的に適正露出の画像を得てから輪帯的なアンシャープマスキング処理を施して、コロナの流線を強調しています。 右側の写真は4秒露出で写った月面の地球照も上乗せしてあります。
コロナを望遠鏡で見ると、絹糸を放射状に流したような細い細い乳白色の流線が見事です。 上の写真のような粗い流線ではありません。 当時の技術背景と星爺の下手な画像処理では これが限度でした。
デジタルカメラは当時のフィルムよりも圧倒的にシャープに写るので、アメリカ日食では画像処理を工夫してもっともっと詳細なコロナの流線を現すことができると思います。 ただしカラーネガフィルムがオーバー側に5絞り程度の広いラチチュードがあるのに対し、デジカメのラチチュードはかなり狭いので、内部~外部コロナまで細かく多数枚を合成する必要があると思います。

左はタイでの皆既日食。 1/2000秒露出でプロミネンスを狙いました。 プロミネンスはもっと超望遠で拡大して撮影したいですね。 今夏は太陽活動が活発ではないので、大きなプロミネンスが見えるかどうかはわかりません。 星爺が『天文ガイド』誌でインストラクターをしているときは、プロミネンスアイピースを持参して、直前のプロミネンスの様子をツアー参加者に確認してもらいました。 右は皆既終了時のダイヤモンドリングです。

●連続オートブラケット装置
カメラによっては「オートブラケット」と称する、設定したシャッター速度の前後数枚を露出を変えて写す機能があります。 例えばキヤノンEOS6Dなら設定した露出の前後3枚ずつを任意の露出差で撮影できるので、適正露出のないコロナの1枚ごとに露出を変えた撮影に便利です。 本当は前述のコシナのカメラのように全速のシャッターを切り続けてくれると更に重宝なのですが…。
オートブラケットは1回しか撮影できないので、1回スイッチを押せば連続してオートブラケットで撮影し続ける装置を作りました。 SB工房での頒布を計画していたのですが体調不良で叶わないので、今回は遠征する身内のスタッフや関係者の皆さんが使用することになりました。

●溶接面用の色ガラスフィルター
部分日食を見るために濃い色の下敷きやフィルムを使うのはヤメましょう。  眼では減光しているように見えても危険な紫外線や赤外線がノーガードで透過している場合があります。  望遠鏡メーカーなどから供給されている「日食グラス」は多くが ミラーグラスで、短波長の紫外線から長波長の赤外線(熱線)までまんべんなくガードする安全なものと思われます。
星爺は以前から溶接作業用のお面に使う「色ガラス」を使っています。 これはドイツのDIN規格や日本のJIS規格に則った極めて安全な減光フィルターで、紫外線と赤外線もガードしています( 最も透過する色の緑色に見えます。 レイバンのサングラスと同じですね)。 大きさは50mm×100mm。 平面精度は不明ですが、以前に天文学者の先生が「小さくな円形に切って太陽観測用のアイピースに入れる」とおっしゃっていたので、たぶん撮影に用いても問題ないと思われます。
「溶接、遮光ガラス」などで検索してみてください。  色の濃さは薄いもの(ガス溶接用)から濃いもの(電気溶接用)まで数種類あり、肉眼で見るにはDIN規格なら最も濃い目の12番か13番が適すると思います(晴れ間に太陽を見て10番を校正しました。眼鏡のサングラスとの併用は10番が良いです)。 安価な物は1枚200円以下です。 偏光フィルターを2枚用いた調光式もあります。

●その他の情報
写真に撮るとダイヤモンドリングは皆既の始まりも終わりも似たように写りますが、皆既の始まりのは本当はダイヤモンドリングとは言わないらしいです。 皆既の終わりのダイヤモンドリングは、暗順応した眼にピカーッ! と強烈に輝いて見えて感激します。 皆既の始まりのは漫然と暗くなって、太陽の1部が未だ月に隠れていない…といった感じです。 これはこれでスーッと現れるコロナに感激しますが…。

皆既日食撮影の望遠鏡や望遠レンズは、焦点距離500mm~700mmくらいが適すると言われます。 画角的にはまったくその通りです。 しかし、コロナの流線の詳細を撮影するためには1000mm以上が有効です。 外部コロナは狙わないので、適正露出に悩まされることも少なくなります。

一般写真派の人は望遠レンズやズームレンズにテレコンを用いる人が多いです。 しかし、皆既日食は強烈な「逆光」の被写体なので、 レンズ枚数の多い光学系はゴーストが心配です。 とくにダイヤモンドリングはゴーストが出やすいです。 カメラレンズでは長めの露出は諦めて、1/60秒以上の手持ちで撮影するのも妙案です。 自ずと太陽の位置が安定しないので、ゴーストの出ない構図で撮影できることがあります。 満月ころの明るい月を撮影するとゴーストの傾向がわかることもあります。
※本気で撮るにはカメラレンズ(とくにズーム)は避けるべきと思いますが、どうでしょうかね?

天体望遠鏡は単純なレンズなのでゴーストが出にくく、シャープで流線が鮮明に写るので、過去に見事な写真を撮った人達は、ほとんど天体望遠鏡を用いています。
カメラレンズと比較した欠点は、 焦点距離に反比例して像面の凹弯曲が強くなるので、小型の天体望遠鏡ほど周辺の外部コロナがピンボケになりやすいことです。 小型の望遠鏡はド真ん中でピントを合せないでやや端で合せたほうが良いです。 像面平坦化レンズ(フラットナー)を併用すべきかもしれませんがゴーストが心配です。
また、天体望遠鏡は望遠レンズのようなテレタイプの光学系ではないので、入射光が平行光線に近くなるため撮像素子上のゴミが写りやすいものです。 撮影前に撮像素子の清掃をしましょう。 カメラボディ内フィルターはゴミの写る元になるので避けたほうが無難です。

天体望遠鏡や望遠レンズは赤道儀に載せると快適ですが、500mm程度までの望遠で1/8秒露出以上なら日周運動で流れて写ることはありませんから、カメラ三脚に固定するだけも良いですね。
広角レンズによる固定カメラの連続撮影は赤道儀の追尾は無用です。 が、太陽の動いてゆく方向をシミュレートして構図を決めるためには、赤道儀に載せて回してみるとわかりやすいです。

皆既日食の観察には双眼鏡が必携です。 天体望遠鏡で100倍以上の倍率で見るのもお勧めです。 内部コロナがシューッと音を立てて吹き出している感じに見え、太陽に近いコロナは渦を巻くように乱れて見えることもあります。 大感激すること請け合いです。

皆既日食の前後は晴れれば当然カンカン照りなので、ノートパソコンの画面が非常に見にくくなります。 詳細なディスプレイほど見にくいです。 ディスプレイのまわりを囲ったり黒い布をかぶるなど、事前にいろいろ試してみてください。
当日はどこも快晴に恵まれることを期待しています。


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